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On the Production
by 井口健二
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■スラムドッグ、イエスマン、ロックンローラ、トワイライト、ビバリーヒルズ・チワワ、アンティーク、レイチェルの結婚、ベルサイユの子
ヴァンパイアたちが人間を超えた能力や不死性を持っている
にも関らず、自分らを怪物と見做して主人公の女性を仲間に
引き入れられないとか、いろいろと微妙な設定はあるが、結
局のところは、物語の全体は女性向きのロマンスストーリー
が展開されて行く。
その辺りは、1994年に映画化された『インタビュー・ウィズ
・ヴァンパイア』など、同様の作品はいろいろあるが、中で
も本作は、特に若年の女性にターゲットを絞ったことが成功
の秘訣とも言える作品になっている。
そして映画化に当っても、脚本には『アリーmyラブ』のメリ
ッサ・ローゼンバーグを起用し、監督には『サーティーンあ
の頃欲しかった愛のこと』のキャサリン・ハードウィックを
招請するなど、少女向けの作品に万全の体制がとられている
ものだ。
主演は、『パニック・ルーム』『イントゥ・ザ・ワイルド』
などのクリスティン・スチュワート。そしてヴァンパイアの
恋人役に、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』でセドリ
ック・ディゴリーを演じたロバート・パティンソンが扮して
いる。
なお、続編“New Moon”の製作もすでにスタートしており、
全米では今秋公開となるようだ。
『ビバリーヒルズ・チワワ』“Beverly Hills Chihuahua”
ビヴァリーヒルズの女社長に飼われていたセレブ犬のチワワ
が、とある事情でやってきたメキシコで保護者とはぐれてし
まい、闘犬場に拉致されたり、メキシコ原産である自分のル
ーツに触れたり…の大冒険を繰り広げるファミリー映画。
大事に飼われていたお嬢様犬が町に迷い出て…という展開で
は、1955年のアニメーション“Lady and the Tramp”(わん
わん物語)を髣髴とさせるが、同じディズニーが製作した実
写の本作でも、闘犬場の檻のシーンなどにはアニメ作品を思
い出させるところもある。
しかも実写化ということでは『102』も思い出すところだ
が、200頭を超える実際の犬を調教によって演技させて、さ
らにCGI技術も巧みに使用したこの作品は、動物(犬)主
演の映画では最高レヴェルの作品と言えるものだ。
映画には他にも、メキシコで彼女のサヴァイヴァルを援助す
るジャーマンシェパードや、その仇敵のドーベルマン、ヒス
パニックの飼い主と共に救出に駆けつけるチワワの雑種犬な
ど多彩な犬種も登場して、犬好きには堪らない作品になって
いる。
原案・脚本はテレビ『恋するマンハッタン』などのジェフ・
ブシェル。監督は、1999年の『25年目のキス』や、2002年
『スクービー・ドゥー』などのラジャ・ゴスネル。自ら犬好
きと称する監督がアニメのスクービー以来の犬の主人公を見
事に演出している。
そして、これらの実写の犬たちを演技させたのは、2006年版
の『南極物語』などを手掛けたマイク・アレキサンダー。彼
は『チャーリーとチョコレート工場』のリスの演技でも知ら
れるが、今回は豊かな犬の表情を見事にフィルムに写し撮ら
せた。
一方、コメディー・リリーフとして登場するネズミとイグア
ナのコンビはオールCGIで作成されているが、これを手掛
けたのが『ジュラシック・パーク』などのティペット・スタ
ジオ。『スター・ウォーズ』なども手掛けたフィル・ティペ
ットが率いるこのスタジオでは、コミカルな動物のCGIは
お手のものだ。
人間の出演者は、2006年『プレステージ』などに出演のパイ
パー・プラーボ。またチワワの飼い主役で、『ハロウィン』
などのジェイミー・リー・カーティスが登場する。
さらに、犬などのヴォイス・キャストでは、ドリュー・バリ
モアが主人公のセレブ犬を演じる他、アンディ・ガルシア、
ジョージ・ロペス、チーチ・マーリン、そして3大テノール
の1人プラシド・ドミンゴらが登場している。
小さな愛玩犬チワワのルーツが描かれたり、映画の最後には
動物を飼うことの心構えが訴えられるなど、ペットブームの
現状もしっかり見据えた作品にもなっていた。
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01月31日(土)
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