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On the Production
by 井口健二
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■ベイビーガール、聖なるイチジクの種
この状況で友人の身柄は家族の許に返されるが、程なくして
その友人が警察に連行されたという話が飛び込んでくる。そ
の一方で父親に支給された護身用の拳銃が紛失。その行方を
巡って親子の間にも疑心が生じ始める。
出演は監督の2017年作にも出演していたミシャク・ザラと、
俳優、監督としても活動して学生運動にも明確に支持を表明
していたことから実刑判決も受けているというソヘイラ・ゴ
レスターニ。
なおカンヌ国際映画祭でのプレミア上映には、過去の作品で
の政府批判によってパスポートを取り上げられていた監督は
秘かに自国を脱出して出席したが、俳優の2人は出国を拒否
されて参加は叶わなかったそうだ。
映画にはスマホで撮影されたと思われる弾圧の模様を写した
映像も挿入され、それはかなりの衝撃を受けるものになって
いる。おそらくそれだけでもこの作品は政府の弾圧の対象と
なるものだろう。
そんな衝撃の作品だが、映画はそこに巧みにエンターテイン
メントの要素も持ち込んでいるもので、その辺に監督の非凡
さも感じさせる。特に後半のヒッチコックばりの演出や結末
の意外性には喝采もしてしまう作品。
167分の上映時間に全く長さを感じさせない見事な作品だ。
公開は2025年2月14日より、東京地区はTOHOシネマズシャン
テ他にて全国順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ギャガの招待で試写を観て投稿
するものです。
        *         *
 今年はこれでおしまいです。みな様良いお年をお迎えくだ
さい。

12月29日(日)
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