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On the Production
by 井口健二
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■センターライン、レプリカズ、ホモソーシャルD(マルリナ、バースデー・W、レゴムービー2、山懐に抱かれて、WE ARE LITTLE Z、リトル・F)
で成功しなければ研究の資金を打ち切るという通告もされて
しまう。
そんな折、家族と共に気晴らしのクルージングに出かけよう
とした主人公らは、突然の嵐に巻き込まれて車が横転。主人
公以外の家族が死亡してしまう。そこで主人公は思わず死亡
した妻と子供たちの脳の記憶を取り出すが…。
共演は2018年6月紹介『500ページの夢の束』などのアリス
・イヴ。2019年“Godzilla: King of the Monsters”にも出
ているトーマス・ミドルディッチ。2017年2月紹介『キング
コング髑髏島の巨神』などのジョン・オーティス。
脚本は2016年『エンド・オブ・キングダム』(2013年4月紹
介『エンド・オブ・ホワイトハウス』の続編)などのチャド
・セント・ジョン。物語は、製作も務めている2017年2月紹
介『パッセンジャー』などの製作者スティーヴン・ハーメル
の原案に基づくようだ。
監督は2004年『デイ・アフター・トゥモロー』の脚本などで
知られるジェフリー・ナックマノフが担当している。
実は主人公のいる場所が軍事研究の研究所であり、並行して
別の研究も行われているのだが、突然その展開になったのに
は少し唖然とした。その辺の伏線がちょっと説明不足かな。
でも全体はしっかりと描かれたSFになっている。
その他にも細かい描写がいろいろ説明不足な感じもするが、
この辺は脚本にはあったが、上映時間との関係で切られてし
まったのかもしれない。まあSFファンなら大体判る程度の
ことではあるが…。
でもこんなことを書くと、またSFは面倒臭いということに
なるのかな? ただ最初に書いた別の研究は国際条約上でも
問題になるものだから、極秘研究になることは間違いない。
その点も含めた伏線として描いて欲しかったところだ。
因に映画の中で、頭脳への電極の差し込みを眼窩から行うの
は、2011年4月紹介『エンジェル・ウォーズ』などでも描か
れたロボトミー手術の手法に沿ったもので、これには納得で
きたものだ。
一方、映画の中では主人公の名前がウィリアムとビルとで使
い分けられていて、それに気づいていると結末の本当の意味
が判る仕組みになっている。この辺はニヤリとした。
公開は5月17日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他にて全国
ロードショウとなる。
『ホモソーシャルダンス』
2018年10月紹介『かぞくわり』のVFXなどを担当する一方
で、2017年制作『老ナルキソス』という短編作品が国内外の
映画祭などで高い評価を受けている東海林毅監督の最新作。
物語は2つの場面で構成され、その一方は高校(?)の校内。
そこでは1人の女子生徒の周囲に男子生徒によるグループが
形成されており、グループの外から女子生徒を見初めた主人
公が自分の思いを彼女に伝えようとするが…。
そしてそれと同じ展開が、床に白線で円の引かれた舞台での
コンテンポラリーダンスとしても表現される。そこでは2つ
の大きな球をぶら下げた男根を想起させる男性のダンサーた
ちが、1人の女性ダンサーを囲んで踊っており…。
このドラマ編とダンス編の場面が交互にスクリーンに登場し
て、男性社会における女性の立場や女性の存在の意味のよう
なものが問われてゆく。そしてそこにおける男性の存在の意
味なども問い返される。
上映後の監督の発言によると、作品はミソジニーという言葉
にインスパイアされたということで、過去に女性の側からは
ウーマンリブなど何度も女性の立場に関する問題提起がなさ
れたが、男性側はそれを無視し続けてきた。
それをこの作品の中で表現したかったということのようだ。
それは作品に見事に描かれたと感じられるもので、上映時間
は11分の作品だが、正しくストレートにそのメッセージは伝
わってきた。
因に題意は「ホモのソーシャルダンス」ではなく「ホモソー
シャルのダンス」。実際に踊られているのも社交ダンスでは
ない。そしてこのコンテンポラリーダンスがファンタスティ
ックかつ明確にメッセージを伝えているものだ。
出演は新宅一平、鈴木春香。他に内田悠一、楊煉、ゼガ、ク
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03月03日(日)
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