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On the Production
by 井口健二
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■おさるのベン、マーティ・シュプリーム、水の中で息をする-彼女でも彼でもなく-、ウィキッド永遠の約束、ランニング・マン
な選手だった。そして勝負に屈して失意で帰国した彼を待っ
ていたのは、強盗の容疑と恋人の妊娠。
この事態に主人公はロンドンで知り合った富豪の夫妻に取り
入り、次の世界大会が開かれるトウキョウに向かおうとする
が。彼の前にはさらに様々な難題が立ち塞がる。果たして彼
は日本で雪辱を果たせるか?
共演は、映画出演は久々のアカデミー賞®女優グウィネス・
パルトロウと、近年急速に地位を確立しつつあるとされる若
手のオデッサ・アザイオン。他に投資家としても知られるケ
ヴィン・オレアリー、ラッパーのタイラー・オコンマ。
さらに映画監督でもあるアベル・フェレーラ、ゴールデング
ローブ2度受賞のフラン・ドレシャー。そして2025デフリン
ピックで卓球男子団体戦銅メダリストの川口功人がライヴァ
ルの日本人選手として登場する。
映画の前半での主人公は正しく最低の人物で、特にアウシュ
ヴィッツのサヴァイヴァーを揶揄した後で「僕もユダヤ人だ
けどね」と言い放つ辺りは、これは反ユダヤ思想の映画かと
思うくらいのものだった。
それが徐々にスポーツの道に目覚めて行き、最後はアスリー
トとしての成長を見せる。それが上野恩賜公園に特設された
という見事に時代考証されたオープンセットで完璧に描き切
られた作品だ。
実は監督のグランプリ受賞作は、2014年11月2日付でも書い
たように僕には鑑賞に堪えられなかったもの。しかしその時
のある種の嫌味な感じが本作では活かされたのかな。特に映
画の前半では見事と言えるものだった。
正に映画の表現力を侮ってはいけないというところだろう。
それに駐留軍米人の振る小旗から日本人観客の衣装まで、時
代考証の見事さも特筆できる作品だ。そして日本人選手の名
前がエンドウと言うのも嬉しかった。
公開は2026年3月13日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷
他にて全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ
オの招待で試写を観て投稿するものです。
『水の中で息をする-彼女でも彼でもなく-』
“Holding Back Tide”
日本では秋冬の味覚として珍重される牡蠣は、最初は全てが
オスとして誕生するが、環境に応じて一部がメスに変態して
子孫を残す。そんな牡蠣の生態をクイアに擬えて描いたハイ
パードキュメンタリー。
主にニューヨーク州を流れるハドソン川が注ぐニューヨーク
湾は全長 500マイル(約 800q)に及ぶ海岸線を有し、かつて
は世界有数の牡蠣の生産地として知られていた。しかしその
牡蠣は乱獲などによって今や絶滅の危機にあるという。
そんな牡蠣は食用とされるだけでなく、水の浄化やその貝殻
の堆積により天然の防波堤が形成されて海岸線の浸食や洪水
の防止などの効果もあり、さらにその貝殻が新たな牡蠣の繁
殖の場を提供する効果もあるとされる。
そこで近年その牡蠣を復活させる運動として「2035年までに
10億個の牡蠣を海に戻す」ことを目標としたBillion Oyster
Project(BOP)が進められ、早くも水質改善の効果が報告
されているということだ。
という牡蠣を取り巻く状況が、黒人奴隷が牡蠣の殻剥きに従
事してるアーカイヴの映像や、アスリートから牡蠣の養殖師
に転身した元女子プロバスケットボールのスター選手のイン
タヴューなどと共に描かれて行く。
監督は、2016年に“La Frontierra Chingada”と言う米墨国
境に取材したドキュメンタリー作品でデビューしているエミ
リー・パッカー。以降は短編ドキュメンタリーを主に制作し
て、本作はデビュー作以来の長編作品のようだ。
出演はドキュメンタリーパートに元女子プロバスケットボー
ル選手のスー・ウィックス。フィクションパートにはパフォ
ーマーのドラゴンフライ、アーシア・テイラー・パタースン
らが登場する。
自分のニューヨークの引き出しの中にはグランドセントラル
のオイスターバーというのがあって、現地に行ったことはな
いが以前は東京にもそこが由来の生牡蠣を食べさせる店など
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12月21日(日)
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