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On the Production
by 井口健二
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■見えない目撃者(セカイイチオイシイ、聖なる泉の少女、人間失格、典座、カーマインSTギター、HiGH&LOW THE WORST、サウナ、サタンタンゴ)
混じり、多くの村人が腎臓病などに悩まされていた。そんな
村から約10q離れた場所には「マロンパティの涙」と呼ばれ
る泉があり、それは島で唯一WHOの基準を満たす泉だった。
そこでその泉から取水し水道を引く計画が立てられるが…。
その事業を進める日本人を見詰める島民には、第2次大戦当
時の苦い記憶が残っていた。出演は美声女ユニットelfin'の
リーダーの辻美優(映画初主演)と赤井英和。他に角田信朗、
蝶野正洋、篠原信一、森次晃嗣らが脇を固めている。脚本と
監督は2019年2月紹介『ndjc:若手映画作家育成プロジェク
ト』の2016年度に選出の目黒啓太。公開は9月21日より、東
京は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)
『聖なる泉の少女』“Namme/ნამე”
(2017年11月4日「東京国際映画祭」で紹介したコンペティ
ション部門の出品作(映画祭題名『泉の少女ナーメ』)が一般
公開されることになり、改めて試写を鑑賞した。物語につい
ては前回に書いた通りで、特に修正点はなかったが、今回は
プレス資料もあって、背景的な部分が少しクリアになった。
それによると近くで行われている工事はダムの建設なのだそ
うで、そうなると川の変色は公害ではなく、自然破壊という
意味にも捉えられる。また基となる伝承では少女は一般人の
生活に帰って行ったとのことだが、その観点では映画の結末
は理解できないものになっていた。つまり少女は、映画の結
末ではイエスに準える奇跡を起こしているものだし、その辺
の曖昧さが本作を判り難くしているようにも感じる。単純な
文明批判も困るが、掴みどころのない話にも困惑する。映像
的には素晴らしいと言える作品だが。公開は8月24日より、
東京は岩波ホールでロードショウ。)
『人間失格 太宰治と3人の女たち』
(2016年5月紹介『シンドバッド』などの早船歌江子脚本、
2007年1月紹介『さくらん』などの蜷川実花監督で、文豪・
太宰治の代表作の誕生秘話を描いた作品。太宰の原作からは
2009年11月紹介の作品もあったが、本作ではさらに文豪自身
に迫っている。その本作で、作家が心中に対して優柔不断な
のは、これが真実のようだ。物語の背景は1947年『斜陽』の
発表から1948年表題作の執筆までとなっており、正に文豪の
最期が描かれる。出演は小栗旬と正妻役の宮沢りえ、愛人で
弟子の斜陽夫人役に沢尻エリカ、最後の愛人富栄役に二階堂
ふみ。他に成田凌、千葉雄大、瀬戸康史。さらに藤原竜也が
坂口安吾、高良健吾が三島由紀夫を演じている。宮沢の賢妻
ぶりと沢尻の退廃的な雰囲気は良かった。しかし富栄に関し
てはもっとテキパキした人と伝えられており、高良の三島も
少しステレオタイプかな。エンターテインメイントとしては
面白かったが。公開は9月13日より全国ロードショウ。)
『典座 TENZO』
(2016年11月13日題名紹介『バンコクナイツ』などの富田克
也監督が、3・11後の現代日本における宗教について考える
ドラマとドキュメンタリーの混交作品。題名は禅寺で六知事
と呼ばれる職務の一つであり、その中の僧侶たちの食事を司
る典座は第五位とされるものだが。日本における曹洞宗の開
祖・道元禅師の遺した「典座教訓」にはその重要性が語られ
ているという。そこで登場するのは2人の僧侶。10年前には
一緒に修業した2人だが、1人は山梨県の実家である寺で精
進料理の教室やヨガと座禅のコラボレーション企画、さらに
は子ども食堂など多彩な展開で布教活動を行っている。そし
てもう1人は、福島県の被災地で瓦礫撤去の土木作業に従事
しながら、本堂も檀家も津波で流された寺の再建を模索して
いる。こんな2人の活動を通じて今在るべき宗教が問われて
行く。震撼とするシーンもある作品。公開は10月4日より、
東京はアップリンク吉祥寺他で全国順次ロードショウ。)
『カーマイン・ストリート・ギター』
“Carmine Street Guitars”
(2018年11月4日「東京国際映画祭」で紹介したワールド・
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07月14日(日)
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