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On the Production
by 井口健二
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■チェンジリング、遭難フリーター、花の生涯:梅蘭芳、連獅子/らくだ、パッセンジャーズ、PVC−1、ザ・クリーナー
は上記の表記だが、上映は『らくだ』が先になっていた。
その『らくだ』は、長屋の嫌われ者の駱駝こと馬太郎が河豚
に当って急死し、それを弔おうとする仲間の手斧目半次と、
来合わせた紙屑買久六が、長屋の大家から通夜の酒肴をせし
めるため、ついには死人にカンカンノウを踊らせる…という
もの。
元は上方落語で、大正時代に東京に持ってこられたもののよ
うだが、落語では真打ちも手こずる大ネタとされているそう
だ。僕自身は、演者が誰だったかは覚えていないが口演を聴
いた覚えはあり、特に後半の踊りの場面は死人と踊らせる側
の2役が見事だったと記憶している。
その落語が、昭和初期には歌舞伎としても上演されていたと
のことで、今回はそれを久六を中村勘三郎、半次を坂東三津
五郎の人気者に、馬太郎は片岡亀蔵という配役で演じられた
舞台面の映像となっている。
因にこの3名は、1993年と94年にも同じ配役で演じており、
今回は2008年8月に14年ぶりに再演したときのもの。息もピ
タリと合った名演となっている。特に死人役の亀蔵が、ほと
んど胸の動きも押さえ込んで横たわっている姿や、三津五郎
との踊りは見事だった。
そして後半の『連獅子』は、中村勘三郎の親獅子に、2人の
息子が子獅子で共演という3人の獅子舞となるもので、普通
とは違う振り付けも見所となっている。
これも僕は、妹が以前に花柳流を習っていた関係で、当時の
花柳徳兵衛の踊りを観ているが、日本舞踊の中でも華やかさ
では群を抜くものと認識している。その踊りがさらに華やか
に演じられるものだ。
しかも今回は、その地方で歌われる長唄の歌詞が字幕になっ
ており、これは作品を理解する上でも貴重なものとなってい
る。もちろん物語自体は親獅子が子獅子を谷底に突き落し、
這い上がってきた児だけを育てるという故事に基づくものだ
が、歌詞が判ることで一層楽しめるものになっていた。
『パッセンジャーズ』“Passengers”
今秋公開された『ゲット・スマート』の映画版で99号に扮し
たアン・ハサウェイ主演によるサスペンス・スリラー。
パイロットの操縦ミスとされる航空機事故で、その被害者の
心理治療担当者となった女性が、機体製造会社の陰謀とも思
える事件に立ち向かって行く。
その事故では5人が奇跡的に生き残った。その心理治療の担
当者となった主人公は彼らのカウンセリングを開始するが、
そのうちの1人は妙に健康で、カウンセリングへの参加も拒
絶する。
ところがカウンセリングの過程で事故の模様を聴取し始めた
彼女は、被害者たちの発言に食い違いがあることに気づく。
それは、パイロットの操縦ミスとされる事故原因に疑問を生
じさせるものだった。
そして、事故前に機体に爆発があったと発言した被害者が、
次のカウンセリングから姿を現さなくなる。その発言は、機
体の製造ミスを疑わせるものであった。さらに被害者が次々
姿を消して行く。
果たして事件の真相は何だったのか…
同様の展開では、2000年の『ファイナル・デスティネーショ
ン』が思い浮かぶところだが、本作もそれと同じようなテー
マの展開となるものだ。つまりそれなりにファンタスティッ
クな展開となるということ。
これ以上の紹介ができないのが残念なところだが、まあ悪く
ない結末は設けられている。ただ、僕自身としては何となく
物語の辻褄に疑問も生じているところで、できたらもう1回
観てその疑問を解消したい気持ちにもなっている。
とは言え悪い結末ではないし、ハサウェイも体当たりでがん
ばっているのは評価したいところだ。
共演は『オペラ座の怪人』などのパトリック・ウィルスン、
『ポセイドン』のアンドレ・ブライアー、『ゾディアック』
のクレア・デュヴァル、『チャンス』のダイアン・ウィース
ト、『ディスタービア』のデイヴィッド・モースなど。
脚本は、テレビシリーズ『ダーク・エンジェル』などのロニ
ー・クリステンセン。監督は作家ガルシア=マルケスの息子
で、テレビシリーズ『ザ・ソプラノズ』も手掛けたロドリゴ
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12月21日(日)
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