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On the Production
by 井口健二
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■ディア・ウェンディ、ザ・コーポレーション、RIZE、三年身籠る、イントゥ・ザ・サン、変身、NOEL、ポビーとディンガン
のかも知れないが、この事実にはちょっと凄いと感じた。
『三年身籠る』
女優の唯野未歩子が、原作、脚本、監督を手掛けたちょっと
メルヘンチックな妊娠物語。唯野自身は出演せず、主人公の
妊婦役はお笑いタレントのオセロ中島知子。その脇を、木内
みどり、西島秀俊、塩見三省、奥田恵梨華らが固めている。
物語は、妊娠9カ月から始まって、いつまで経っても出産せ
ずに、どんどんお腹が大きくなる主人公の姿を追いながら、
その夫や、女系一家の母親に祖母、さらに妹とその愛人の大
学病院の助教授などを巻き込んで、夫の浮気などいろいろな
ドラマが展開される。
実は、3年間の妊娠ということ自体がちょっと特異なテーマ
のようにも見えたので、見る前はそのテーマに沿って物語が
進むのかと思ったのだが、実際はそのテーマ自体はあまり深
追いせず、それより周囲の人々の人間模様を点描的に描いて
いる感じのものだ。
しかも、その描かれている周囲のドラマが結構捻りが利いて
いて、いろいろ笑えるのがうまいという感じの作品だった。
と言ってもクライマックスは当然出産になる訳だが、そこま
で持って行く展開もいろいろありで、それなりに考えられて
いる感じはした。
因にネットで調べてみると、武蔵坊弁慶は17カ月母親の胎内
にいたそうだし、老子に至っては72年間胎内にいて生まれた
ときはすでに白髪の老人だったとか。また、3年胎内にいて
生まれたときに髪と歯が生えていると鬼っ子と呼ばれるとい
う定義(?)もあるなど、長期間胎内にいた人物の伝説はい
ろいろ有るようだ。
従って、3年程度の長さではそれ自体をテーマにするほども
のでもなかったようで、その辺がちゃんとわきまえられてい
るのも良いと感じた。
なお、中島の演技は、悪くないと言うか最初から演技という
ほどのものをしなくて良い脚本になっている感じで、それ自
体は問題ない感じだった。また女性監督らしく、中島を含め
各女優陣を実に可愛らしく撮っているのも良い感じがした。
『イントゥ・ザ・サン』“Into the Sun”
スティーヴン・セガール製作総指揮、主演による東京が舞台
のアクション作品。
シドニー・ポラック監督で、ロバート・ミッチャムと高倉健
が主演した1975年の映画『ザ・ヤクザ』を、セガールの主演
でリメイクするという情報が一時期流れたことがある。その
企画はいつの間にか消えてしまったようだが、本作はそれに
変わって登場してきたという感じもするものだ。
違法滞在の外国人を強制退去させることを公約にして当選し
た東京都知事が暗殺される。その陰に国際テロ組織の存在を
疑うFBIは、CIAの日本支部に協力を要請し、日本の裏
社会に詳しい諜報員のセガール扮するトラヴィスがその捜査
に当たることになる。
しかしトラヴィスは、その犯罪がテロ組織によるものではな
く、日本のヤクザの一部が中国蛇頭と組んだ結果であること
を突き止め、それを放置することは、日本の裏社会の存亡に
関わると判断する。そして、彼はその阻止に立ち上がるが…
と言うことで、日本側には大沢たかお、寺尾聰、伊武雅刀、
豊原功補らも繰り出して、一大抗争劇が展開する。と言って
も、まあセガールの主演なので、東映のヤクザ映画とはかな
り違った、どちらかと言うと格闘技アクション映画という感
じの作品だ。
実際のところ、試写会が終ったところでは、かなり憮然とし
た表情の人もいたようだが、僕自身はなんと言うか、別に拘
わりもなく楽しむことができた。所詮B級なのだし、逆に突
っ込みどころはいろいろあるので話の種にはなるし、そんな
感じ楽しめばいい。
いや、本当に話の種にはいろいろあるので、好きな仲間同士
で見れば、後で盛り上がること必定という感じの作品だ。
なお、ハリウッドからの共演者は、マシュー・デイヴィスや
ウィリアム・アザートンなどそこそこのメムバーが揃えられ
ている。他に日本からは栗山千明も出演しているが、本作の
監督ミンクは、クエンティン・タランティーノの門下生だそ
うだ。
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10月30日(日)
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