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On the Production
by 井口健二
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■第55回
 ただしこの手紙では撮影を3月にロンドンで行うとあり、
残念ながら上記の“The Libertine”の撮影と重なってしま
うことになる。従って、撮影のスケジュールが変わらない限
りはちょっと望み薄の感じだが、デップのバンドリーダーで
ゾンビ役というのも面白そうだし、ロメロもここまで手紙を
公表しておいて今更引き下がるというのも情けないし、何と
かスケジュールの再調整を期待したいものだ。
        *         *
 お次も続報で、第53回で紹介した“The Pacifier”でコメ
ディに挑戦するヴィン・ディーゼルに、強力な助っ人が登場
した。前回は未定だった監督に、『女神が家にやってきた』
のアダム・シャンクマンの起用が発表されたものだ。
 この作品は、前回も紹介したように、要人警護担当の潜入
捜査官の主人公がいろいろな経緯から子供の警護を命じられ
るというもの。シュワルツェネッガー主演のアクションコメ
ディ作品にも比較されていたが、ディーゼルにとっては事実
上初のコメディ作品となるもので、しかも子供相手というの
は、主人公ならずともかなりきつい仕事になりそうだった。
 そこにシャンクマン監督が決ったもので、『女神が家にや
ってきた』では、興行成績1億3253万ドルで昨年度の第13位
の大ヒットを記録したコメディ得意の監督の起用は、ディー
ゼルにとってもかなりの朗報と言えそうだ。
 なお、大ヒット作を手掛けて注目度の高いシャンクマンほ
どの監督が、今回突然に起用が決ったのには裏があって、実
はシャンクマンは、スパイグラス製作、ソニー配給で、第50
回に紹介した“Four Christmass”の計画を、4月撮影開始
予定で進めていた。
 ところが、その後に第53回に紹介したジョー・ロス監督の
“Skipping Christmass”の計画がリヴォルーションから発
表され、ソニーはその配給を手掛けることになった。しかし
同じ2004年のクリスマスシーズンを目指す作品が2本では共
倒れになると判断したソニーは、スパイグラスとシャンクマ
ンに1年間の製作延期を要請。これに対しスパイグラスは、
一旦は他社での配給を検討したものの、結局はソニーの要請
を受け入れることにしたものだ。
 そこでスパイグラスが、改めてディズニー配給で進めてい
たディーゼル作品の監督をシャンクマンに要請した訳だが、
シャンクマンはこれを問題なく受け入れたということだ。ま
あシャンクマンにしても、今が旬のディーゼルを演出するこ
とには興味を引かれたというところかもしれないが、いずれ
にしても八方丸く納まることにはなったようだ。
        *         *
 続いても監督決定の情報で、ジェームズ・エルロイ原作の
犯罪小説“The Black Dahlia”の映画化の計画に、ブライア
ン・デ=パルマ監督の名前が発表された。
 この作品は、1947年に発生して迷宮入りとなっている女優
エリザベス・ショート殺人事件という現実の事件を題材にし
たもので、事件を追った二人のロサンゼルス市警刑事を主人
公にして描かれている。彼らは事件を追う内に死んだ女性に
魅せられて行き、ついには事件の真相に辿り着くのだが…と
いう展開のものだ。
 そしてこの映画化の計画は、同じくエルロイ原作の『LA
コンフィデンシャル』がアカデミー賞脚色賞などを受賞した
1998年に最初に発表され、このときは『セブン』『ゲーム』
で勢いに乗るデイヴィッド・フィンチャーが、『ファイト・
クラブ』の次に監督する予定になっていた。しかしその計画
は実現せず、そのまま今に至っていたものだ。
 その計画が、今回はデ=パルマが1987年に監督した『アン
タッチャブル』などを手掛けた製作者アート・リンスンの下
で進められているもので、その関係からデ=パルマにオファ
ーされ、監督を引き受けることになったようだ。
 また、共同製作者には、当初からこの計画を進めているル
ディ・コーエンとモシェ・ディアマントも参加しており、彼
らが用意したジョシュ・フライドマンの準備稿がデ=パルマ

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01月15日(木)
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