ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459550hit]

■モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン、理想郷、シェアの法則、サタデー・フィクション、二人静か、きのう生まれたわけじゃない
身のイザベル・ペーニャ。
出演は、2018年11月11日付題名紹介『ジュリアン』で父親役
のドゥニ・メノーシェと2023年8月紹介『私はモーリーン・
カーニー』などのマリナ・フォイス。さらに2015年9月紹介
『暴走車 ランナウェイ・カー』などのルイス・サエラ。
またディエゴ・アニード、マリー・コロンらが脇を固めてい
る。
都会者が田舎町に来て暴力的な排他主義に遭遇するという展
開では、僕の年代だと1971年ダスティン・ホフマン、スーザ
ン・ジョージ主演、サム・ペキンパー監督の『わらの犬』が
思い浮かぶ。
お陰でいつ奥さんが襲われるかとひやひやしたが、時代が変
わると女性も強くなったことよ。そんな強い女性をフォイス
が丁寧に演じているのも見どころと言ってよい作品だ。特に
結末は素晴らしかった。
それにしても、スペイン人の監督がここまで自国が抱える問
題を衝いてみせるとは…。その点も素晴らしいと言える作品
だった。
公開は11月3日より、東京地区は新宿シネマート、澁谷宮下
のBunkamura ル・シネマ他にて全国ロードショウとなる。

『シェアの法則』
2019年04月21日付題名紹介『二宮金次郎』などに出演の女優
で劇団の主宰者でもある岩瀬顕子が執筆し、2021年に劇団青
年座によって上演された舞台劇を、2019年3月17日付題名紹
介『うちの執事が言うことには』などの久万真路監督、脇役
俳優・小野武彦の初主演で映画化した作品。
主人公はちょっと堅物の税理士。事務所は自宅の近くだが、
昼食は妻に手作り弁当を運ばせて事務所で食べるほどの仕事
人間だ。実は妻は自宅を改造してシェアハウスを運営してお
り、居住者も一緒の家では食事をし辛い理由もある。
そんな妻が運営するシェアハウスには、いろいろ訳ありの住
人も暮らしていたが、妻は無頓着にそんな人々を受け入れて
いた。そしてシェアハウスには特有のトラブルも生じるが、
それも難なくクリアしていたようだ。
ところがそんな妻が事故に遭って倒れ、シェハウスの管理を
主人公がしなければならなくなる。こうして主人公は今まで
の生活では考えられなかったようなトラブルに巻き込まれる
ことになるが…。
共演は、2023年4月紹介『オレンジ・ランプ』などの貫地谷
しほり、2023年3月紹介『サイド バイ サイド隣にいる人』
などの浅香航大、2022年11月紹介『仕掛人・藤枝梅安』など
の鷲尾真知子。
さらに岩瀬顕子、大塚ヒロタ、山口森広、小山萌子、岩本晟
夢、上原奈美、内浦純一、久保酎吉、そして宮崎美子らが脇
を固めている。
表面的にはシェアハウスあるあるを面白おかしく描いた作品
だが、描かれるエピソードには不法滞在者や家庭内暴力、闇
金債務、LGBTなど現代日本社会が抱える様々な問題が背景と
して存在している。
それは日本社会の縮図のような作品だった。でもそんな話題
を、一面では痛快に描き切っているとも言える作品で、現代
日本人の多くに勇気を与えてくれる、そんな感じの作品にも
なっている。
関係者が多く来場したらしい試写会では涙を流している人も
多く見受けられた感じで、監督の演出の巧みさも観ることの
できる作品だった。なお岩瀬が引き続き執筆した映画版の脚
本は、舞台版からかなり改編されているようだ。
公開は10月14日より、東京地区は新宿K'cinema他にて全国順
次ロードショウとなる。

『サタデー・フィクション』“蘭心大劇院/兰心大剧院”
2022年11月紹介『シャドウプレイ』などのロウ・イエ監督が
コン・リー、オダギリジョーらを主演に迎えて、1941年12月
1日〜7日の上海租界を舞台に描いたドラマ作品。
太平洋戦争の開戦前夜。日本軍の上海占領の際に英仏が設定
した上海租界では、各国の諜報機関が情報の収集にしのぎを
削っていた。そして現在の注目は日本軍が次はどこを攻める
かだったが…。
そんな最中、1人の人気女優が租界に建つ劇場の舞台に立つ
ために当地にやってくる。それは舞台の演出家の招請による
ものだったが、彼女の真の目的は他にあるとも伝えられてい
た。

[5]続きを読む

09月17日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る