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On the Production
by 井口健二
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■未完成の映画、テルマがゆく!、OKAは手ぶらでやってくる、WE LIVE IN TIMEこの時に生きて、摩文仁、ら・かんぱねら
脚本と監督は、エディンバラ・フェスティヴァルで上演され
た即興ミュージカルなどに出演し、本作が長編初監督となる
ジョシュ・マーゴリン。因に脚本は監督の現在 103歳になる
祖母が巻き込まれた実話に基づくそうだ。
共演は2024年『グラディエーターII』などのフレッド・ヘッ
キンジャー。1971年『黒いジャガー』などに主演し、本作が
遺作となったリチャード・ラウンドトゥリー。2023年12月紹
介『ボーはおそれている』などのパーカー・ポージー。
さらに2008年6月紹介『アイアンマン』などのクラーク・グ
レック。そして1971年『時計じかけのオレンジ』などのマル
カム・マクダウェルらが脇を固めている。さらにトム・クル
ーズも…。
アメリカでオレオレ詐欺がどのくらい周知かは知らないが、
描かれる警察の態度などからは日本ほど問題視はされていな
いのかな? 監督も自身の祖母が被害者になったからこれを
書いたと言っているから、認知度は低いのかもしれない。
実際に描かれる犯行もかなりいい加減で、これなら高齢女性
でも復讐できそうだが、その辺が映画と言える作品ではあり
そうだ。日本の犯罪者に比べると微笑ましいのもこの作品の
良さと言える。
高齢者がなかなかのアクションを繰り広げるし、映画として
は楽しめる作品だ。
公開は6月6日より、東京地区はTOHOシネマズシャンテ他に
て全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社パルコ ユニバーサル映画の招
待で試写を観て投稿するものです。

『OKAは手ぶらでやってくる』
2022年に71歳で他界したOKAこと栗本英世氏。東南アジア
を舞台に「ひとりNGO」とも称された活動家の足跡と業績
を描いたドキュメンタリー。
栗本氏は滋賀県出身。16歳で上京して寿司店で見習いとして
働き始めるも、その後は新聞奨学生として定時制高校に通い
ながら福祉活動にも従事。さらにキリスト教にも帰依してい
たようで、19歳の時にその伝で台湾に留学する。
しかし30歳で聖職を目指して東京の神学校に通い始めたもの
の、35歳の時に卒業を目前にして故あって退学。台湾で学ん
だ中国語を活かして中国を経て東南アジアに渡り、タイでは
人身売買などの被害者の救済活動を始める。
そしてラオスでの活動の後に46歳でカンボジアに入り、ポル
ポト時代の負の遺産とも言える孤児たちの救済事業を開始。
地雷原の村に寺子屋形式の学校を開設。それは寺子屋16校、
先生 100人、生徒は5000人の規模にも及んでいるという。
そんな栗本氏の活動が生前元気なころに撮影された映像と、
寺子屋の建設と運営に関った元スタッフやその他の現地での
関係者、さらに日本での支援者らへのインタヴューと共に描
かれる。
監督は近畿圏を中心に民俗行事や芸能を記録してきた牧田敬
祐。その傍らで市民活動やNGOを支援する映像活動も続け
ており、その一環として栗本氏の取材も行ってきた中で本作
が生まれたとのことだ。
また挿入歌を、栗本氏に共鳴するシンガーソングライターの
友部正人が手掛けている。
東南アジアでの学校建設の募金という話は今までにも聞いた
ことがあるが、集められた資金を送っても現地では既存の学
校の傍に新校舎を建てるなど、本当に必要とされている場所
に資金が回ることは少ないと作中では語られていた。
まあそんなことだろうなあとは思っていたが、生前の栗本氏
なら確実に必要なところに役立ててくれる。そんな寄付先を
もっと早く知りたかったとも思ったものだ。まあ故人の遺志
を継ぐ組織はあるのだろうが。
因に題名の「OKA」というのはカンボジアの言葉で「チャ
ンス、機会」という意味。栗本氏は難民を訪ねる際にはお金
も薬も持たずに行くそうで、それはお金などを渡しても本当
の役には立たないからだという。
そんなところには「慈悲魔」という恐ろしい言葉もあるそう
だ。そんな支援の難しさも教えてくれる作品だ。
公開は5月10日より、東京地区は新宿K's cinema他にて全国
順次ロードショウとなる。

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04月13日(日)
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