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On the Production
by 井口健二
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■キトキト!、モンスターハウス3D、NARA、Saru、ボッスン・ナップ、幸せのちから、クロッシング・ブリッジ、パラダイス・ナウ
ったと思うが、同室には、予後不良で長期化している人や、
手術後数日で再手術、そのまま戻ってこなかった人もいて…
この作品では相当に戯画化されてはいるが、その雰囲気は納
得できる感じだった。

『ボッスン・ナップ』“Boss'n Up”
『スタスキー&ハッチ』のリメイク版などにも出演している
ラッパーのスヌープ・ドッグが、自らの製作総指揮、音楽、
主演で2005年に発表した作品。
当時の彼の最新アルバムから楽曲が収録され、巻頭にはゲフ
ェンレコードのロゴマークも出ていたからプロモーション用
に製作された作品と思われる。因に、アメリカで劇場公開さ
れる作品にはお決まりのMPAAのレーティングはなかった
ようだ。
しかし、映画的にはちゃんとしたドラマも作られているし、
上映時間は90分で劇場公開も可能な作品にも見えるものだ。
と言ってもこの内容では、MPAAのレーティングはかなり
厳しいものになりそうだが。
主人公の職業はPimp。簡単に言ってしまえば売春の元締め。
非合法な職業だし、そんな主人公を描いた映画はあまり誉め
られた内容とも言えない。が、アメリカで黒人低所得者層の
若者が成り上がるには、NBA選手かラッパー、後はドラッ
グ・ディーラーにPimpが一番の近道なのだそうで、その意味
ではアメリカ文化を描いた作品とも言えそうだ。
そして主人公は、スーパーマーケットのレジ係から、Pimpの
元締めに誘われ、その教えに従って成り上がって行く姿が描
かれる。その中では、Pimpのルールや女性の扱い方などの指
南も含まれ、正に文化の伝承といった感じもする作品だ。
もちろん実際には、ギャングやマフィアの後ろ楯があるのだ
ろうが、映画ではその辺は無視され、ひたすら正しいPimpの
あり方のようなものが描かれて行く。一部パロディのような
部分もあって、一瞬そうかなとも思ったが、全体はいたって
真面目なものだ。
まあ、こういうアメリカ文化もあるのだということを知ると
いう意味では、それなりに考えさせられるところはある作品
と言えそうだ。だからといって、何か得るところがあるかと
いわれると、日本の中では答えに窮するところはあるが…。
取り敢えず、スヌープ・ドッグを始めとするこの種の音楽が
好きな人には、2年前の作品ではあるが彼の楽曲は存分に聞
かれるし、その意味での価値は認められるものだ。

『幸せのちから』“The Pursuit of Happyness”
ウィル・スミス製作、主演による実話に基づくアメリカンド
リームの物語。因に原題のスペルにはちゃんと意味がある。
主人公は、高校での数学の成績は優秀だったが、家庭の事情
で大学には行けず、そういう黒人青年のその後の生活は社会
の底辺に近いものだ。
そんな彼には妻と一人息子の家族があったが、一攫千金を夢
見て全財産をはたいて手に入れた医療器具の独占販売権は、
性能は素晴らしいがそこまでは要らないという代物。その在
庫も抱えて、家賃も滞納、税金も払えない。そしてついに妻
が家を出て行ってしまう。
しかし彼には、子供の頃に施設に預けられていたという経験
があり、息子だけは絶対に手放さないと心に決めている。こ
うして、幼い息子の手を引きながらの奮闘が始まるが…
もちろん、最終的に成功を納めた人物の物語だが、それが嫌
みに感じられないのは、彼の努力の様子が具体的に描かれて
いるからだろう。そこには彼の天賦の才能も係るし、幸運に
も恵まれるが、でも努力が報われるという基本的な部分が見
事に描かれている。
製作したコロムビア映画には、1979年度のアカデミー賞で作
品、監督、脚色、主演男優、助演女優賞を独占した『クレイ
マー、クレイマー』があるが、前作の背景となる1970年代と
本作の80年代とでは、その困難さが桁違いなっていることも
興味深かった。
そんな中で、主人公は子連れで、野宿やホームレスの施設に
泊まりながら一縷の望みを賭けた目標に向かって努力を続け
て行くのだ。
時代背景的には、多分バブルに向かって行く直前の、彼にと

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01月19日(金)
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