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On the Production
by 井口健二
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■怪談新耳袋・怪奇、TENBATSU、REDLINE、夏の家族、プチ・ニコラ、ソルト+製作ニュース
に観客を戸惑わせて、面白い展開になっていた。
ただその展開が、前後の脈絡などがあまり明確に提示されて
おらず、そこら辺が商業映画ではないかなあという感じには
なってしまう。もちろん本作は自主映画なのだし、監督には
商業映画を作るつもりはないのだろうから、それも仕方がな
いとは言えるが…。
でも、作品の全体を通してフィクションの部分には興味を引
かれたし、この方向でもっと進めてくれたら、それは商業映
画としても通用するレヴェルのように感じられた。少なくと
も商業映画として観せられる一部の作品よりは観られる感じ
がした。
ただし、今回の試写で上映されたのは海外の映画祭で上映さ
れたオリジナル版だったが、実は映画に登場する幾つかのシ
ーンは日本の法律にはそぐわないもので、このまま一般上映
をしたら警察の取り締まりは避けられない。
その点に関しては、上映前に挨拶した岩名監督もいろいろと
考えてはいるようだが、10月に予定されている一般公開がど
のようになるか、多少心配になった。
なお画面に登場しない子供の声は、2009年7月紹介『サマー
・ウォーズ』でも声優を務めていた諸星すみれが当てていた
ようだ。他には吉岡由美子、監督の前作にも出演の若松萌野
という人たちが共演している。
一般上映版を観ていないので映画の評価は下し辛いが、作品
としてはそれなりに面白く観られた作品だった。
『プチ・ニコラ』“Le Petit Nicolas”
1959年−1965年にフランスの新聞に連載された人気マンガの
映画化。2004年に出版された単行本は65万部売り上げ、フラ
ンスでは学校の授業でも使われているそうだ。
原作については一応知っていたし、特に昨年からはフランス
の映画情報を観るとやたらに評判が良くて気になっていた作
品。その作品が、日本でも一般公開されることになり試写会
がスタートした。
物語は1960年代のフランス・パリが舞台。ちょっとノスタル
ジックな風景の中で、小学生のニコラとその仲間達が騒動を
巻き起こす。その中心は、同級生に弟が生まれ、その兄は疎
外されるとの情報に、自分にも弟が出来たと思い込んだニコ
ラが…というもの。
そこで弟が誕生しても疎外されることが無いように、仲間達
の協力も得ていろいろな対策が練られるのだが…
その他、学校での授業の様子やニコラの自宅にパパの勤務先
の社長夫妻が訪れる話など、映画では何となく有り勝ちとい
えるエピソードが綴られて行くのだが、それらが何とも微笑
ましくハートウォーミングに描かれている。
そこにはちょっと生意気な学友に対する苛めのようなものも
描かれたりもするが、全体の雰囲気が何とも柔らかくて素晴
らしい作品だった。実際に映画を観ていて、久しぶりに心の
底から屈託なく笑えたような気もした。
出演の子役たちはほとんどが新人と思われるが、ちょっとす
かした感じのニコラを演じるマキシム・ゴラールを始め、原
作にそっくりの個性豊かな子供たちが登場する。
他に、ニコラの父親役は2009年7月紹介『幸せはシャンソニ
ア劇場から』などに出演し、2006年にセザール賞助演男優賞
を受賞したカド・メラッド。母親役は1992年『おかしなおか
しな訪問者』で助演女優賞受賞のヴァレリー・ルメルシュ。
また、1995年新人賞受賞のサンドリーヌ・キベルランがクラ
スの担任役を演じている。
因に、監督を務めたローラン・ティラールはフランスの映画
雑誌STUDIOの元記者で、ジャーナリスト時代にはアレンやリ
ンチ、スコセッシ等へのインタヴューも纏めているそうだ。
映画に対する広範な知識と愛情が、見事に功奏した作品とも
言えそうだ。
『ソルト』“Salt”
1999年の『17歳のカルテ』でオスカー助演賞を受賞した後も
積極的にアクション映画に取り組んできたアンジェリーナ・
ジョリーが、2008年『チェンジリング』でオスカー主演賞に
ノミネートされた後、1年を置いて主演した最新アクション
作品。
米ソ冷戦時代の落とし児とも言うべき旧ソ連KGBの放った
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07月25日(日)
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