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On the Production
by 井口健二
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■龍城恋歌、アイデンティティー、ネレ&キャプテン、フレディVSジェイソン、マッチスティック・メン、しあわせな孤独、MUSA、NCW
『マッチスティック・メン』“Matchstick Men”
リドリー・スコット監督とニコラス・ケイジが手を組んだコ
ン(詐欺師)ムーヴィ。
スコットと言えば、『エイリアン』『ブレードランナー』に
始まって、『グディエーター』『ブラックホーク・ダウン』
などアクション主体の作品のイメージを持つが、本作は意外
にも父娘の関係を中心にした詐欺師物語。アクションはほと
んどなく、新境地開拓と言うところだ。
父娘を中心にした詐欺師物語と言えば、どうしたって『ペー
パー・ムーン』が頭に浮かんでしまうが、本作はそれに負け
ず劣らずの心に暖かいものを残してくれる見事な作品だ。
異常なまでの潔癖症の中年の詐欺師と、14歳の彼の娘。長く
離れ離れだった娘の出現で、彼の潔癖症も納まり始めるが、
父親譲りの詐欺の才能を発揮する娘を、ふと大仕事に巻き込
んだために、事態は思わぬ方向に進んでしまう。
実は映画を見終ったときに、最初はこれでいいのかと思った
のだが、これが見事なハッピーエンドであることに後から気
がついた。つまり僕も映画の術中に見事に填められていたと
いうこと。脚本の上手さと演出の上手さ、そして俳優の見事
な演技が重なってすばらしい作品に仕上がっている。
特に、14歳の娘を演じるアリソン・ローマンは、今年初めに
『ホワイト・オランダー』を見ているが、その時にも見せた
彼女の演技には今更ながらに舌を巻く。次はティム・バート
ン監督の“Big Fish”が控えているが、今度はどんな演技を
見せてくれるか楽しみだ。
考えてみればスコットは、『エイリアン』『ハンニバル』な
ど、女性を主人公にした作品にも見事な手腕を見せてくれて
いるのだった。
『しあわせな孤独』“Elsker dig for evigt”
結婚を控えた幸せな生活を突然破壊した交通事故。その事故
で首から下が不随になった男の婚約者。これに対する事故の
加害者の夫で男が入院した病院の医師が、同情からやがて抜
き差しならない関係になって行く姿を描いたドラマ。
デンマークの映画ムーヴメント、ドグマグループの作品で、
デンマークでは国民の8人に1人が見たと言われ、今年の同
国のアカデミー賞では3部門で受賞している。
事故で幸せな生活が一瞬のうちに奪われた女と、それに同情
した男。突然自分の身にも降りかかるかも知れないシチュエ
ーションが観客の共感を呼ぶ。僕は男性として、主人公の医
師の行動には、馬鹿だなあと思う反面、自分はこの誘惑に抗
し切れるかという考えも湧く。
不道徳な物語だが、そんな現実味が迫ってくる。ドグマの作
品は、全編手持ちカメラで、人工照明も使用しないという決
まりがあるが、この作品の現実味は、その撮影方法にも効果
があるように感じた。
画質を変えて登場人物の心理を描く表現手法も、映画の流れ
の中で良いアクセントになっていた。
『MUSA』“武士”
中国大陸1万キロにおよぶ大ロケーションを敢行したという
韓国製チャンバラ時代劇。読みがこうなら原題は『武者』か
と思ったら、韓国語の発音では違うようだ。
時代は14世紀。明との関係が悪化しつつある高麗の派遣した
使節団が、明と蒙古との闘いに巻き込まれる。しかも行きが
かりで蒙古軍に捕えられていた明の姫を救出したことから、
砂漠の中を蒙古軍に追い立てられ、過酷な運命に翻弄される
ことになる。
一旦救出した姫君を要求され、彼女を差し出せは助かること
が解かっていながら、それをすることが出来なくなってしま
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09月16日(火)
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