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On the Production
by 井口健二
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■女は男の未来だ、秘密のかけら、僕のNYライフ、ダイヤモンド・イン・パラダイス、少林キョンシー、七人のマッハ、トレジャー・ハンターズ
ダイヤ。それぞれ数100万ドルとも言われるそのダイヤを、
FBIの目の前から次々に盗み出した怪盗。しかもこの男、
アリバイづくりの名人とも言われ、それゆえ状況証拠だけで
は逮捕も不可能だった。
しかし3個のうち2個のダイヤが彼の手に入ったとき、パー
トナーの女性は引退を要求、彼は自分の年齢も考えて2人は
パラダイスの島で悠々自適の生活を送るようになる。そして
女性は、その島での生活を謳歌するようになるのだが…
そんなとき1人の男が彼を訪ねてくる。その男こそ、彼が出
し抜いて何度もその眼前からダイヤを盗み出したFBIの捜
査官。島では捜査権がないことを承知で接近してきた男は、
彼に3個目のダイヤが島に寄港するクルーズ船で展示される
という情報をもたらす。
その情報には、彼にそのダイヤを狙わせ、その現場で逮捕し
ようという作戦が見え見えだったが…もちろんパートナーは
その仕事に猛反対、しかし彼の中では仕事に虫が動き出す。
そして地元の警察や顔役までもが登場して、虚々実々のドラ
マが展開する。
この怪盗をブロスナン、パートナーをハエック、捜査官をハ
レルソンが演じ、他に、『オーシャンズ11』のドン・チード
ル、『28日後...』のナオミ・ハリスらが共演。
怪盗ものといっても、007や『ミッション・インポッシブ
ル』のような大仕掛けがある訳ではない。ただしそこそこの
仕掛けは登場し、それが逆に現実味もあるのだが…まあその
辺が微妙なところと言えるかも知れない。
ブロスナンも、007で見せる精悍さと言うよりは、多少は
老境が入っているという感じで、特にハエックに振り回され
ている感じは面白かった。バハマで撮影された海洋シーンも
美しく、大作映画でないことを納得すれば、それなりの作品
という感じだろう。
また、チームは2人の個人営業なのに、うまく外部の組織を
利用して情報を集めさせるなど、いわゆるアウトソーシング
をしているところは、最近の経済活動などにも通じるところ
があって、その辺にも興味を引かれた。

『少林キョンシー』“少林疆屍”
1980年代の後半に日本でも一大ブームとなった中国製ゾンビ
=キョンシー映画の久々の復活版。本家本元の香港で2004年
に製作された作品ということだ。
以前のブームの時には、元祖の『霊幻道士』シリーズは見た
記憶がある。サモ・ハン・キンポー製作によるこのシリーズ
は、アクション+コミカルな要素もうまくアレンジされて、
実に楽しめるものだった。
そのキョンシー・ブームは1990年代の前半には消滅していた
ようだが、今回の作品は、当時のイメージそのままにそれが
復活したものだ。
キョンシーとは、他所で死んだ人の遺体を故郷に連れ帰るた
め、輸送手段もない時代に、その遺体を一時的に復活させ、
霊幻道士の先導で夜間に行列を作って故郷へと向かって行く
もの。多分、子供に夜遊びをさせないための親の作り話なの
だろうが、何となく理に適っていて昔もなるほどと思ったも
のだ。
そのキョンシーと霊幻道士の一団がとある村に差し掛かる。
その村には徒ならぬ妖気が漂っていた。そして彼らは浮かば
れない霊魂の集団に襲われ、あわやというところに別の道士
が現れて霊魂たちを退治してしまうのだが…そのやり方はか
なり手荒いものだった。
実は、後から来た道士は主人公の兄弟子だったが、師匠は息
子でもあるその男には跡を継がせず、主人公に跡を譲ったの
だった。そんな確執のある2人の道士を巡って、強大な力を
持つ妖魔との闘いが始まる。
賑やかな食堂での食事が、突然飛んでもないものに変ってし
まう昔ながらのエピソードに始まって、ワイヤーアクション
や、最後はディジタルエフェクトまでも投入しての大アクシ
ョンが展開する。また題名の通り、少林寺ばりの集団演武も
見られるというサーヴィスてんこ盛りの作品だ。
キョンシーの衣装や主人公の服装などは昔のまま。助手の女
性の衣装の露出が多少増えたかなという程度で、風景や雰囲
気なども昔のままというのは、その伝統の重さのようなもの

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10月14日(金)
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