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On the Production
by 井口健二
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■ゴーストバスター、クンフーファイター、ファイヤーライン、バグズ・W、赤んぼ少女、幸せの1ページ、R'nRダイエット、超ウルトラ8兄弟
ズを入れていろいろな自然界のドラマを写し出して行く。
蟻が登場する映画というと、1954年ジョージ・パルの『黒い
絨毯』(The Naked Jungle)が思い浮かぶところだが、もう
1本、1974年公開の『戦慄!昆虫パニック』(Phase IV)も
SFファンには記憶される作品だろう。
どちらも、社会化された蟻の驚異的な集団生活が実写映像を
絡めて写し出されたもので、人間ドラマを描いたフィクショ
ンの中に、ドキュメンタリーの要素が見事に納められていた
作品だった。
本作はその中から人間のドラマを抜いたものとも言えるが、
蟻の驚異的な生態はいろいろと描かれている。ただまあ、ど
こまでが演出で、どこからが自然かと言うと微妙なところも
あって、特に水害の前後のシーンでは明らかに逆に編集され
ているところも観られた。
とは言え、蟻の生態と言うのはいつ見ても興味深いもので、
この作品を観てそれに興味を持ってくれる子供が増えてくれ
れば、それは嬉しいことだ。因に自宅近くの遊園地に併設さ
れた昆虫館で予告編が流されていたそうで、それは良い宣伝
になりそうだ。

『赤んぼ少女』
楳図かずお原作のホラーコミックスを、『魁!!クロマティ高
校』などの山口雄大監督が、野口五郎、浅野温子、生田悦子
らの出演で映画化した作品。
第2次大戦が終って10数年が経った頃の物語。戦時の混乱で
生き別れになり孤児院で育てられた少女が家族に発見され、
山里に建つ洋館の屋敷に帰ってくる。そこには、女性の執事
と美術品コレクターの父親と、子供を失ったショックで気が
変になった母親とが暮らしていた。
そんな家で少女は必ずしも歓待されてはおらず、父親だけが
庇護者のように見えた。そして少女は、その家に何かがいる
気配を感じ始める。それは最初はただの思い出だけが残って
いるようにも見えたが…
脚本は、『Sweet Rain』『L change the World』なども担当
した小林弘利。1986年『星空のむこうの国』以来観ている脚
本家で、まあ多少の当たり外れはあるが、概ねSFファンに
は納得できる作品を手掛けている。
山口雄大監督は、2005年5月にも楳図原作の『プレゼント』
の映画化を紹介しているが、今回は前回ほどのスプラッター
ではないものの、そこそこの描写も含めながら恐怖映画の演
出を手堅く見せている感じのものだ。
ということで、どちらも期待している脚本家と監督の、多分
初顔合せとなる作品のはずの作品だが、その出来は手堅く、
特に楳図作品に欠かせない薄幸の少女の存在が、丁寧に描か
れているのは好ましく感じられた。
この少女役を演じているのは水沢奈子。「制コレGP」出身
の雑誌モデルだそうだが、すでにテレビドラマや映画の経験
もあるようで、ちょっと古風な顔立ちも物語にマッチして、
なかなか良い雰囲気で演じていた。
とは言えこの作品の登場人物では、タイトルロールの「赤ん
ぼ少女」の存在が最重要で、これを、2006年7月に紹介した
『MEATBALL MACHINE』でも山口監督に協力している西村善廣
が、造形から特殊メイクまでの技術を使って描いている。
この哀愁の込められたキャラクターは、ちょっと続編も期待
したくなるものだった。

『幸せの1ページ』“Nim's Island”
オスカー女優のジョディ・フォスターと、2006年『リトル・
ミス・サンシャイン』の演技で、11歳でオスカー助演賞の候
補になったアビゲイル・ブレスリンの共演作品。
フォスターが演じるのは、世界を巡る冒険家アレック・ロー
バーの活躍を綴ったベストセラーシリーズを生み出した人気
作家。ところが本人は、戸口の郵便受に行くこともできない
ほどの大の広場恐怖症だった。
一方、ブレスリンが演じるのは、南太平洋の絶海の孤島に住
む少女。海洋生物学者の父親と2人暮らしだったが、ある日
のこと、父親がヨットで外海に出たまま無線が途切れ、帰港
予定を過ぎても帰って来ない事態になる。
そんな時、1通のメールが届く。それは新作の構想に行き詰
まった作家が、少女の父親の論文を目にし、ヒントを求めて

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06月08日(日)
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