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On the Production
by 井口健二
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■たしかにあった幻、在日ミャンマー人−わたしたちの自由−、ブゴニア、木挽町のあだ討ち
デターが描かれ、それに対する日本の関与が明白に語られる
のだ。それは第2部にも描かれた日本からの援助などによる
国内の発展の裏で進められていた。
そしてそれは日本人として看過できないものになっている。
さらにはミャンマー国軍の将校を日本に留学させ、防衛大学
校で教育したなどの事実も提示され、正に日本の意向でクー
デターが起きたかのような印象も描かれる。
因に日本ではミャンマー人の多くは難民として認められてい
るようだ。その点はクルド人問題とも異なる。それは日本が
クーデター政権を認めていないためでもあるが、その実態は
見事に隠されている。その狡猾さも恐れ入った
いやはや、昨今の台湾有事論争の裏側もこんなことに通じて
いるのかな。そんなことも目の当たりにする感じだった。こ
れは日本人の全員が観てしっかりと考えるべき作品だろう。
右傾化の中で何が起きているかが判る。
まったくもって考えさせられる。恐ろしくもあり素晴らしい
作品だった。
公開は2026年1月30日からUPLINK吉祥寺で先行上映の後、東
京地区は2月14日より新宿K's cinema他にて全国順次ロード
ショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社きろくびとの招待で試写を観て
投稿するものです。
『ブゴニア』“Bugonia”
2025年9月紹介『エディントンへようこそ』などのアリ・ア
スターと韓国CJE&Mが手を組んで、2018年12月16日付題
名紹介『女王陛下のお気に入り』などのヨルゴス・ランティ
モス監督と共に、2003年の韓国映画『地球を守れ!』を英語
版リメイクした作品。
登場するのは地元の企業で下働きをしながら従弟と共に養蜂
業を営む男。そんな従兄弟同士の2人が蜜蜂の異常行動から
ある陰謀論に憑りつかれる。それは宇宙人の指金で、人類は
滅亡に導かれているというものだ。
そんな2人はある経緯から彼が勤める会社の女社長が宇宙人
と決めつけ、彼女を誘拐して宇宙人の船に乗り込み、その首
謀者に直談判することを思いつく。そして女社長を拉致し、
通信手段とされる髪を丸刈りにして監禁するが…。
百戦錬磨の女社長と陰謀論に憑りつかれた男2人のし烈な戦
いが開幕する。
出演は『女王陛下…』にも出演して本作の製作も務めるエマ
・ストーンと、2024年7月紹介『シビル・ウォーアメリカ最
後の日』などのジェシー・プレモス。他にエイダン・デルビ
ス、スタブロス・ハルキアス、アリシア・シルバーストーン
らが脇を固めている。
因に撮影監督は『女王陛下…』などのロビー・ライアンで、
撮影には35oフィルムのヴィスタヴィジョンカメラが使用さ
れているそうだ。披露試写はTOHOシネマズ日本橋で行われた
が、これは大スクリーンで見たい作品だ。
反ワクチンからトランプ政権、兵庫県知事選挙まで世界中が
陰謀論に踊らされている中で、それらを見事に笑い飛ばした
快作と言える作品だろう。しかもそれをオスカー2度受賞の
エマ・ストーンが巧みに体現して見せる。
すでに発表されたゴールデングローブ賞で、いずれもミュー
ジカル/コメディ部門の最優秀作品賞、最優秀主演女優賞、
最優秀主演男優賞にノミネートされているのも理解できると
ころだ。
ただ脚本に関しては少し詰めが甘いかな。特に結末に関して
はあまり衝撃には感じなかったし、ここにもう一段のどんで
ん返しが欲しかった感じもする。映像ではデスクに置かれた
地球儀らしきものにも興味を惹かれた。
まあ最近の映画ファンならこれでも満足するのかもしれない
が、ちょっとストレート過ぎる感じで、もう一捻り、二捻り
が欲しかったものだ。
公開は2026年2月13日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷
他にて全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ギャガの招待で試写を観て投稿
するものです。
『木挽町のあだ討ち』
1977年生まれの時代小説作家・永井紗耶子が2023年に出版し
て山本周五郎賞、直木三十五賞をW受賞(史上3人目)し、同
年のミステリ・ランキングでも軒並みベスト10入りを果たし
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12月14日(日)
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