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On the Production
by 井口健二
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■火口のふたり、アポロ11(熱帯魚、米軍、葬式の、チャイルドP、王様、パリに、守護教、影に抱かれ、ロケットM、命みじかし、帰れない二人)
そのブースターに近接した映像はさすがに防護ガラス越しで
はあったが、その70mmの画面に映された迫力は今までに見た
こともないものだった。
因にこの発射シーンでは、フロリダのケネディ宇宙センター
の係官が双眼鏡で眺めている姿が登場するのだが、以前から
よく見たこのシーンで、何故この人はそんな余裕があったの
だろうか、と疑問を感じていた。
それが本作によると、発射の約15分前から飛行管制はテキサ
ス州ヒューストンの管制センターに移管されていたようで、
それならフロリダ側は暇になっていたのだと、長年の疑問が
解消されたものだ。
そこから月への長い旅が始まるのだが、その間にも地球の衛
星軌道からの離脱や、着陸船との再ドッキングなど様々な任
務が克明な映像で綴られて行く。特に月の裏側での月の衛星
軌道への突入は地球との通信がない中での緊張が伝わる。
そして月面到着と探査の様子。ここでは当時生中継で見てい
た自分にはその時の感激が甦ったが、実は当時最高と言われ
た同時通訳にも欠落はあったようで、当時の音声からの詳細
な字幕にはいろいろ再認識されるものも多かった。
それと共に衛星軌道上に残されたコリンズ飛行士との通話が
頻繁に入るのも嬉しく感じるもので、人類史上最大の偉業に
最も近いところにいながらそれに参加していない人物の気持
ちも分かち合える気がしたものだ。
そして帰還から、世界中で行われた歓迎パレードの様子など
と続くが、これこそが人類最大の冒険が凝縮されていると思
える作品だった。
公開は7月19日より、東京は109シネマズ二子玉川他にて
全国ロードショウとなる。

この週は他に
『熱帯魚』“熱蔕魚”
(2013年の東京国際映画祭で上映され、2014年に公開された
『祝宴!シェフ』のチェン・ユーシュン監督が1995年に発表
した長編デビュー作。誘拐事件に巻き込まれた中学生と、こ
ちらも巻き込まれ形の誘拐犯一家との交流がユーモラスな筆
致で描かれる。監督は、本作と共に再上映される『ラブゴー
ゴー』と2017年の新作の4本しかない寡作の人だが、何とい
うか一貫して台湾映画の雰囲気を醸している感じがする。本
作でも台湾特有の受験戦争の様子など、日本人としてはなか
なかピンと来ないが、全体はコメディなのでそれとして理解
はできるし、報道の過熱ぶりなどは微笑ましくも感じられる
作風で作られている。台湾映画も近年は、それなりに目覚ま
しい作品も観られるが、それらの作品の原点とも呼ばれてい
る作品だ。とは言え僕には懐かしさが先に立ったかな、結末
のシーンで先の公開時に観た記憶が蘇った。公開は8月17日
より、東京は新宿K's cinema他で全国順次ロードショウ。)

『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』
(2017年6月18日題名紹介『米軍(アメリカ)が最も恐れた男
その名は、カメジロー』を補完する作品。本作では、米軍の
執拗な妨害にもめげず、那覇市長や衆議院議員も務めた瀬長
亀次郎氏が残した膨大な日記を基に、国会審議での代表質問
のアーカイヴ映像や当時を知る関係者の証言などを交えて、
カメジローの実像が描き出される。しかもそこに立ちはだか
るのはアメリカだけでなく、他国の言いなりのままに尻尾を
振り続ける日本の執政者の姿であり、それが1972年から半世
紀近くが過ぎても変わらないという状況だ。いや、むしろ当
時より悪くなっている現実だろう。正直に言ってこの国の国
民として恥ずかしくてたまらなくなるような作品だった。監
督は前作と同じく元TBSアナウンサーの佐古忠彦。これか
らも真の沖縄が戻ってくるまで続けて欲しい作品だ。公開は
8月17日より沖縄県桜坂劇場にて先行上映の後、東京は24日
から渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)

『葬式の名人』
(ノーベル文学賞受賞者川端康成の諸短編に基づき、作家が
学童期を過ごした大阪府茨木市が市制70周年を記念して製作
した作品。突然亡くなった同窓生の遺体を前にした旧友たち

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06月30日(日)
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