ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460133hit]
■リバティーン、転がれ!たま子、ウォレスとグルミット、沈黙の追撃、アブノーマル・ビューティ、僕の彼女を知らないとスパイ、ジャケット
い人的被害はないようで、次の作品もぜひとも楽しみたいと
思ったものだ。
『沈黙の追撃』“Submerged”
スティーヴン・セガール主演のアクション映画。セガールの
アクション映画は、10月末にかなりの珍品を紹介したばかり
が、今回はやや真面目な物語だ。
舞台は南米のウルグアイ。奥地のダムに隠された秘密がスパ
イヘリからアメリカ大使館に送られた映像で明かされようと
した瞬間、3人のシークレットサーヴィスが大使を射殺、自
分たちも互いに銃を向け同時に発射して果てるという事件が
起きる。
この事態を重く見たCIAは、過去の作戦での命令違反を問
われて服役中だったコーディを復帰させ、彼の仲間に秘密の
暴露と事態の収拾を命じるのだが、現地に向かった彼らは最
初から作戦を変更し、独自の作戦を展開し始める。
このコーディをセガールが演じ、一癖も二癖もありそうな部
下たちと猛烈なアクションを展開するという物語だ。
実は背景には、高度な洗脳技術を開発した博士がいて、その
博士が大企業の資本の許、ウルグアイ政府の転覆計画や諸々
の事件を引き起こしているのだが、それをコーディ達が見事
に粉砕するというお話になる。
そしてこのお話に、ジャングルからダムサイト、研究所、潜
水艦からオペラ劇場など様々なシチュエーションを使って、
銃撃戦から格闘技までの多彩なアクションが展開する。結局
のところセガール映画の観客はそれが期待だし、その期待に
は充分に応えている作品だ。
とは言うものの、巻頭などに登場する洗脳のシーンのVFX
はそれなりに凝っていたし、他にもおやと思わせるシーンも
あって、以前のセガール映画からみると、多少はいろいろな
ことをし始めた感じはしてきた。
なお、宣伝はアメリカ映画となっているが、エンドクレジッ
トではUKとブルガリアの共同製作となっていた。ウルグア
イが舞台なのに、撮影はブルガリアとは…それ自体ファンタ
スティックな感じがしたものだ。
『アブノーマル・ビューティ』“死亡冩真”
『the EYE』などで香港・タイを股に掛けて活躍するパン兄
弟の製作、兄オキサイド・パンの脚本監督によるサスペンス
作品。
主人公は大学で美術を専攻する女子学生。生活環境にも才能
にも恵まれた彼女の作品は、学校の内外で高い評価を受けて
いたが、彼女自身は物足りないものを感じていた。
そんなある日、彼女は起きたばかりの交通事故の現場に遭遇
し、そこで死んで行く女性の姿を夢中になって撮影してしま
う。これにより彼女は、自分の作品に足りなかったものが死
であったことに気づくことになる。
そして彼女は、大量に購入した死を撮影した写真集に共感を
覚え、自ら同様の作品の撮影にのめり込んで行く。ところが
その頃から、彼女の回りに不穏なものが届き始め、彼女自身
が異常な世界を彷徨うことになる。
この物語に、背景となる親子の断絶や子供の頃の性的なトラ
ウマなどを盛り込んで、普段見慣れた香港映画とはちょっと
違ったテイストの作品が生み出されている。ただしパン兄弟
の作品は、相当複雑な物語でも結末をうやむやにせず、ちゃ
んと終わらせるところが見終ってすっきりするものだ。
特に日本映画では、たまに妙な感じを映画館の外まで引き摺
ってしまうような作品も見掛ける。その善し悪しは見る人間
の精神状態にも拠りそうだが、娯楽映画である以上は、僕は
パン兄弟のようにすっきりする作品の方が好きだ。それによ
り多少テーマ性が希薄になるのは仕方がないと考える。
なお、主演はシンガポール出身で香港で活躍する人気姉妹デ
ュオ2Rの妹のレース・ウォン。姉のロザンヌもクラスメー
トの役で重要な役どころを演じている。基本的には人気アイ
ドルという2Rだと思われるが、それにしてはかなり際どい
作品だ。特に後半のアブノーマルな世界に入ってからの体当
たりの演技はよく頑張っている。
他にはアンソン・リョン、ミシェル・ライらが共演、2004年
の作品で香港での公開時には初登場第1位に輝いたそうだ。
[5]続きを読む
12月29日(木)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る