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On the Production
by 井口健二
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■ココシリ、奇跡の夏、ブギーマン、ハチミツとクローバー、ビースティ・ボーイズ、ダ・ヴィンチ・コード
恋愛関係を描く青春ものは、ラヴコメという言葉で代表され
るように映画でも数多く作られている。しかしそうした作品
の大半は、絵空事というか現実感の無い、僕のような擦れた
ものの目から見れば面白くも何ともない作品ばかりだった。
本作についても、事前のイメージはそんなものだったし、映
画が始まっても、天才画家の少女などという設定では、先が
思いやられると感じていたものだ。
ところが途中から、自分自身の青春を見ているようなそんな
気持ちが湧き上がってきた。
僕も、学生時代はSFを通じて大学や組織を横断したグルー
プに所属し、そんな中で自分のやっていることに自信が持て
ず、ちょうどこの物語の主人公のような感じだった。そんな
気持ちが思い出されてきたものだ。
いやそれだけではなく、年上の女性に憧れたり、年下の女性
をいとおしく思ったり、そんな青春が実に等身大に描かれて
いる。もちろん天才画家であったり、天才彫刻家であったり
というのは現実離れしているけれど、そこに描かれる青春は
現実的に描かれていた。
もっともこれは、年を取ってから青春を考えるときのオブラ
ートに包まれたような思い出の姿なのだけれど、そんな感覚
が見事に描かれている作品のようにも感じられた。多分この
映画の本当の観客層には関係ない話だろうが…
出演は、櫻井翔、蒼井優、伊勢谷友介、加瀬亮、関めぐみ。
どの配役も実に役柄にピッタリなのにも感心した。
『ビースティ・ボーイズ/撮られっぱなし天国』
“Awesome; I Fuckn' Shot That!”
2004年にマジソン・スクェア・ガーデンで行われたライヴの
模様を、応募した中から選ばれたファン50人が会場の各所で
撮影した映像を素材にして、1年以上掛けて編集、再構成し
た映像作品。今年1月のサンダンス映画祭に出品されて話題
になっていた。
撮影に使われたのは小型のDVカメラで、暗い場内での撮影
は画質が荒れたり、一方、ロングからのステージ面はハイラ
イトがサチュレーションしていたりと、万全とは言えない画
面だが、その迫力は存分に伝わってくる映像の数々だ。
開始前に選ばれたファンたちに伝えられた撮影のルールはた
だ一つ。客席のライトが落ちたときにスイッチを入れ、後は
2時間絶対に収録を止めないこと。お陰で、途中でやむなく
トイレに走った奴はその中も撮影するし、逆に客席では飽き
足らなくなってバックステージに潜り込こもうとする奴が鍵
をこじ開けているシーンなども登場する。
そんなハプニングも織りまぜて、さらに映像はソラリゼーシ
ョンなどのエフェクトから、CGIまで取り込んで見事な映
像作品に仕上がっている。それに何より会場の熱気が見事に
伝えられたものだ。
見始めたときには、小型のDVカメラは日本製だろうし、な
ぜ日本人が先にこのような試みをしなかったのだろうかとも
考えた。しかし、元々このバンドのメムバーの一人が映像作
家であり、その彼の発案ということで納得はした。それにし
ても、という感じではあるが。
原題は、撮影に参加した人たちへのアドヴァイスの一部で、
「40年後に孫と一緒にこの映像を身ながら、“Awesome; I
Fuckn' Shot That!”なんて言えたらいいね」というもの。
参加したファンには最高の思い出だろうなあ、と羨ましくも
なった。
なお、演奏される楽曲はヒップホップなものから、ジャズ風
のものまでさまざまで、一つのバンドなのにその多様さにも
驚くが、最後の曲がジョージ・W・ブッシュに捧げるとして
“Sabotage”というのは恐れ入った。
因に、この曲は9/11直後の放送自粛曲にもリストアップされ
ていたものだそうだが、それを知って、映画の中では歌詞が
翻訳されていないのが残念に思えた。
(5月20日更新)
『ダ・ヴィンチ・コード』“The Da Vinci Code”
ダン・ブラウン原作による世界的ベストセラーの映画化。
この映画化を、アキヴァ・ゴールズマン脚色、ロン・ハワー
ド監督、トム・ハンクス主演という現在ハリウッドが考え得
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05月14日(日)
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