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On the Production
by 井口健二
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■ゆきてかへらぬ、くすぶりの狂騒曲、アプレンティス ドナルド・トランプの創り方
さらに2023年4月紹介『渇水』に出演の永瀬未留、徳井義実
(チュートリアル)、2019年8月紹介『生理ちゃん』などの岡
田義徳らが脇を固めている。監督は立川晋輔、脚本は中村元
樹が担当した。
作品は「大宮セブン」の面々が総登場のものだが本人は出演
せず、全て俳優が演じているという仕掛け。それが「マヂカ
ルラブリー」や「すゑひろがりず」など結構似ていて、「タ
モンズ」の2人も宣材写真などを見ると似ているものだ。
ただ最近は前回紹介の『死に損なった男』などこの手のお笑
い芸人の話を多く見掛けるが、それぞれ映画の中でちゃんと
芸を披露してくれていたもの。それが本作ではドラマに集中
しているものだが、それは多少物足りないかな。
そのドラマも売れない芸人の話など今時どこででも聞かれる
もので…。せっかく吉本興業が製作するなら、せめて主人公
の2人だけでも、もっとしっかりとしたお笑いを見せて欲し
かった。
公開は12月13日より、東京地区は新宿バルト9、イオンシネ
マ他にて全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社イオンエンターテインメント、
吉本興業の招待で試写を観て投稿するものです。

『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』
                   “The Apprentice”
2023年2月紹介『聖地には蜘蛛が巣を張る』などのアリ・ア
ッバシ監督が、政治ジャーナリストのガブリエル・シャーマ
ン執筆による脚本を映画化。次期大統領が全米での上映阻止
を画策したとされる作品。
時代は1970年代の初め。大学を出て父親の不動産業を継ぐこ
とになったドナルド・トランプは、政財界の大物が集まる高
級クラブの最年少会員となり、そこで辣腕弁護士ロイ・コー
ンと出会う。
そして弁護士に気に入られたトランプは、立ち居振る舞いや
政財界で生き残るための様々な手立てを伝授されて行く。一
方そのクラブでは将来の伴侶となるイヴァンナとの出会いも
果たすことになるが…。
出演は2023年12月紹介『ダム・マネー』などのセバスチャン
・スタンと、2013年1月紹介『ゼロ・ダーク・サーティ』な
どのジェレミー・ストロング。さらに2007年4月紹介『ボラ
ット』の続編に出たというマリア・バカローヴァ。
それに1990年代から活動を開始し、1996年にはジェーン・カ
ンピオン監督作品で全米批評家協会賞を受賞した2004年6月
紹介『16歳の合衆国』などのベテラン、マーティン・ドノヴ
ァンらが脇を固めている。
映画は政治問題化するような内容のものではないが、個人的
にはかなり恥ずかしいかな。だからと言って公的に上映阻止
を出来るようなものではない。単にトランプの横暴というレ
ヴェルの問題で、それは傍目には笑えたものだ。
そんな作品だがこの映画を観ていて気になったことが一点、
映画の後半に差し掛かった辺りのパーティの場面で、トラン
プが「アキオサン」と呼びかけてその人物に近付いて行こう
とするシーンがあった。
このシーンでアキオサン自身は写らないのだが、はて?これ
は誰だろうということだ。ここで僕が思い付くのはソニーの
盛田昭雄氏。この当時はSONY of America の立ち上げ時期で
盛田氏はアメリカで陣頭指揮を執っていた。
つまりこの時点で盛田氏はトランプとファーストネームで呼
び合うほどの仲だった訳で、その後のソニーのアメリカでの
躍進の基礎が築かれた切っ掛けが判る中々のシーンだったの
かもしれない。
日本人としてはそんなことも気になる作品だった。
公開は2025年1月17日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社キノフィルムズの招待で試写を
観て投稿するものです。

12月01日(日)
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