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On the Production
by 井口健二
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■バッド・デイ・ドライブ、きっとそれは愛じゃない、ポッド・ジェネレーション、Winterboy、ビヨンド・ユートピア 脱北
結婚事情を尋ねると。それは見合い結婚が至上で直接会った
こともない女性と結婚するのだという。そして彼に見合い結
婚が決まり、その参列も兼ねた取材旅行が始るが…。
出演は2019年8月紹介『イエスタデイ』などのリリー・ジェ
ームズと、イギリス生まれだがパキスタンにもルーツを持つ
2018年2月4日付題名紹介『トレイン・ミッション』などの
シャザド・ルティフ。
他にエマ・トンプスン。インド生まれで 140本以上のインド
映画に出演し、近年はスピルバーグ製作のSFシリーズにも
登場しているというシャバナ・アズミ。パキスタンを代表す
る女優とされるサジャル・アリーらが脇を固めている。
脚本はイギリス出身のドキュメンタリー制作者でエミー賞の
受賞歴もあるジェミマ・カーン。脚本家は20歳の時にパキス
タン人と結婚。約10年間をラホールで暮らした経験を持つそ
うだ。
異国情緒あふれる結婚式の模様には、2002年6月紹介『モン
スーン・ウェディング』が懐かしく思い出されたが、本作も
結婚式をもう少し詳しく描いて欲しかったかな。前の作品は
その辺も楽しめた記憶があるので、少し物足りなかった。
それにまあ主人公らの人物関係があまりに定番で、それはあ
る意味安心の要素でもあるのだが、もう少し何か捻りがあっ
ても良かったような感じはした。まあ異国の風習自体に異議
を唱えたい気持ちが優先なのかもしれないが。
1998年『エリザベス』などで名匠とも呼ばれるカプール監督
の割には全体が軽めなのも気になった。まあその軽さが故の
ロマンティック・コメディなのだろうけど。
公開は12月15日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他にて全国ロードショウとな
る。
『ポッド・ジェネレーション』“The Pod Generation”
2015年7月紹介『ターミネーター:新起動/ジェニシス』な
どのエミリア・クラークが主演と製作総指揮も務め、フラン
ス系アメリカ人で2014年『ボヴァリー夫人』などのソフィー
・バーセスが脚本・監督を手掛けた未来社会を描く作品。
主人公はニューヨークのハイテク企業で重役職の女性。配偶
者はいるが子供はまだいない。その彼女の許に《ポッド》と
呼ばれる人工子宮の案内が届き、彼女は興味半分で見学を申
し込む。
そんな彼女の配偶者は植物学者で、環境破壊が進む中で自然
界の多様性を守ろうと奮闘していた。従って彼の意見は当然
のように自然な妊娠だったのだが…。彼女の説得で《ポッド
妊娠》を選択した2人の十月十日が始まる。
共演は、2019年6月紹介『風をつかまえた少年』では監督も
務めたキウェテル・イジョフォー。
他に舞台出身女優のロザリー・クレイグ、2020年2月23日付
題名紹介『ポルトガル、夏の終わり』などのヴィネット・ロ
ビンスン、2003年12月紹介『ドッグヴィル』などのジャン=
マルク・バールらが脇を固めている。
妊娠による女性の負担を減らすために人工子宮で子供を育て
るというアイデアは、SF小説ではそれなりにあったものと
思うが、まさか卵型の携帯仕様とは。これでは人間が卵生に
なったようにも思えてくる。その辺も造形の狙いかな。
そんな面白さは感じたが、全体的には特にドラマティックな
展開がある訳でもなく。結末はそれなりにドラマティックで
はあるが、もっとそれ以前の主人公らの決断に至る部分で何
かドラマが欲しかった気はした。
まあ単純に言えば脚本の練りが足りないかな。面白い題材だ
けにもっといろいろな要素を取り入れて話を膨らませて欲し
かったものだ。特に見学会のシーンには同性のカップルもい
て、その辺はもっといろいろ描けた気もする。
それにしても精子が卵子にアタックする様子を目の当たりに
できるとは…。その映像自体は過去に観たことはあったが、
当事者としてそれを観るのは…。自分が精子の側としてはい
ろいろと考えてもしまうものだ。
そんな新奇な面白さは感じられる作品だった。
公開は12月1日より、東京地区は日比谷のTOHOシネマズシャ
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11月12日(日)
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