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On the Production
by 井口健二
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■キング・コーン、チョコレート・ファイター、台湾人生、17アゲイン、ラスト・ブラッド、ロシア革命アニメーション、スティル・アライヴ
むのだが…
大人がその記憶を保ったまま青春時代の身体になる。こうい
う展開の映画は過去にもいろいろありそうだが、今回はそこ
にちょっと捻りがある。その捻りによって主人公は、親子の
断絶や自らの家族への思いに直面して行くことになる。
それにしても、離婚天国と言われ夫婦や家族の繋がりが希薄
になっているとも考えられるアメリカで、こんなにも家族の
ことを真剣に考える作品も珍しい。それはちょっと古くさい
考えかもしれないが、人が本来持つべき姿を描いている作品
のようにも思えた。
と言うメインストーリーだが、さらにこの物語には僕らを喜
ばせるサブストーリーも用意されている。それは主人公の高
校時代からの親友がオタクという設定のもので、これがなん
とも僕らの心をときめかせてくれるのだ。
元々メインの物語もファンタシー系だから、その手の観客が
ターゲットだと思われるが、そのオタク振りが尋常でない上
にその展開が見事に決まっている。その内容は、定番のSW
からLOTRまでレヴェルも高く、特に本作はニューライン
の製作なので、後者に対する思い入れには素晴らしいものが
あった。それはファンには必見とも言えるものだ。
共演は、『無ケーカクの命中男』などのレスリー・マンと、
『燃えよピンポン』では脚本も執筆していたトーマス・レノ
ン。他にマシュー・ペリー、メロラ・ハーディンらが出演し
ている。
エフロンのファンには彼の踊りも楽しめるし、オタクのファ
ンにも充分に満足できる作品だ。

『ラスト・ブラッド』“Blood: The Last Vampire”
『猟奇的な彼女』などの韓国女優チョン・ジヒョンが、セー
ラー服の戦士に扮して闘うアクション作品。
戦国時代から続く鬼との闘い。その鬼を退治するのはその使
命のために数100年を生きてきた女剣士サヤ。そして本作の
時代のサヤはセーラー服に身を包み普段は女子高生として過
ごしながら、ことが起これば日本刀を抜き放ち鬼を一刀両断
にする。
そんなサヤの背後には組織があって、彼女が退治した鬼の後
始末などもしてくれる。しかし彼女と組織の間にも軋轢があ
り、さらに非公式な組織は時として米軍など政府機関とも対
立することがある。
本作の時代背景はヴェトナム戦争が泥沼化し始めた1970年。
混沌の時代には鬼どもも勢力を増加させ始めている。そして
鬼どもが勢力を強める中でサヤは、ついに父親の仇でもある
奴らの首領オニゲンの所在を突き止める。
オリジナルは2000年に製作され、Annie賞や確かアカデミー
賞の予備候補にも挙げられた北久保弘之監督によるアニメー
ション作品。本作はその実写による再映画化だ。僕はこのオ
リジナルを観たかどうか記憶が定かでないが、今回の実写版
では、その映像表現が如何にもアニメーションという感じに
も作られている。
その実写版を監督したのは、フランスで2005年『エンパイア
・オブ・ザ・ウルフ』などを手掛けたクリス・ナオン。製作
は、2000年『グリーン・デスティニー』などのビル・コン。
香港を拠点に置く映画製作者が『昴』に続けて日本が舞台の
作品に挑んでいるものだ。
共演は、アジアを代表する女優の称号も似合い始めてきた小
雪と、『17アゲイン』にもザック・エフロンの17歳の時の
恋人役で出演していたアリソン・ミラー。また、汎アジアで
活躍してきたアクションスターのベテラン倉田保昭が元気な
姿を見せてくれている。
因に、1981年生まれのチョン・ジヒョンは、試写前の舞台挨
拶で「セーラー服はちょっと恥ずかしかった」と語っていた
が、元々ちょっと幼い感じもする顔立ちは、充分に通用する
雰囲気で演じていたものだ。
それにしても画面には、トンキン湾空爆のニュースが繰り返
し登場するが、これは空爆開始が鬼の差し金で、サヤの働き
によってそれが失敗に終ったという意味なのだろうか。

『ロシア革命アニメーション』
旧ソ連時代の1924〜79年に製作された短編アニメーションを
集めたコレクション。全16作品がA、Bの2プログラムに分
けて公開される。

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04月05日(日)
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