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On the Production
by 井口健二
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■トイ・ストーリー3/3D、最後の忠臣蔵、石井輝男/映画魂+製作ニュース
今回の製作ニュースは、まずは気になるこの作品から。
MGMの資産売却の遅れで延期されている『指輪物語』の
前日譚“The Hobbit”の映画化で、『指輪』3部作を手掛け
て今回は製作に廻るとされていたピーター・ジャクスン監督
が、本作でも監督する可能性が示唆されている。
この映画化に関しては、『ヘル・ボーイ』などのギレルモ
・デル・トロ監督が2008年から監督として参加。ジャクスン
らと共に脚本の執筆にも当っていたものだが、先に書いたよ
うに製作の一翼を担うMGMのトラブルで製作開始の時期が
確定できないまま、今月初めに報告したようについに降板を
決意してしまった。
その後は、実は『ハリー・ポッター』を撮り終えたばかり
のデイヴィット・イェーツ監督や、『第9地区』のニール・
ブロムカンプ監督の名前も取り沙汰されていたのだが、結局
のところ撮影時期が確定できないのでは彼らのスケジュール
を拘束しておく訳にも行かず。そこにジャクスン自身なら問
題はないだろうという状況になってきているようだ。
とは言えジャクスン監督には、すでにスティーヴン・スピ
ルバーグ監督が第1部の“The Adventures of Tintin: The
Secret of the Unicorn”を撮り終えた“Tintin”シリーズ
の続編の計画もあり、その他にも2、3本の計画が進行中と
のことで、おいそれと新しい計画を割り込ませるのも難しい
状況のようだ。
いずれにしてもMGMの去就が決らなければ先には進めな
いものではあるが、ワーナーからは2012年12月の第1部公開
と、2013年12月の第2部公開は変更なく発表されているとの
ことで、それを実現するためには遅くとも今年12月撮影開始
のスケジュールは動かせない状況とのこと。果たしてそれま
でにMGMのトラブルが解消されるかどうか、ジャクスン側
は製作準備は着実に進めていると言っているようだが…。
因に、ジャクスンが監督する計画のシリーズの続編“The
Adventures of Tintin: Red Rackham's Treasure”(仮題)
の公開も2012年に予定されているそうだ。
* *
お次も前日譚の計画で、『不思議の国のアリス』の後日譚
となる『アリス・イン・ワンダーランド』を大ヒットさせた
ディズニーから、今度はL・フランク・ボウム原作『オズの
魔法使い』の前日譚を描く“Oz, the Great and Powerful”
という計画が発表され、その監督にサム・ライミの名前が挙
げられている。
物語は、1939年の映画化でも知られるエメラルド・シティ
の支配者=オズの魔法使いが、実は元サーカスの猛獣使いの
男で、その男が竜巻と共にオズの国に現れ、そこで「偉大で
強力な魔法使いオズ」に成り上がって行くまでを描くという
もの。このオズの設定はボウムの原作にも基づくものだが、
そこからの展開を、2000年にジェット・リー主演で映画化さ
れた『ロメオ・マスト・ダイ』などのマイクル・カプナーが
オリジナルの脚本として執筆したもののようだ。
そしてこの脚本を『アリス』も手掛けた製作者のジョー・
ロスが取り上げ、実は計画は今年4月頃に始動して、その時
にはサム・メンデス、またはアダム・シャンクマンの監督、
主演にはロバート・ダウニーJr.が期待されていた。
その計画に今回はライミ監督の名前が登場してきたものだ
が、ライミには先にソニーで進めていた“Spider-Man 4”の
計画が頓挫し、監督からの降板が発表されていたもので、正
に渡りに船という感じでもある。ただしこの発表は決定では
ないし、さらにダウニーJr.の主演はあるのかなど、流動的
な面は数多く残されており、これから製作までにはまだ紆余
曲折もありそうだ。
なお、『オズの魔法使い』に関連した計画では、今年3月
15日付第183回でも紹介したように、いろいろな計画が進行
中のもので、それらがタイミングよく実現したら一大ブーム
が巻き起こる可能性もある。その切っ掛けとするためにも、
今回のディズニーの計画には期待がもたれるものだ。
* *
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06月27日(日)
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