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On the Production
by 井口健二
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■ハンターキラー(Bの戦場、嵐電、僕はイエス様、空母いぶき、作兵衛さん、賭ケグルイ、さよならくちびる、ビル・エヴァンス、ベン・イズB)
馬歩。物語の緩急も良い作品だ。公開は3月15日より、東京
はユナイテッド・シネマ豊洲他で全国ロードショウ。)
『嵐電』
(京都四条大宮と嵐山を結ぶ京福電気鉄道・嵐山本線を背景
に、旅行作家とその妻、太秦の俳優とケータリングの店員、
それに修学旅行の高校生らで展開される、少しファンタシー
の要素もある作品。描かれるのは帷子ノ辻。本線と北野線の
分岐駅が主な舞台となる。とは言うものの、背景などが関東
の人間には少し判り難いかな。逆に江ノ電との絡みは結末の
音響などで理解できたが…。でもまあそれはそれで観る方が
納得すれば良い話ではある。出演は2018年11月18日題名紹介
『赤い雪』などの井浦新。2018年6月10日題名紹介『きらき
ら眼鏡』に出ていた大西礼芳と金井浩人。脚本と監督は『き
らきら眼鏡』の出演俳優でもある鈴木卓爾が担当した。鈴木
が教鞭も執る京都造形芸術大学映画学科・北白川派の作品。
同派からは以前に『黄金花』『カミハテ商店』などを紹介し
ているが、本作はその第6弾だそうだ。公開は初夏に東京は
テアトル新宿他でロードショウ。)
『僕はイエス様が嫌い』
(主人公が転校した雪深い田舎町の小学校はミッション系で
毎朝の礼拝が決まりだった。そんなルールに最初は戸惑う主
人公だったが、やがてサッカーのうまい友達もできて慣れ始
めたころ、礼拝で目を開けた彼の前に小さなイエス様が現れ
る。その後もイエス様はいろいろなところに現れて、ちょっ
とした奇跡も起こしてくれるが…。脚本、監督、撮影、編集
は短編映画で注目された新鋭奥山大史。彼の長編デビュー作
の本作は、世界各地の映画祭の受賞も果たしている。出演は
子役の佐藤結良、大熊理樹。それに2015年4月紹介『新選組
オブ・ザ・デッド』などのチャド・マレーン。小さなイエス
様などのVFXは良くできていて、話も面白いのだが、全体
として何が言いたいのかよく判らない。特に後半の展開は、
これでない方が監督の考えを明確にできたと思うのだが。映
画を見た目で語りたいタイプの人なのかな? 公開は初夏に
東京はTOHOシネマズ日比谷他で全国順次ロードショウ。)
『空母いぶき』
(かわぐちかいじ原作コミックスの映画化で、今回表題の作
品と同様の架空戦記ドラマ。自衛隊初の航空母艦いぶき率い
る護衛艦群が、日本最南端の島を占拠した国籍不明の軍隊と
対峙する。原作は尖閣列島、中国という設定のようだが、映
画化ではいろいろ配慮されている。そこに好戦的な防衛相が
いる辺りは表題作も同じだが、さらに外交交渉を絡める点は
本作の方が現実的かな。ただ端々の局面の描写では表題作の
方にリアルさを感じる。その辺が微妙なところだ。因に本作
は、かわぐちかいじ原作では初の実写映画化だそうだ。出演
は西島秀俊、佐々木蔵之介。他に本田翼、小倉久寛、高嶋政
宏、玉木宏、戸次重幸、市原隼人。さらに藤竜也、村上淳、
佐藤浩市、中井貴一、斉藤由貴らが脇を固めている。監督は
2009年『沈まぬ太陽』などの若松節朗。なお脚本には『亡国
のイージス』などの作家の福井晴敏が企画で参加している。
公開は5月24日より、全国ロードショウ。)
『作兵衛さんと日本を掘る』
(2011年にユネスコ記憶遺産に認定された「炭鉱記録画」の
作者・山本作兵衛を描いたドキュメンタリー。1892年福岡県
生まれの山本は1906年に炭鉱夫となり、以来筑豊地区の幾多
の炭鉱を転々とし、様々な苦楽を炭鉱の人々と共に過ごして
きた。そんな山本が63歳で炭鉱の警備員に転職したことから
往時の生活を伝えようと絵を描き始める。そして92歳で亡く
なるまでに2000枚近い記録画を描いたとされる。そんな絵描
きの経歴とそれに並行する筑豊炭田の歴史が、山本が残した
記録画と何冊もの日記、さらに多くの証言と共に語られる。
「炭鉱記録画」自体は、他の筑豊炭田の歴史を描いたドキュ
メンタリーでも取り上げられていたが、その作者自身を描い
た作品は初めてのようだ。そこには炭鉱に暮らした庶民の姿
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02月24日(日)
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