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On the Production
by 井口健二
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■ジャンクション29、フロントランナー(エマの瞳、ゴールデンS、沓手鳥孤城落月/楊貴妃、ラ、こんな夜更けにバナナ、ノーザンS、ブラックK)
ところがフロリダで美女たちとのクルージングなど、派手な
パフォーマンスを繰り広げた夜、マイアミ・ヘラルドのデス
クに1本の電話が入る。それは女性の声で彼女の友人が数日
後にワシントンで候補者と密会するというものだった。
しかしその日の予定では、候補者はケンタッキーダービーを
見るとされており、情報は一蹴されるのだが…。その日の直
前になって予定がキャンセルされ、記者たちは色めき立つ。
そして尾行が始まった。
一方、候補者にはワシントン・ポストの記者が密着取材して
いたが、優しく対応する半面、プライヴェートには立ち入ら
せない候補者の態度に焦燥を募らせていた。そして「知りた
いなら尾行でも何でもしろ」という発言を記事にする。
こうしてヘラルド紙の尾行が続けられ、遂に候補者の自宅に
女性が入って行く姿を目撃してしまう。ただしその時は女性
の身元も何も不明だったが、それでもヘラルド紙はその記事
を一面に掲載してしまう。
出演は、2015年10月紹介『PAN ネバーランド、夢の始まり』
などのヒュー・ジャックマン。2016年6月紹介『死霊館』な
どのヴェラ・ファーミガ、2015年8月紹介『Re:LIFE』など
のJ・K・シモンズ、2010年1月紹介『17歳の肖像』などの
アルフレッド・モリーナらが脇を固めている。
脚本、監督は2018年7月1日題名紹介『タリーと私の秘密の
時間』などのジェイスン・ライトマン。その脚本は、Yahoo!
Newsの政治コラムニストで、本作と2013年8月紹介『ハウス
・オブ・カード』に出演もしているマット・バイが、2014年
に発表した原作“All The Truth Is Out”に基づく。
ところで本作の中に件の女性と候補者側の女性スタッフが紅
茶を飲むシーンがあり、そこで用意された紅茶に「ハチミツ
を入れるか?」という言葉で酒が所望される。ここで字幕は
酒なのだが、台詞は“Southern Comfort”だった。
これはリキュール酒の名前で、この酒は夭逝した歌手のジャ
ニス・ジョプリンが愛飲し、しばしばステージ上にボトルが
置かれていたことでも知られていたものだが、実は学生時代
に友人が入手して試飲したことがある。
ところがこれが途轍もなく甘くて、一口で飲むのを止めてし
まった。近年はリニューアルされてアルコール度数21度程度
のものが流通しているようだが、当時は50度以上、度数が高
いうえに甘ったるいという代物だった。
今回は映画の中でハチミツの代わりに紅茶に入れると聞き、
納得すると同時に、その甘さが口の中に甦ったものだ。
公開は2019年2月1日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他で
全国ロードショウとなる。
この週は他に
『エマの瞳』“Il colore nascosto delle cose”
(自立して生きる盲人女性とプレイボーイとの恋愛を描いた
イタリア映画。脚本と監督は前作で盲人のドキュメンタリー
を手掛けたという2017年2月26日題名紹介『日々と雲行き』
などのシルビオ・ソルディーニ。主演はイタリアの国民的女
優とされるヴァレリア・ゴリノと、2004年12月紹介『オーシ
ャンズ12』などに出演のアドリアーノ・ジャンジャーニ。
物語としてはごく定番のプレイボーイと一般女性の恋が描か
れ、そこに盲人特有の様々なエピソードが挿入される。それ
は盲人を描いた作品を何本か観たりしていると、まあ有り勝
ちかなと思えるエピソードではあるけれど、一般の観客には
目新しさもあるだろう。ダイアログ・イン・ザ・ダークなど
興味を惹かれるものも登場する。ただ全体の恋愛ドラマが盲
人に特化できていないのが少し物足りないが、そこはないも
のねだりかな。作品には満足した。公開は2019年3月23日よ
り、東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『ゴールデンスランバー』“골든 슬럼버”
(日本では2010年に映画化されている伊坂幸太郎の原作を韓
国でリメイクした作品。大統領選挙を目前とした中で与党の
候補者が爆殺され、その濡れ衣が宅配ドライヴァの主人公に
着せられる。持てる能力は土地勘だけという主人公が警察や
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12月02日(日)
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