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On the Production
by 井口健二
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■それでも私は生きていく、Village/ヴィレッジ、帰れない山、TAR/ター、サイド バイ サイド 隣にいる人
その広報活動が功を奏し、村には徐々に観光客も集まるよう
になってくる。しかしそれは諸刃の剣でもあった。そして生
じる確執が再び事件を引き起こす。
共演は、黒木華、古田新太、中村獅童。他に2017年2月紹介
『無限の住人』などの一ノ瀬ワタル、2020年のデビュー作で
いきなり新人賞を総なめにしたという奥平大兼、ジャニーズ
Jr.HiHi Jetsの作間龍斗。さらに杉本哲太、西田尚美、木野
花らが脇を固めている。
企画、製作、製作総指揮は2012年7月紹介『かぞくのくに』
などの河村光庸。昨年6月他界した硬派のプロデューサーは
本作のクランクアップを見届けてから逝ったそうだ。
能舞台では『邯鄲』が演じられ、「一炊の夢」とされる故事
がモティーフになっている。しかしそれはあくまでも主人公
だけのことであり、その陰で蠢く社会悪の物語は、正しく骨
太な社会派のドラマが描かれているものだ。
そしてそんな物語がCGIやドローン撮影も駆使した迫力の
映像で描き尽くされている。なお撮影監督は、あいみょんや
King Gnuなど錚々たるミュージシャンのPVを手掛ける川上
智之が担当した。
またポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』やジョン・ウー監督
の『レッドクリフ』なども手掛ける岩代太郎が担当した音楽
も聞きものになっている。
公開は4月21日より全国ロードショウとなる。
『帰れない山』“Le otto montagne”
2019年2月3日付題名紹介『ビューティフル・ボーイ』など
のフェリクス・ヴァン・ヒュルーニンゲン監督が、妻でもあ
る脚本家シャルロッテ・ファンデルメールシュとの共同監督
で挑んだ北部イタリアの山岳地方が舞台のパオロ・コニェッ
ティ原作小説の映画化。
普段は両親と北イタリアの都市トリノで暮らす少年と、イタ
リアアルプスの名峰モンテ・ローザ山麓の過疎の村で暮らす
少年。そんな2人が大自然の中で出会い友情を育む。しかし
大人の事情が2人の仲を引き裂き、特に都会の少年は家族と
も離れて村にも寄り付かなくなる。
それから歳月が流れ、父親の訃報で山にやってきた主人公は
幼い日の親友と再会し、主人公が離れた後の父親の様子など
を知ることになるが…。
幼い日々の大自然の中での冒険や危険、そして青年になって
再訪した過疎の村の厳しい現実。そんな厳しさに満ちた物語
が1.33:1の縦横比率の画面の中で、雄大かつ繊細に描かれ
て行く。
1.33:1の縦横比というのは1.85:1のIMAXよりもさらに縦
が長いことになるが、元々のサイレント時代の画面のサイズ
でもあるもので、安定感というか落ち着きのある映像が描か
れているようにも感じられた。
そんな画面の中に雄大なイタリアアルプスの景観と、繊細な
親子の物語が描かれている作品だ。物語自体には特に大きな
事件があるようなものでもないが、 147分の上映時間の中で
全てがどっしりと丁寧に描き尽くされている感じもした。
出演は、2017年4月紹介『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーク』で
ダヴィッド・ディ・ドナッテッロ賞の助演男優賞を受賞した
ルカ・マリネッリと、2018年3月4日題名紹介『ダリダ あ
まい囁き』などのアレッサンドロ・ボルギ。
他に2011年3月紹介『愛の勝利を』などのフィリッポ・ティ
ーミ、舞台出身でティーミとの共演歴も多いエレナ・リエッ
ティらが脇を固めている。
公開は5月5日より、東京は新宿ピカデリー、シネスイッチ
銀座、シネリーブル池袋他で全国ロードショウとなる。
『TAR/ター』“Tár”
2007年6月紹介『リトル・チルドレン』以来16年ぶりとなる
トッド・フィールド監督が、『LOTR』のガラドリエルなどの
ケイト・ブランシェットを主演に迎えて、ベルリン・フィル
で史上初となる女性首席指揮者の生き様を描いた作品。
主人公のリディア・ターはアメリカ5大オーケストラの首席
指揮者を歴任し、ついにベルリン・フィルの首席指揮者の座
も射止める。その間にはエミー賞、グラミー賞、アカデミー
賞、トニー賞も全て受賞し、正に叶わぬ夢はないと言われる
存在だった。
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03月05日(日)
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