ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459698hit]

■ndjc:若手映画作家育成、シー・ラヴズ・ミー(波乗りオフィス、福島は語る、マックイーン、ドント・ウォーリー、新宿タイガー、COLD WAR)
像学科卒業。在学中に制作した短編作品「おねえちゃんのす
きなひと」が2007年アジア国際青少年映画祭にて上映、受賞
している。卒業後はフリーの助監督として活動。出演は横溝
菜帆、黒川芽以、増子倭文江、田村泰二郎、森優理斗。
母親が新しい恋人との子供を宿し、祖母と2人暮らしの実家
に残された少女。母親の里帰りで連れてくる父親の違う弟と
は仲も良いが、満たされないものも感じている。そんな少女
が公園で不思議な物売りに出逢う。その商品の小箱には不思
議な力があるというが…。レイ・ブラッドベリの短編小説に
でもありそうなファンタスティックで、残酷な物語が展開さ
れる。物語も良いが姉弟を演じる子役が素晴らしい。そして
上映後のトークでそれを引き出した演出力に納得した。
「最後の審判」
脚本・監督の川上信也は、1976年生まれ、東京工芸大学デザ
イン科卒業後、映像制作会社にて数多くのCM、MVなどを
演出、国内外の賞を多数受賞している。出演は須藤蓮、永瀬
未留、黒沢あすか、荒谷清水。
主人公は日本最高峰の美大の受験に浪人5年目。今年で最後
と決めた試験の課題は2日間で描き上げる人物着彩。その試
験開始の直前に平然と現れる独特な風貌の女性。しかし試験
が始まると、彼女はとてつもない画力で他を圧倒し、主人公
もその絵を意識するあまり自分のペースを見失ってしまう。
そして帰り道、自分の不甲斐なさにも怒る主人公は彼女に声
を掛け、画力の秘密を聞き出そうとするが…。監督の実体験
に基づく部分もある話ようだ。
今回上映された作品では、最後の作品を除いていずれも「家
族」が描かれたが、それは特に意図されたものではないとの
ことで、時代がそういう作品を選んだようだ。その中で最後
の作品だけが異彩を放ったが、それで少し損してしまった感
じもしないではない。でも何れも優れた才能の片鱗を見せて
貰えた。
2006年に開始されたプロジェクトからは、すでに2018年1月
21日題名紹介『花は咲くか』の谷本佳織。2018年2月4日題
名紹介『ANIMAを撃て!』の堀江貴大。2018年8月5日
題名紹介『パパはわるものチャンピオン』の藤村亨平らの才
能を輩出しており、今後も期待されるものだ。
一般公開は3月2日〜8日に有楽町スバル座、8日〜14日に
名古屋ミッドランドスクエア、16日〜21日にシネ・リーブル
梅田にて期間限定ロードショウとなる。

『松竹ブロードウェイシネマ シー・ラヴズ・ミー』
                   “She Loves Me”
2017年8月紹介『ホリデイ・イン』に続くニューヨーク・ブ
ロードウェイの舞台を撮影した作品。
舞台は1963年に初演され、1999年に公開されたトム・ハンク
ス、メグ・ライアン共演の映画『ユー・ガット・メール』の
元にもなった名作ミュージカル。今回上映の2016年再演版は
トニー賞で2部門に輝いている。
主人公は街角に建つ香水店で働く男性店員。同世代の同僚と
年配の店員、それにレジ係の女性と共に働いているが、同僚
には少し問題があるようだ。そしてその同僚が馘になり、代
わって有能な女性店員が雇われる。
ところが主人公と女性店員とは最初の出会いから少し行き違
いが生じて、主人公は何かと辛く彼女に当ってしまう。そん
な2人は共に独身で、心の支えはまだ会ったことのない匿名
のペンフレンドとの文通だったが…。
1999年の映画では電子メールだったが、オリジナルは手紙。
私書箱でやり取りされて住所も本名も判らないというのは、
今なら電子メールの方が理解し易いが、1960年代にもこんな
ことは行われていたようだ。
そしてちょっとした行き違いが様々なドラマを生んで行く。
出演は、テレビの人気番組で主演を務めた他、2013年12月紹
介『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』にも出ていたザカ
リー・リーヴァイ、ブロードウェイで多数のミュージカルの
舞台の他、テレビの『スーパー・ガール』にも出ていたロー
ラ・ベナンティ。
また、ブロードウェイやロンドン・ウェストエンドなどの舞

[5]続きを読む

02月10日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る