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On the Production
by 井口健二
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■ロスト・フライト、リアリティ、他人と一緒に住むということ、隣人X疑惑の彼女
録(固有名詞などは消されていたようだ)をそのまま書き起こ
し、その言葉は一言一句変えずに脚本を書いたとしている。
それはFBIの巧みな誘導も如実に描かれたものだ。
事実として主人公のリアリティ・ウィナーは有罪となり刑に
服したものだが、監督は彼女の家族や本人にも取材して、そ
の了解及び支援の許にシナリオを執筆しており、それはリア
リティ自身の尊厳の尊重でもある。
それにしてもFBIの誘導の巧みさは見事で、それはFBI
の手口を晒すものにもなっているが、それも本作の目的なの
かな? 勿論FBIだってそれを判って録音を公表している
ものだが、いろいろ微妙な勘繰りもしてしまう。
ただ中国やロシアの当局などには絶好の教科書になってしま
うかな。その辺はちょっと心配にもなってしまった。それく
らいのリアルさに溢れた見事な作品になっている。日本も例
外ではないし、恐ろしい作品だ。
なお劇中では主人公の飼っている犬と猫が絶妙の演技を見せ
ており、刑期の間の2匹が心配になったが、その点もちゃん
と映画の中でフォローされているのは嬉しかった。
公開は11月18日より、東京地区は渋谷のシアター・イメージ
フォーラム、シネ・リーブル池袋他にて全国順次ロードショ
ウとなる。
『他人と一緒に住むということ』
元俳優で2013年に劇団を立ち上げ、2022年の公演で劇作家協
会新人戯曲賞で最終候補に残ったという八木橋努監督の長編
映画デビュー作。
登場するのは二組のカップル。一組目は見習い美容師と売れ
てない役者のカップルで、それぞれの家には居候がいて中々
一緒になれない2人は遂に居候を追い出し、同棲を開始する
ことになるが…。
そしてもう一組はソーラーパネル事業を展開している実業家
と年の離れた年下の女性。結婚はしているが別居生活で、家
に呼び寄せても女性はそれに応じない。そんな中で事業にも
トラブルが発生し…。
そんな二組のカップルとその周囲の人々の群像劇が展開され
て行く。
出演はイヴェントショウの演出家でもある森田コウ、音楽活
動と並行して女優も務める芦那すみれ、ミュージシャンで映
画初主演の山下剛史、沖縄県立芸術大学で油絵を学んだとい
う若松朋茂、松江市でカフェギャラリーを営んでいるという
裕紀yuki、 100本以上の舞台に出ているという橋本敏明。
監督は元々舞台の群像劇で評価されているようだが、本作は
何というかエピソードがバラバラな感じで、1本の映画とし
ての纏まりに欠ける感じがした。実際にこのような作品を最
近見る機会が多いのだが、これは風潮なのかな。
それにそれぞれのエピソードも何か在りものの羅列のような
感じもして、それは多分リアルさというか、社会的な問題意
識が生み出す現実感なのかもしれないが、何となく聞いたよ
うな話が話ばかりで、新規性に乏しい感じもした。
まあその現実感が狙いなのだろうし、それを提示するために
作られた作品なのだろうとは思うが、観ていて既視感が強い
のは、狙いとは裏腹に作品を詰らなくしている感じもした。
しかも問題が解決されないのも苛立ちだった。
狙いは悪くないと思うだけに、何か新鮮味のあるエピソード
が一つ二つで良いから提示されて欲しかった。何となく全体
が何度も観てきた話のように感じられるのは、ちょっと気を
削がれる感じになってしまったものだ。
演出とか映像は手馴れている感じなだけに、勿体なくも感じ
てしまった。脚本をもっと練れば良い作品になったと思える
ところが残念だった。
公開は12月2日より、東京地区は渋谷のシアター・イメージ
フォーラム他にて全国順次ロードショウとなる。
『隣人X疑惑の彼女』
2019年の第14回小説現代長編新人賞を受賞したフランス在住
パリュスあや子の原作を、2017年9月17日題名紹介『ユリゴ
コロ』などの熊澤尚人の脚本・監督・編集、林遣都、上野樹
里の共演で映画化したSF風味のある作品。
物語の背景は、母星での戦いによる惑星難民と称する異星人
が現れ、海外では受け入れる国も出てきたものの、その異星
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09月24日(日)
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