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On the Production
by 井口健二
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■風の電話(IDOL-あゝ無情-、決算!忠臣蔵、カツベン、積むさおり、だれもが愛しいC、スーパーT、EXIT、ジョン・D、ひとよ、男はつらいよ50)
テアトル新宿他で全国順次ロードショウ。)

『決算!忠臣蔵』
(歌舞伎芝居でも有名な物語を、仇討に掛った経費の面から
検証した山本博文による原作の映画化。基となる大石内蔵助
が瑤泉院に提出した「決算書」は実在し、過去にも多くの研
究に引用されていたものだが、本作では決算書そのものを描
く。そこにはお軽勘平の道行きも山鹿流の陣太鼓も登場しな
いが、赤穂の塩を巡る利権争いの話や、赤穂浪士が火消とし
て活躍し、討ち入りの装束は火消の衣装だったなど、今まで
あまり知られていなかった話が数多く描かれている。これは
「忠臣蔵」に興味のなかった人にも楽しめる作品だ。出演は
堤真一、岡村隆史、濱田岳、横山裕、荒川良々、妻夫木聡。
さらに木村祐一、寺脇康文、鈴木福、千葉雄大。そして竹内
結子、石原さとみ、阿部サダヲらが脇を固めている。脚本と
監督は2015年11月1日付「東京国際映画祭」で紹介『残穢』
や、2016年『殿、利息でござる!』などの中村義洋。公開は
11月22日より、全国ロードショウ。)

『カツベン!』
(映画が活動写真と呼ばれていた時代に、スクリーンの横に
立って外国語字幕の通訳や映画の解説を行った活動弁士の姿
を描いた作品。主人公は幼い時から活動の小屋に潜り込んで
は、憧れのカツベンを見よう見まねで習得していた。そして
紛れ込んだ撮影現場で女優に憧れる少女と巡り合うが…。成
長して小屋で働くようになった主人公は、先輩弁士や花形弁
士に揉まれ、ついに一本立ちのチャンスが巡って来る。しか
し彼には人に言えない過去があった。出演は成田凌、黒島結
菜、永瀬正敏、高良健吾。他に竹中直人、渡辺えり、井上真
央、小日向文世、竹野内豊、池松壮亮。さらに酒井美紀、山
本耕史、草刈民代、城田優、シャーロット・ケイト・フォッ
クスらが脇を固めている。監督は周防正行。脚本と監督補を
2017年7月9日題名紹介『蠱毒(こどく)』などの片島章三が
務めた。無声映画時代のいろいろなエピソードも満載の作品
だ。公開は12月13日より、全国ロードショウ。)

『積むさおり』
(特殊メイクアーティストの梅沢壮一が脚本、監督、編集を
務める異色の夫婦間サスペンス。登場するのはバツイチ同士
のカップル。結婚5年目を迎えて諍いはあるが順調な生活が
続いていた。その日、妻があるものを観るまでは…。その瞬
間に激しい耳鳴りに襲われた妻は、その耳鳴りの間から聞こ
えてくる夫が立てる生活音や笑い声に苛立ちを覚え始める。
出演は、2019年9月8日題名紹介『楽園』などの黒沢あすか
と、2015年『RED COW』などの木村圭作。自分の結婚生活も
40年を超えてくると、妻がこんな風に感じているのだろうな
と思える時もある。そんな夫の立場からするとかなりシビア
な作品だ。男性の監督が良くここまで考え付いたものだとも
思える。切っ掛けとなるあるものの実体は不明だが、監督の
経歴からすると超常的なものと考えていいかな。そう考えて
納得しよう。公開は11月2日より、東京は新宿K's cinema他
で全国順次ロードショウ。)

『だれもが愛しいチャンピオン』“Campeones”
(2006年1月紹介『モルタデロとフィレモン』などのハビエ
ル・フェセル監督が、裁判所命令による社会奉仕で知的障碍
者のバスケットボールチームにやってきたプロチームのサブ
コーチの姿を描くスペインの作品。2019年8月4日にも同旨
のイタリア映画『トスカーナの幸せレシピ』を題名紹介して
いるが、ヨーロッパの南部はこういう熱血漢が多いかな?
そしてそんな熱血漢が障碍者の豊かな才能に気づいて行く展
開は、あざといと言われればそれまでだけれども、やはり感
動は呼ぶものだ。それが爽快に描かれるのも南欧映画の良さ
と言えそうだ。出演は2017年3月19日題名紹介『オリーブの
樹は呼んでいる』などのハビエル・グティエレス。またチー
ムのメムバーには、600人の応募から選ばれた実際に障碍を
持つ俳優たちが起用され、その内のヘスス・ビダルは障碍者
で初となるゴヤ賞にも輝いた。公開は12月27日より、東京は

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10月06日(日)
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