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On the Production
by 井口健二
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■ハウス・オブ・ダイナマイト、エディントンへようこそ、そこにきみはいて、星と月は天の穴
境の町。そこでホアキンが演じるのは、喘息持ちでマスクが
息苦しいと主張する町の保安官だ。
そんな主人公は州知事及び市長が出したマスク着用命令に不
満だが、そこには彼の妻と市長との過去をめぐる経緯もある
ようだ。そしてそんな彼の妻は陰謀論に憑りつかれて、彼に
様々なネット上の噂を突き付ける。
こんな状況の中で、市長が推し進めるIT企業の誘致に陰謀
論の影を見付けた主人公は、それを盾に対立候補として市長
選への立候補を表明する。しかし思い付きだけの立候補には
支援者も現れず…。
そんな状況が混乱に混乱を呼び、遂には只ならぬ事態を招来
してしまう。果たして陰謀論は真実なのか…?
共演は2023年1月紹介『マッシブ・タレント』などのペドロ
・パスカルと、2018年12月16日付題名紹介『女王陛下のお気
に入り』などのエマ・ストーン。因にストーンは本作と同じ
A24製作の2025年8月紹介『テレビの中に入りたい』ではプ
ロデューサーも務めていた。
他にオースティン・バトラー、ルーク・グライムス、ディー
ドル・オコンネル、マイクル・ウォード、アメリ・ホーファ
ーレ、クリフトン・コリンズ・Jr.、ウィリアム・ベルーら
が脇を固めている。
日本もアメリカも世界中が陰謀論に憑りつかれた感のある現
代だが、アリ・アスター監督はそこを見事に突いてきたとい
う感じもする作品だ。しかもそこを強烈に笑い飛ばす。これ
は見事な作品だ。
その上そこにはアメリカの銃社会の恐ろしさも漂っている。
まあここまでくると日本人には他山の石と見ていられるが、
アメリカでは…? しかもそこも笑い飛ばす。それもお見事
だ。
公開は12月12日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて
全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ
オの招待で試写を観て投稿するものです。

『そこにきみはいて』
2018年4月15日付題名紹介『四月の永い夢』を脚本・監督し
た中川龍太郎が原案を手掛け、2022年『の方へ、流れる』な
どの竹馬靖具監督に託して映画化した現代に生きる若者の恋
愛事情を描く作品。
映画のプロローグは、街の雑踏を歩いている女性の姿と住宅
街らしい場所で邂逅する男性2人。男性2人は大学時代の同
窓でその一方は新進作家というが、2人の間には過去に経緯
があった様子が伺える。
そして女性はキャリアウーマンだが勤務先では少し浮いた感
じもする。そんな女性が男性たちの他方である弁護士と法律
上の相談を持ち、そこから2人の関係が始まるが、そこには
少し歪な感じもある。
しかしその関係が進展する中で事件が起き、女性は作家と出
会うことになるが…。
出演は2024年1月紹介『湖の女たち』などの福地桃子と、同
月紹介『身代わり忠臣蔵』などの寛一郎、それに原案者でも
ある中川龍太郎。他に兒玉遥、遊屋慎太郎、緒形敦、長友郁
真、川島鈴遥。
さらに諫早幸作、田中奈月、拾木健太、久藤今日子、朝倉あ
き、筒井真理子らが脇を固めている。
作品を観ているとき登場人物の人間関係からは2006年11月紹
介『スキトモ』を思い出していた。設定などは全然違うのだ
けれど、この手の作品ではだいたい斎藤工の初期の主演作で
あるこの作品が思い浮かぶ。
そこから僕自身は全然進歩していないが、この作品ではその
後の世の中の流れがこんな風に進化してきたのだということ
も理解できる作品になっていた。大元の物差しは変えられな
いけど、理解のスケールを変えることのできる作品だ。
しかもそれは決して良い方向だけでないことはちょっと悲し
かったかな。そんなところに現代の若者の辛さも描かれてい
るように感じられたものだ。共感する人も相当数の割合でい
るのかな。そんな悲しい物語だ。
公開は11月28日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
渋谷他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社日活の招待で試写を観て投稿す
るものです。

『星と月は天の穴』
「1969年の思い出」という添え書きのされた吉行淳之介原作

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09月28日(日)
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