ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460249hit]
■マスター&C、殺人の追憶、LovelyR、ビッグ・フィッシュ、ハッピー・F、いつかきっと、ディボース・S、ペイチェック、グッド・ガール
映画化は、ジョニー・デップ主演で今年5月の撮影開始がす
でに発表されているが、今回発揮した大人の映画作りがそれ
にどう活かされるか。脚本を、本作と同じジョン・オーガス
トが担当しているのも楽しみだ。
因に、出演者のデヴィートは、ダール原作『マチルダ』の監
督でも知られており、今回の出演にはその絡みもあったのか
も知れない。また、本作では、ジェシカ・ラング、ヘレナ・
ボナム=カーター、アリスン・ローマンら個性的な女優の配
役も見事だった。
『ハッピー・フライト』“View from the Top”
グウィネス・パルトロウ主演のハリウッド版『スチュワーデ
ス物語』。
不幸な家庭に育った田舎娘が、一念発起して国際線ファース
トクラスのフライトアテンダントを目指す。と言っても、ス
タートは地方の弱小エアライン、そして徐々にトップに上り
詰めて行く過程が描かれる。
本当に、たまにはこういう罪のない映画を見るのも良い。ほ
とんど毒もないし。それでいて、成績は優秀だったが身体的
な問題で道を閉ざされてしまったマイク・マイヤーズ扮する
訓練教官の話などは、ちょっとほろりとさせられる訳で、そ
の辺の作りも壺を得ている。
監督は、ブラジル出身で『クワトロ・ディアス』などのブル
ーノ・バレット。表記の作品は政治絡みの作品だったはずだ
が、それでも重要なところでサッカーが絡んで、ちょっとニ
ヤリとする結末だったと記憶している。
この監督、現在はブラジルとハリウッドで交互に作品を発表
しているようだが、プロダクション・ノートによると、観客
が楽しいと思える作品を作りたいのだそうで、その意味で本
作は、監督の考えにマッチした作品と言えそうだ。
物語にも破綻がない、と言うか破綻が生じるような話ではな
いし、それでいて双発のプロペラ機が悠然と飛行するシーン
や、わざわざパンナムに関わる話題を出してくる辺りは、結
構解かっている感じもあって、見ている間は文句なく楽しめ
た。
本当に、たまにはこういう映画を見るのも良いものだ。
『いつか、きっと』“La Vie Promise”
『8人の女たち』や『ピアニスト』のイザベル・ユベール主
演による母親と娘の物語。
母親は、ニースの街角に立つ娼婦。施設に預けている14歳の
一人娘が面会日に訪れても、母親は自分の境遇に染めさせた
くないのか、いつも邪険にしてそばに寄せようとしない。し
かし娘は、母親の愛情に飢えている。
そんな母親と娘が、ちょっとしたことから一緒に逃亡しなけ
ればならなくなる。思いついた行き先は、昔母親が束の間の
家庭を持った北部の村。しかし過去を捨て去ろうとしてきた
母親は、その場所の風景や住所も定かには記憶していない。
そして2人は旅の中で、時に反発し、時に寄り添いながら、
徐々に絆を再構築して行く。そんな2人を包み込むように、
フランスの田園地帯の風景が描かれる。
この描かれる風景の美しさが実に見事だった。そう言えば、
昨年紹介したエマニュエル・ベアール主演の『かげろう』で
も、美しいフランスの田園が描かれていたが、フランス映画
界に何かそう言う動きでもあるのだろうか。
なお、監督のオリヴィエ・ダアルは、この作品の次に『クリ
ムゾン・リバー2』を担当したようだが、『クリムゾン・リ
バー』も大自然が背景の作品だったから、この感覚が活かさ
れているのかも知れない。それなら期待したくなった。
母親と娘の関係の物語だから、父親の立場の僕には多少解か
りづらいところもあったが、この境遇ならこうなってしまう
かも知れないという感じは理解できた。そして彼女たちに寄
り添う男性の姿も良かった。
『ディボース・ショウ』“Intolerable Cruelty”
ロサンゼルスを舞台に、ジョージ・クルーニーとキャサリン
・ゼタ=ジョーンズの共演、コーエン兄弟の脚本監督で描い
た離婚裁判コメディ。
クルーニーは離婚訴訟専門の弁護士、そしてゼタ=ジョーン
ズは結婚→離婚で財産作りを目指す女性。この2人が丁々発
止のやりとりを繰り広げる。
[5]続きを読む
01月31日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る