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On the Production
by 井口健二
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■第154回
描かれているとのことだ。
 そして発表によると、アマゾンは2006年の末に本作の映画
化権を獲得し、今回は20世紀フォックスに製作拠点を開設し
て映画製作を始めるというもの。それは単なる出資者として
ではなく、20世紀フォックスとの共同での映画製作から、そ
の後のウェブサイトを活用したプロモーションまで、映画の
公開に至る全般に関わるとされている。因に、アマゾン系列
のウェブサイトの総アクセス数は月間6000万件を下らないと
のことで、これは強力な宣伝媒体になりそうだ。
 またアマゾンでは、すでにリドリー&トニー・スコット監
督との共同事業で、“Anazon Theater”と称してウェブ上で
短編映画の公開も行っており、その流れから長編映画の製作
に乗り出すことは時間の問題と予想されていたようだ。
 そして今回の計画では、脚色に1993年の『フィラデルフィ
ア』などを手掛けたロン・ナイスワーナーが契約しており、
実はWGAのストライキ前に着手していたが、ストの解除で
公式に発表できるようになったとのこと。さらに、今回の計
画に当ってアマゾンでは、映画製作のための特別な担当者を
置くことはせず、全社的に複数の部門が映画製作に関わる体
制を採るとしており、これは映画会社の勝手にはさせないと
いう意志の現れとされている。
        *         *
 『ゾディアック』のデイヴィッド・フィンチャー監督が、
パラマウントとMTVで進められている“Black Hole”と題
されたグラフィックノヴェルの映画化を手掛けることが発表
された。
 原作のグラフィックノヴェルは、タイム誌の表紙なども手
掛ける画家のチャールズ・バーンズが、10年を掛けて12冊に
纏めた作品で、2004年の刊行時にはコミックス関連の賞も受
賞するなど話題になったものだ。内容は、性行為によって媒
介されるBugと呼ばれる奇病を描いたもので、それに罹ると
身体の一部に変形が始まるというホラーじみた設定のお話。
紹介されていたイラストは白黒だが、かなり禍々しい雰囲気
のものになっていた。
 そして今回の映画化では、2006年3月に『ベオウルフ』の
ロジャー・アヴェリーとニール・ゲイマンが脚色を契約し、
一時はアレクサンドル・アジャの監督で進められていたが、
これが頓挫、それをフィンチャーが引き継ぐというものだ。
撮影開始時期は未発表だが、この様子では早めに行われるこ
ともありそうだ。
 なおフィンチャーは、1922年に発表されたF・スコット・
フィッツジェラルド原作のファンタシー系の短編小説“The
Curious Case of Benjamin Button”の映画化を、ブラッド
・ピット、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィント
ン、エリ・ファニングらの共演で進めていたが、その撮影は
すでに完了し、ポストプロダクションの段階になっている。
ただし、この他にも“Torso”“The Killer”といった計画
も進行中とされていて、この内からどれが次回作になるかは
未定のようだ。
        *         *
 『紀元前1万年』が3月7日に全米公開されるローランド
・エメリッヒ監督が、次回作として同じくハラルド・クロー
サーとの共同脚本による“2012”という計画を発表した。
 つまり、B.C.10,000の次はA.D.2012となりそうだが、実は
この年号はアズテカの暦がこの年の12月23日で終っていると
いうことでも話題になっているもので、詳しい内容は未発表
だが、どうやらそれに絡んだ話になりそうだ。製作は今年の
後半に開始され、公開は2009年夏とされている。
 そしてこの脚本が2月下旬にハリウッドの映画各社に提示
され、争奪戦の結果、ソニーが推定2億ドルで契約したこと
も発表された。因にエメリッヒの監督作品では、『インディ
ペンデンス・デイ』が全世界で8億1120万ドルを稼ぎ出して
おり、『デイ・アフター・トゥモロー』は5億2800万ドル、
『Godzilla』も3億7580万ドルとのことで、2億ドルの契約
なら危険はないと判断されたようだ。

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03月01日(土)
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