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On the Production
by 井口健二
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■インスペクション ここで生きる、アイスクリームフィーバー、破壊の自然史、キエフ裁判
それに「水曜日のカンパネラ」の二代目ヴォーカルの詩羽。
さらに安達祐実、ジャルジャルの後藤淳平、マカロニえんぴ
つのはっとり。そして片桐はいり、MEGUMI、「水曜日のカン
パネラ」の初代ヴォーカルのコムアイらが脇を固めている。
原案は芥川賞作家・川上未映子の著作『愛の夢とか』所載の
「アイスクリーム熱」とされており、脚本は2017年12月10日
付題名紹介『生きる街』などの清水匡が担当している。
映画はちょっと複雑な構成になっているが、それが何という
か、カタルシスを生み出すほどでないのは少しもったいない
かな。と言うか、出演者の顔ぶれがかなり煌びやかで、観客
としてはその方に目が行ってしまうから、それは致し方ない
ところではある。
その辺を楽しめればそれはそれで充分な作品とも言えるが、
折角ならもっと捻りまくった作品にしても良かったかもしれ
ない。その辺はこの監督なら次回作でやってくれるかな…。
そんなことも考えてしまうほどの期待を持てる作品だった。
もちろん本作も良くできた作品ではあるが。
なお WEB上には、本作を補完する短編『I SCREAM FEVER』も
公開されており、公開までにはいろいろとメディアクロス的
な展開も行われるようだ。
公開は7月14日より、東京地区は渋谷シネクイント、アップ
リンク吉祥寺、TOHOシネマズ日比谷他にて全国ロードショウ
となる。

『破壊の自然史』“The Natural History of Destruction”
『キエフ裁判』“Київський процес”
2022年8月7日紹介『バビ・ヤール』などのセルゲイ・ロズ
ニツァ監督が2022年に発表した2作品が、「戦争/正義」と
題して同時公開される。
作品はいずれもアーカイヴァル・ドキュメンタリーと称され
るもので、先の紹介作と同様のアーカイヴに所蔵された映像
を編集し、さらに効果音や音声も追加して観客が事実を理解
し易いように再構成しているものだ。
そして今回上映される1本目の『破壊の自然史』は、第2次
世界大戦で英国空軍が行ったドイツ各地の空爆攻撃の映像を
再構成したもの。
作中では1943年7月末〜8月始めに行われたドイツ北部の港
湾都市ハンブルグへの空爆の模様が、空爆前の美しい街並み
の映像から昼間及び夜間の焼夷弾攻撃を上空から撮影した映
像、そして破壊された街の姿へと綴られる。
因に題名はドイツ出身作家ヴィンフリート・ゲオルグ・ゼー
バルトが1999年に著した書籍“Luftkrieg und Literatur”
の英語版の題名が基になっているもので、書籍の中ではドイ
ツ文学における空襲への言及の欠如が論じられている。本作
はそんなタブーに挑戦した作品でもある。
このタブーは英米文学界でも同様で、僕自身はカート・ヴォ
ネガットの原作を1972年にジョージ・ロイ・ヒル監督が映画
化した『スローターハウス5』でドレスデンの空爆の事実を
知ったものだが、この原作は合衆国では現代でも多くの州で
禁書の扱いになっているとされる。
実際に焼夷弾による空爆は全く非人道的なものであり、これ
を行ったという事実だけでも非難されるべきもの。その事実
を英米軍は長きに亙ってひた隠しにしてきたものだ。その事
実がスクリーンに展開される。
中には特に夜間の映像を美しいと感じる人も居るようだが、
これが焼夷弾であり、地上では逃げ惑う一般の人々が焼き殺
されているという事実を知っていれば、僕はこれを美しいと
感じることはできない。そして映画でも美しくは描いていな
かった。あくまでも事実を描いた作品だ。
そして2本目の『キエフ裁判』は、先の『バビ・ヤール』で
も描かれたウクライナ・キーウ郊外の渓谷で、ナチスドイツ
が起こした戦争犯罪を裁く裁判を、各被告人の証言を中心に
描いたもの。因に題名が「キエフ」なのは、この裁判がモス
クワ主導で行われたことを表しているようだ。
そして本作では、この裁判がかなり恣意的に行われたこと。
さらに被告人全員が判決の罰を受けるほどの罪だったのかも
考えさせられる。これは日本でも『私は貝になりたい』のよ

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06月04日(日)
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