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On the Production
by 井口健二
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■ポチの告白、制服サバイガール、三国志、はじめはコドモだった、かさぶた姫、約束の地、ロルナの祈り
供を侮ってはいけないというお話。その前のVFXもきれい
だった。
2本目は井筒和幸監督の『TO THE FUTURE』。小学校を舞台
にした、ちょっと異常な教師と、その生徒たちの物語。見方
によっては問題にされるかも知れないストーリーだが、ある
意味これが今の子供たちの置かれた現実なのかも知れない。
そんなことを考えるとかなり恐ろしい作品で、納得できた。
3本目は大森一樹監督の『イエスタデイワンスモア』。時代
劇仕立てのファンタシー。あまり儲かっていない食堂の女将
の幼い一人息子が誘拐され、身の代金が請求されるのだが、
それは女将には払えない大金だった。…ネタバレは承知の上
だが、ここからの展開が予想以上に見事な作品だった。
4本目は李相日監督の『タガタメ』。余命わずかと宣告され
た男と死神の物語。男には1人では食事もまともに取れない
精薄の息子がいて、その息子を残しては死ねないと男は訴え
る。しかし死神はそんな話は受け付けない。そして男の死期
は徐々に迫ってくるのだが…結末が見事な作品だった。
5本目は崔洋一監督の『ダイコン』。題名の意味は「ダイニ
ングテーブルのコンテンポラリー」だそうで、老夫婦と娘の
3人家族の食卓の情景が淡々と綴られる。それは本当に何気
ない会話の連続だが…。我が家も良く似た状況で、正しくこ
こに描かれた通りの情景が展開している。見事にやられたと
感じた。
「子供」という共通テーマでも、それは親にとっての子供で
あったり、社会における子供であったり、幼かったり長じて
いたりと、その捉え方は監督によっていろいろだが、それぞ
れ素敵な物語が描かれている。数年前からオムニバス映画は
何本か紹介しているが、玉石混淆が多い中、本作は一番の粒
選りに感じられた。

『かさぶた姫』
avexニュースター・シネマ・コレクションと題するavex製作
による長編作品集の1本。
かさぶたを見ると無性に剥がしたくなるという性癖を持つ女
性が、合コンで出会ったイケ面の男性を好きになったことか
ら始まるちょっとオタクな恋物語。
主人公はOL3人組の1人。大学生との合コンなどにも精を
出しているが、主人公自身はちょっと他人とは違う性癖のた
めに、なかなか男性とは付き合えない気分だ。だがその合コ
ンで1人の男性が気になり始める。
その後、ちょっとしたきっかけで思いの男性と付き合い始め
た彼女だったが、自分の癖のことはうかつには話せない。し
かも仲間のOLからも、「相手が引くから、絶対に話しては
駄目!」と忠告される。
しかし、隠せば隠すほど2人の関係はぎくしゃくし、ついに
は誤解から破局。その上、彼の傍に仲間のOLの姿を認めた
主人公は姿を隠す。ところが、ふと見たサイトで自分と同じ
嗜好の仲間を見つけた彼女は、一躍その世界のアイドルとな
ってしまい…
大学の合コンサークルにフェチサイトやオタク、正しく今の
若者文化が満載という感じの作品だ。監督は、TBSで「花
より男子2」などを手掛けているディレクターとのことで、
その辺の感覚は持っているということなのだろう。
だが問題はそこから、元々「相手が引く」としているものを
扱っているのだから、それを上回るドラマが必要なのにそれ
が出来ていない。つまり引いている観客をそれでも映画に引
き摺り込むパワーが、それ以外の部分に感じられないのだ。
はっきり言ってしまえば、合コンサークルでの集団レイプや
暴行などは、かなり前に事件化したものでいまさら旬ではな
い話題だし、彼女を持ち上げたサイトの主催者が豹変するの
も、何とも古くさい展開としか言いようがない。
フェチ文化というのは、それなりに面白い着眼点だと思うの
だが、基本それをネガティヴに捉えているから、その他の部
分がステレオタイプになってしまっている。それが結局、映
画全体を引いたものにしている感じがした。
主演は、映画『夜のピクニック』『さくらん』にも出ていた
という近野成美と、『カフェ代官山』などの相葉弘樹。ドタ

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11月30日(日)
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