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On the Production
by 井口健二
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■終点のあの子、みんな、おしゃべり!、ボディビルダー、ベ・ラ・ミ 気になるあなた
監督自身がCODA(Childen of Deaf Adults)の環境で育ったそ
うで、作品の内容にはかなり様々な思いが籠っていそうだ。
でもそれを見事にコメディのオブラートにくるんで、しっか
りとしたエンターテインメントに仕上げている。
因に日本の手話は戦前には政治的に禁止令が出たこともある
もので、いわば絶滅寸前だった言語。一方のクルド語も今や
絶滅寸前の言語とされ、そんな2つの言語が登場するのも、
本作のポイントと言えるだろう。
聞いた話では地球上では年間30以上の言語が消滅しているそ
うで、本作はそんな時代に作られた作品とも言えるものだ。
そしてそこに新たな言語の創造も、一つのテーマとして見事
に提示されている。そこも素晴らしい。
他にもlost in translation の問題などいろいろな要素が現
代を象徴するように鏤められ、それらが巧みに縒り合された
作品とも言える。そして結末の壮大さも、本作を見事に締め
括っているものだ。
公開は11月29日より、東京地区は渋谷のユーロスペースと、
2022年7月24日付『こころの通訳者たち』にて紹介した東京
都北区のシネマ・チュプキ・タバタ他にて全国順次ロードシ
ョウとなる。
なおこの紹介文は、企画・配給・製作プロダクションGUM
株式会社の招待で試写を観て投稿するものです。

『ボディビルダー』“Magazine Dreams”
2019年6月16日付題名紹介『HOT SUMMER NIGHTS』 のイライ
ジャ・バイナム監督が、マーヴェル映画でヴィランを演じる
ジョナサン・メジャースを主演に迎えたボディビルがテーマ
のドラマ作品。
主人公はアメリカの片田舎の町で元ヴェトナム戦争の兵士と
いう祖父の介護をしながら暮らす黒人青年。低収入で友人も
恋人もいない彼には確固たる夢があった。それはボディビル
で名をあげ雑誌の表紙を飾るというものだ。
そんな彼は憧れボディビルのチャンピオンに手紙を送り続け
ているが返事は来ない。それでも勤務先のスーパーマーケッ
トでシフトの違う女性にようやく声を掛けた主人公はデート
に漕ぎ着けるが…。
共演は、2007年2月紹介『ラブソングができるまで』が映画
デビュー作というヘイリー・ベネット。
他に2024年『ビバリーヒルズ・コップ』のリブート作に出演
のテイラー・ページ、プロ・ボディビルダーで「ミスター・
ユニバース」4回優勝というブラッド・ヴァンダーホーンら
が脇を固めている。
プロテインをがぶ飲みしたり大量のゆで卵を黄身を抉り出し
て白味だけ食べるなど、ボディビルダーにありがちなシーン
が次々に登場する作品で、そんなストイックなボディビルの
世界を描いたところがアメリカでは評価されたようだ。
でもこれって日本人の目には案外常識の範囲かな。もっと強
烈な描写が見えるかとも思ったが、予想よりは大人しい作品
だった。ただその裏にある思想みたいなものが、日本人の考
えを超えている部分はありそうだ。
とは言えそれを突き詰めるとかなり右寄りになってしまうも
ので、映画の中でも戦争の英雄なんて言葉が出てくると、ま
あそんな感覚の作品なのだろうとは思ってしまう。こういう
思想が今のアメリカを支えている訳だ。
それは傍目から観るとかなり戯画っぽくも見えるもので、ど
うせならもっとコメディにしてくれたらとも思ったが、これ
がアメリカの現実というところなのだろう。そんなアメリカ
がリアルに描かれた作品とも言えそうだ。
公開は12月19日より、東京地区はシネマート新宿、ヒューマ
ントラストシネマ渋谷他にて全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社トランスフォーマーの招待で試
写を観て投稿するものです。

『ベ・ラ・ミ 気になるあなた』“Bel Ami/漂亮朋友”
中国黒竜江省で20年に亙って映画を作り続けているというゲ
ン・ジュン監督が、2020年のCOVID-19禍の中で執筆したとい
う脚本を映画化した作品。
主人公はゲイの中年男性。若い美容師の男性と付き合ってい
たが最近別れ話が告げられた。そんな美容師は他の男性と付
き合っていたが、さらにレズのカップルから偽装結婚を持ち

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10月19日(日)
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