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On the Production
by 井口健二
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■バーバラと心の、ウルフなシッシ(テル・M、母さんが、DTC、止められるか、黙ってピアノ、純平、デス・W、日日是、僕の帰る、あのコの)
感覚』などの本村壮平らが脇を固めている。
大野監督は、カナザワ映画祭2016で「期待の新人監督」に選
ばれているものだが、その際の『さいなら、BAD SAMURAI』
も自主映画製作の舞台裏を描いて、かなり本音がぶちまけら
れる作品だったようだ。
それに対して本作では、演劇界の舞台裏に加えて男と女の本
音みたいなものが丁寧且つ壮絶に描かれている。それは自分
が40年連れ添った妻との関係に照らしても成程なあと納得で
きるものだった。
ただし、この作品では言い分が男性側に偏っているような感
じがして、それは男性の観客としては納得できるものだが、
女性の観客にはどうなのだろう? その点がちょっと気にな
りはしたものだ。
まあ、現場のキャストやスタッフには女性もいるのだから、
その点の意見交換などはしているものと思うが。その点も含
めて、僕にこの様な感じを抱かせない工夫が欲しかったとは
言えそうだ。
なお映画の初めの方で、女優がオーディションの後に有料の
ワークショップに誘われるシーンでは、僕が以前に職安から
紹介された会社に面接に行ったら、面接もそこそこに講習会
の勧誘を受けたことを思い出し、ニヤリとしてしまった。
こんなことはあるものなのだ!
公開は9月15日より、東京は新宿K`cinemaにて連夜19:00か
ら、2週間限定のイヴニングロードショウとなる。

この週は他に
『テル・ミー・ライズ』“Tell Me Lies”
(ピーター・ブルック監督によって1968年に製作され、この
年のヴェネツィア国際映画祭では審査員賞などの評価を与え
られたものの、政治的な内容から各国での上映は見送られ、
一時はフィルムの紛失も伝えられた作品が発見、修復されて
日本初公開となる。製作年に僕は予備校生で、当時のことは
記憶にも残っているが。現時点でこの作品を観ていて、当時
の自分が何を考えていたのか、いろいろな想いが錯綜した。
実際に本作は「究極の反戦映画」と呼ばれているものだが、
結論としてヴィエトナム戦争は反戦運動によっては終らず、
北の攻勢で米軍が敗退するまで続いたもの。そんな虚しさも
改めて込上げてきた。今やヴィエトナム戦争も知らない子供
たちの時代だが、当時から続く沖縄占領基地は解消されず、
その返還運動も実らないままなのが、我々の過ごした半世紀
なのだ。公開は8月25日より、東京は渋谷シアター・イメー
ジフォーラム他で全国順次ロードショウ。)

『母さんがどんなに僕を嫌いでも』
(マイノリティへの理解を求め続ける作家・まんが家、歌川
たいじによる実体験に基づくコミックスエッセイの映画化。
主人公は家庭を顧みない父親と、子供に暴力を振う母親の許
に育ち、幼児期に施設に強制入所させられるなど虐待を受け
るが、血の繋がらない祖母のような女性に助けられる。しか
し両親の離婚によってその「祖母」と離れ離れになり、17歳
で家出。社会人となるもPTSDに悩まされ続ける。そんな彼が
演劇を志し、そこから支援してくれる仲間ができ、遂には母
親との再会を決意するが…。出演は太賀と吉田羊。他に森崎
ウィン、白石隼也、秋月三佳、木野花らが脇を固める。監督
は2013年公開『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』などの
御法川修。壮絶な物語だが、報道などを観ると幼児の虐待死
など、今の時代にはそこら中にある話のようで、その現実を
考えると恐ろしくなった。公開は11月16日より、全国ロード
ショウ。)

『DTC 湯けむり純情篇 from HiGH&LOW』
(2017年10月29日題名紹介『HiGH&LOW』から派生の番外編。
SWORD 地区での官民入り混じった闘いが終結し、闘いに明け
暮れていた山王連合会のダン、テッツ、チハルは旅に出る。
ところが資金が尽きて転がり込んだ老舗旅館で、その店を仕
切る子持ち未亡人の女将を巡る人生模様に巻き込まれる。出
演は山下健二郎、佐藤寛太、佐藤大樹。ゲストに笛木優子、
駿河太郎と子役の新井美羽。その他にSWORD 地区の面々もい
ろいろな形で登場する。本作は松竹映画配給だが、オリジナ

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07月29日(日)
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