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On the Production
by 井口健二
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■誰かが私にキスをした、カケラ、桃まつり−うそ、17歳の肖像、バッド・ルーテナント、コララインとボタンの魔女:3D(追記)
久しぶりに会った中学生時代の男女が、ふとベッドも共にし
てしまうが…。全体的に良く纏まっている感じだったが、そ
れ以上のポイントがこれと言ってなかった印象の作品だ。良
い点も悪い点も特には挙げられない。正直に言って、何か印
象に残るほどの衝撃も感じられなかった。短編映画にはそれ
が欲しい。
「shoelace」(監督:福本明日香、出演:ともさと衣)
年上の既婚者と不倫を続けている女性が、不倫相手の娘と出
会って…。靴紐を結んでくれる関係、そんな絆が上手く表現
されていた。ただし本作では、撮影はDVで行われたようだ
が、試写会場のプロジェクターとの相性が悪いのか画質がか
なり劣悪で、特に背景の紅葉した林などが見られない状態に
なっていたのが残念。
『−参のうそ』
「バーブの点滅と」(監督:益田佑可、出演:石黒淳士)
家に帰ったら恋人が掃除機に吸い込まれ掛かっていた…カフ
カの「変身」を髱髴とさせる不条理劇。アイデアは面白いが
排泄の問題などいろいろ気になってしまった。勿論、割り切
って観てもいいのだが、逆にそこに拘わると、女性の口には
何でも吸い込まれそうで、そんな映像をクレイアニメで描い
ても面白そうだ。因に本作の画質も芳しくなかった。
「1-2-3-4」(監督:玉城陽子、出演:樋口史)
10年前に共に芸術を志して共同生活をしていた4人の男女。
やがて1人の男性は別の道に進んで成功を納め、男女のカッ
プルは土壌汚染の囁かれる団地に暮らしている。そしてもう
1人の女性が妊娠したと報告する。その相手は別の道に進ん
だ男性だった。複雑な男女関系を背景に物語が進んで行く。
ある種の青春ドラマが上手く纏められていた。
「テクニカラー」(監督:船曳真珠、出演:洞口依子)
ショウパブに出演してマジックショウを演じている母娘を巡
るどたばた劇。僕としては娘の特殊能力が多少気になるとこ
ろだが、お話はそんなことには関係なく進んで行く。それが
また好ましい感じの作品でもあった。脇役でマメ山田が出て
いるが、初めて奇を衒わずに演出されている感じで、それも
好ましかった。
「離さないで」(監督:福井早野香、出演:奥田恵梨華)
スランプに陥っている女流作家の元に届いた1通の手紙。そ
こには当事者しか知らないはずの彼女の高校時代のある事件
の真相が綴られていた。かなり複雑な物語が、26分の上映時
間の中に見事に描かれていた。今回の11作はどれも見応えの
ある作品ばかりだったが、その中でもこの作品の纏まりの良
さに感心した。
今回で3回目を迎える『桃まつり』だが、作品の水準は年々
上がっている感じで、今回の11本はいずれも楽しめた。ただ
上記した複数の作品で画質が著しく悪くなり、鑑賞に支障が
生じたのが残念。プロジェクターとの相性か、方式変換時の
問題かは判らないが、昨年の東京国際映画祭の上映でも一部
の作品の同様の問題が感じられたもので、ディジタル製作−
ディジタル上映に関しての相性など何らかの検討が必要にな
りそうだ。
『17歳の肖像』“An Education”
ナショナル・ボード・オブ・レヴューの主演女優賞など、す
でに11冠、38以上のノミネーションを勝ち取っているイギリ
スBBC提供の青春映画。1961年、まだインターネットも携
帯電話もない時代を背景に、ロンドン郊外に住む当時16歳の
女性の成長が描かれる。
主人公のジェニーは地元の高校に通う女子高生。利発で成績
優秀、教師たちも一目を置く彼女は、ラテン語が少し苦手だ
がオックスフォード大学への進学を目指している。それは恐
らくは学歴で苦労したのであろう父親の期待でもある。
そんな彼女は、チェロ奏者としてアマチュアオーケストラの
練習に参加して、そこで知り合った同年のボーイフレンドも
できる。しかしある雨の日、楽器ケースを抱えてバス亭に佇
む彼女のそばに1台の高級車が止まり、その車を運転する男
性に声を掛けられる。
その男性デイヴィッドは、ジェニーの両親にも上手く取り入
り、彼女をコンサートなどの社交の場に連れ出す。それは堅
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01月24日(日)
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