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On the Production
by 井口健二
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■昼間から呑む、ジャスティン・ビーバー、ラスト・ターゲット、卵、カルメン、赤ずきん、テザ+製作ニュース
物語はいまさら書くまでもないが、カルメンとドン・ホセの
悲劇的な愛を描くもの。実は昔、別作品で観たときには、単
純に「ドン・ホセって馬鹿だなあ」と思っていたが、今観る
とカルメンには運命に踊らされている面が強いし、また物語
が作られた当時の人々のジプシーに対するイメージのような
ものが背景にあることも理解できた。
でもまあ話が単純であることに変りはないが、それをビゼー
作曲「ハバネラ」「闘牛士の歌」などの名曲が彩るものだ。
また本作はイギリスでの公演だが、台詞はフランス語になっ
ており、それに日本語の字幕付きで上映される。
出演は、クリスティン・ライス、ブライアン・ヒメル、アリ
ス・エルギリス、マイヤ・コヴァレフスカ。何れもオペラ歌
手で映画ファンには馴染みがないが、カルメン役のライスは
BBCのテレビ用オペラなどにも出ている。
監督は、舞台演出がフランチェスカ・ザンベッロ、本作の監
督はジュリアン・ネイピア。
映画版を監督したネイピアは、1991年の『フック』に参加が
記録されており、また2003年には“Starlight Express 3D”
という作品を発表しているが、これは日本でも公演されたミ
ュージカルを3Dで撮影したもののようだ。
ただ本作ではプレス資料にプロダクションノートがなく、製
作状況が不明だが、映画版の監督にどれほどの権限があった
のか。実際、映画には演出の荒い部分も観られ、その一方で
明らかに異なるテイクが繋がれている部分もあって、いろい
ろ疑問は生じたところだ。
なお本作は、映画館用3Dシステムの一翼を担うリアルD社
が、ロイヤル・オペラ・ハウスとの共同で独自に製作したも
ので、リアルDの付加価値を高める目的で配給されるとのこ
と。従って上映は、リアルD設置の映画館限定で行われる。

『赤ずきん』“Red Riding Hood”
2009年1月紹介『トワイライト』などのキャサリン・ハード
ウィック監督、前回紹介『クロエ』などのアマンダ・サイフ
リッドの主演で、プレス資料には<大人版>と記された童話
の映画化。
ヨーロッパの中世の物語。舞台は森の奥深くに所在する村。
その村の近くには人食い狼が住んでいて、満月の夜には1人
で出歩かないのが村の習わしだった。ただし、狼とは協定が
結ばれ村人は襲わない約束だったのだが…
主人公のヴァレリーはそんな村に住む樵の娘。2人姉妹の妹
である彼女は同じく樵のピーターと愛し合っていたが、樵の
一家の生活は裕福とは言えない。そんな彼女に裕福な鍛冶屋
の息子ヘンリーが結婚を申し込み、それは一家にとって有り
難い話だった。
そんなある満月の日、それでも防備は怠らない村人に悲報が
伝えられる。ヴァレリーの姉が何者かに惨殺されたのだ。そ
れを狼の仕業と判断した村人たちはいきり立ち、狼退治の神
父の到着も待たずに、狼討伐に向かってしまう。
その結果は…、村人たちは狼の首を討ち取るものの、ヘンリ
ーの父親が殺されてしまう。しかもそこに到着した神父は、
「それは人食い狼ではない。奴は村人の中にいる」と断言、
祝宴を挙げる村人を後目に準備を開始する。そして…
物語は有名な童話に人狼伝説を組み合わせたもので、それ自
体は新規ではないようだが、本作ではそこに狼人間は誰かな
どの推理や、主人公の恋愛話なども絡まっていろいろ面白い
話が展開されて行く。そしてもちろん「赤ずきん」の名台詞
も登場するものだ。
脚本は、2009年9月紹介『エスター』のデイヴィッド・レス
リー・ジョンスン。前作も脚本の巧みさに注目したものだっ
たが、本作もそれは変わらない。これで次回作が『タイタン
の戦い』の続編というのも楽しみなことだ。
共演は2010年4月紹介『ザ・ウォーカー』などのゲイリー・
オールドマン、2009年6月紹介『キャデラック・レコード』
に出演のシャイロー・フェルナンデス、オスカー受賞者ジェ
レミー・アイアンズの息子のマックス・アイアンズ。
他に『トワイライト』などのビリー・バーク、2009年12月紹
介『エクトプラズム』などのヴァージニア・マドセン、昨年

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04月10日(日)
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