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On the Production
by 井口健二
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■第二警備隊(英国総督最後の家、ヒトラーを欺いた、高崎グラフィティ、国家主義の、輝ける人生、祝福、ブエナ・ビスタ)
『パディントン』などのヒュー・ボネヴィルと、『X-ファイ
ル』のジリアン・アンダースン。脚本と監督は2002年『ベッ
カムに恋して』などのグリンダ・チャーダ。公開は8月11日
より、東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『ヒトラーを欺いた黄色い星』“Die Unsichtbaren”
(第2次世界大戦下のベルリンでは、ナチスによるジェノサ
イドが行われる中、多数のユダヤ人が密かに暮らしていた。
その数は当初は7000人とも言われ、その内の1500人が戦後ま
で生き延びたとのことだ。そんな4人の生存者の証言に基づ
くドラマ作品。彼らの多くは善良なドイツ市民の庇護で救わ
れるが、中には手先の器用さで身分証明書を偽造し、それを
売ってかなり優雅な生活をしていた猛者もいたようだ。そん
な歴史の裏側のドラマがインタヴュー映像や当時の記録映像
と共に描かれる。インタヴューの画質が甘いのは初期のHD
での撮影と思われるが、挿入される当時の映像の中にカラー
があったことには驚いた。アメリカが沖縄戦線などの記録で
カラーフィルムを使用したのは知っていたが、戦時下のドイ
ツでそれが行われていたのは、映画史的にも貴重な映像だ。
そんな見所もある作品になっている。公開は7月28日より、
東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『高崎グラフィティ』
(2016年にスタートした「未完成映画予告編大賞」で第1回
グランプリに選ばれた作品を、川島直人監督が3000万円の助
成金を得て本編映画化した長編デビュー作。群馬県高崎市を
舞台に卒業式を終えた高校3年生の男女5人による青春群像
劇。地元に残る者、東京へ出て行く者。そんな未来への不安
が一杯の中で、いくつかの事件が交錯する。中心になる5人
には佐藤玲、萩原利久、岡野真也、中島広稀、三河悠冴とい
う若手が選ばれ、その脇を川瀬陽太、渋川清彦らが固めてい
る。題名からは1973年のジョージ・ルーカス監督作が思い浮
かぶが、同様に本作も5人の誰かに感情移入できるところが
眼目だろう。そして本作では女子を描いたことに時代を感じ
させる。また渋川の役柄が、後半の展開では先が読めるもの
の、主人公の焦燥感に重なる良いアクセントになっていた。
公開は、すでに4月に行われた高崎映画祭のクロージングで
上映されたようだが、一般公開は8月に予定されている。)
『国家主義の誘惑』“Japon, la tentation nationaliste”
(パリ在住で、フランスやヨーロッパのテレビ向けに多くの
ドキュメンタリー作品を手掛けている渡辺謙一監督が、原状
の日本と戦前の日本とを重ね合せて、日本国の進むべき道を
問うフランス製作の作品。内容的には安倍晋三のやることに
真っ向から反旗を翻しているもので、その論点は判り易い。
しかもそれを海外の歴史学者などへのインタヴューで明らか
にして行く。それは「外国人の言うことなど…」という短絡
的な反論も出てくるだろうが、これが海外の特に知識人たち
が日本を観ている目なのであって、それを看過することはで
きないものだ。その中には日本人には今更の部分もあるが、
日本人では考えない洞察があることも見逃せない。また昭和
天皇及び現天皇の言葉に対する考察も興味深かった。今こそ
全日本人がしっかりと観て考え、議論して、日本の行く末を
見直す材料とするべき作品だ。公開は7月28日より、東京は
ポレポレ東中野他で全国順次ロードショウ。)
『輝ける人生』“Finding Your Feet”
(共に『ハリー・ポッター』シリーズで悪役側を演じたイメ
ルダ・スタウントンとティモシー・スポールの共演で、第2
の人生を歩み出そうとする中年の男女を描いたドラマ作品。
主人公は内助の功で夫が受勲してレディの称号を得た女性。
ところがその祝宴の最中に夫の不倫が発覚し、彼女は下町に
住む疎遠だった姉の家にやって来る。その姉は独身でエコ活
動などに忙しかった。こうして180度違った暮らしに放り込
まれた女性だったが、徐々に昔の暮らしを思い出し、幼い頃
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05月27日(日)
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