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On the Production
by 井口健二
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■イエスタデイ、ロボット2.0(人生をしまう、つつんでひらいて、銀河英雄伝説第一章、毒戦BELIEVER、3人の信長、台風家族、いつかのふたり)
入されたスマホで人が殺される事態も発生する。
この事態に天才科学者バシー博士は、助手ロボットのニラー
と共に事件の調査に乗り出す。その一方で消えた無数のスマ
ホが合体し、巨大な怪鳥となって人々を襲い始める。それは
軍隊でも抑えられないパワーを持っていた。
これに対してバシー博士は、前作での暴走により解体された
チッティの復活を提案。そして怪鳥に襲われた多数の人々を
復活したチッティが危機一髪で救出するが…。事件は新たな
局面を迎えようとしていた。
共演は、2014年1月紹介『デリーに行こう!』などのアクシ
ャイ・クマールと、イギリス・マン島の出身で2010年頃から
ボリウッドでキャリアを積み、DCコミックスのTVシリー
ズ“Supergirl”にも出演のエイミー・ジャクスン。
映画は冒頭のシーンがかなり衝撃で、その背景が徐々に明ら
かになると共に、それは社会問題の提起にも繋がっている。
それがコメディが基調の映画の割には予想以上に重いテーマ
だった。
そこにはインド特有の事情もあるようだが、全体的には日本
人にも理解できる社会問題と言える。それは利便性だけを追
い求める現代人への警鐘とも取れるもので、こういう社会批
判的な作品がヒットするのも見事なことだ。
この他、映画の中には過去の作品に対するオマージュのよう
なものも点々と描かれるが、その中で2002年8月紹介『オー
スティン・パワーズ』への絡みでは、昨年4月に亡くなった
俳優ヴァーン・トロイヤーへの思いもあったのかな。
今回日本で公開される上映時間147分は、オリジナルとほぼ
同じのようだが、正直に言っていろいろな要素が詰め込まれ
すぎて、観終わっても整理がなかなかつかない感じもした。
でもそれくらいにサーヴィス精神旺盛な作品でもある。
それにしても主演のラジニカーントは1950年の生まれだそう
で、それが前作と変わらない風貌なのも恐れ入ったが。さす
がに踊りのシーンは…なものの、正にスーパースターの貫禄
だった。
公開は10月25日より、東京は新宿ピカデリー他で全国ロード
ショウとなる。
この週は他に
『人生をしまう時間(とき)』
(2018年6月にNHK BSで放送され、日本医学ジャーナリスト
協会賞大賞を受賞したドキュメンタリー番組に、新たなシー
ンも追加した決定版。埼玉県新座市の堀ノ内病院に勤務する
小堀鴎一郎医師を中心に、自宅で末期を迎えようとする人々
と、その患者に付き添う訪問診療医との姿が描かれる。小堀
医師は東大病院で外科の名医と謳われた人。そんな医師が定
年退職後に赴任した病院では、在宅患者を巡回してその最期
を看取り続ける。そしてもう1人、堀越洋一医師は国立国際
医療センターからアジア、アフリカ、南米に派遣されて、医
療関係の技術協力などに携わってきた。その医師が在宅での
看取りを見据えた訪問診療を続けている。そこには様々な家
族の事情などもあり、それは現代日本のいろいろな側面が見
て取れるような作品にもなっている。監督と撮影はNHKエ
ンタープライズ所属の下村幸子。公開は9月21日より、東京
は渋谷のシアター・イメージフォーラムでロードショウ。)
『つつんで、ひらいて』
(2018年10月7日題名紹介『夜明け』で監督デビューを果た
した是枝裕和、西川美和主宰「分福」所属の広瀬奈々子が、
今までに1万5000冊以上を手掛けたという装幀者・菊地信義
の仕事ぶりを3年間に亙って追ったドキュメンタリー。その
基本は自己模倣をしないということで、常に新しいことを考
えながら仕事が続けられる。その中には営業上実現しなかっ
たものもあるようだが、丁寧な仕事ぶりは印刷所や製本所へ
出向いての対応にも表れている。ということで装幀者の業績
は良く伝わってくる作品だ。しかし装幀者本人に関してはそ
の人間性みたいなものがあまり伝わってこなかったかな。そ
こには旧知の編集者との酒宴なども紹介されるが、家族や家
庭なども描かれず、全体としては装幀者の業績カタログのよ
うな感じで、勿論それも価値のある作品ではあるのだが…。
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08月11日(日)
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