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On the Production
by 井口健二
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■カーズ2、さすらいの女神、ハートブレイカー、東京人間喜劇、レジェンド・オブ・フィスト、イースターラビット、ランゴ+Man of Steel
デュリス、パラディのダンスシーンも観られる。
『東京人間喜劇』
昨年の東京国際映画祭で『歓待』という作品により「日本映
画・ある視点部門」の作品賞を受賞した深田晃司監督が、そ
の前の2009年に発表した作品。『歓待』と同様の劇団・青年
団のユニット出演によって制作されている。
物語は、それぞれ「白猫」「写真」「右腕」と題された主人
公の異なる3つのパートからなっているが、それぞれの登場
人物が相互に物語に絡んで、アンサンブル劇でもないし、オ
ムニバスでもない一種独特の世界が構築されている。
「白猫」では、パフォーマーの公演を切っ掛けに面識を持っ
た同棲中と別居中の2人の女性、それに別居中の女性の新た
な恋人がそれぞれの恋愛感などを語り合うストーリーに、そ
れぞれの会話とは裏腹な真実が描かれて行く。
「写真」では、ギャラリーで初めての個展を開いた女性写真
家の姿が描かれるが、まあ何と言うか痛い話が展開される。
そしてそのギャラリーのオーナーが別居中の女性の夫で、そ
の展開はさらに次の章にも繋がって行く。
「右腕」は、交通事故で右腕を失った男性が、無いはずの右
手の感覚や特にそれが引き起こす痛みによって悩まされると
いうお話。3話の中では多少ファンタスティックな部分もあ
るお話で、個人的には一番興味を引かれた。
実は、『歓待』を観たときにも登場人物の中に悪魔的な感触
を持つキャラクターがいて、その辺の感覚はこの監督に期待
したい部分だった。しかし『歓待』でも本作でも、敢えてそ
の部分に深入りしないようにしている感じがあって、それが
不満にも感じられる。
それが特に『歓待』では、折角ここまで描いたのに勿体無い
感じがして、映画祭での受賞も納得できなかった。恐らく監
督は、真面目且つ科学的に物語を展開したいのだろうが、も
っとオープンな物語にしてしまってもいいのではないかな。
僕個人としてはその方が楽しめる感じがした。
何れにしても、次の作品ができたらまた観てみたい監督であ
ることは確かだ。
なお本作は、製作当時に劇団の自主企画として限定公開され
たものが、北米での公開の決定した『歓待』の凱旋興行に併
せて一般公開されるものだ。
『レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳』
“精武風雲・陳真”
ブルース・リーが1971年『ドラゴン怒りの鉄拳』(精武門)で
創造した架空の武術家・陳真のその後を描いた作品。その役
に昨年11月紹介『イップ・マン』でリーの師匠・葉門を演じ
て香港電影金像奨に輝いたドニー・イェンが挑戦した。
リーのオリジナルでは、陳真は最後の戦いの後に死んだとさ
れているが、本作ではそこは生き延び、さらに第1次世界大
戦の欧州戦線に赴き雑役兵として中国人の仲間と共に戦い、
帰国したという設定になっている。
因に第1次大戦の当時、イギリス・フランスなどの列強が第
3世界の労働者を徴兵して前線に送り込み、そこに多くの中
国人が居たというのは、歴史から抹殺された事実だそうだ。
そして物語は、陳真が戦場で銃弾に倒れた仲間の名を名乗る
ところから始まる。
その陳真が帰国した中国は、連合国の一員としての戦勝国で
あったにも関わらず、青島を日本に奪われるなど恩恵を受け
ることもなく、さらに上海には連合国の共同祖界やフランス
祖界など治外法権の地区が設けられ、中国人の生活は圧迫さ
れ続けていた。
そんな中で地下抵抗組織に身を投じた陳真は、キャバレーを
経営する中国人の顔役に接近し、その顔役を抵抗組織に組み
入れる画策を進めるが…。日本軍人や西欧の官僚も来店する
その店には、美貌の歌姫や中国東北軍の将軍の愛人なども出
入りしていた。
一方、地下組織の抵抗に手を焼いた日本軍部は、抵抗組織に
関わる人物の処刑リストを公開し、その抹殺を開始する。そ
こには仮面の武術家が救世主のごとく登場するが、それはか
つて陳真が倒した日本人道場主の疑惑を呼ぶことになる。
共演は、2006年9月紹介『百年恋歌』などのスー・チー、他
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07月24日(日)
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