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On the Production
by 井口健二
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■牙狼 GARO 神ノ牙 KAMINOKIBA、ザ・リング/リバース
れていない。そこで本作では遂にハリウッド版『らせん』が
期待されるものだが、そこから『ループ』に進めるか?
実は以前にこれらの作品を考察した時に、『らせん』の映像
化までは日本映画でも何とかなるが、『ループ』は日本では
無理ではないかと考えた。それはSFマインドの点で当時の
日本の映画人にはそれができないと思ったものだ。
そこに今回はハリウッドが挑戦してくれるかもしれない。そ
んな期待を感じさせる作品にもなっている。ただしハリウッ
ドの映画人でも、これをしっかりと受け止めて映像化するの
は、かなりハードルが高そうだ。
これを脚色、監督できるのは、僕には2014年11月紹介『イン
ターステラー』などのクリストファー・ノーラン監督ぐらい
しか思い浮かばないところだ。それくらいの究極のSFドラ
マが『ループ』では期待される。
本作の監督は、2008年の長編処女作“Tres días”(DVD
邦題『アルマゲドン・パニック』)がベルリン国際映画祭の
パノラマ部門で上映されたというスペインの俊英F・ハビエ
ル・グティエレス。監督の第2作にして初のスタジオ作品だ
そうだ。
脚本は、2012年9月紹介『ドリームハウス』などのデヴィッ
ド・ルーカが担当した。因に前作は、『ザ・リング』の先の
2作をリードしたナオミ・ワッツが主演しているものだ。
出演は、イタリア出身でファッションモデルとしても活躍す
るマチルダ・ルッツ。女優のハリウッドデビュー作となる。
他に、2016年3月紹介『フィフス・ウェイブ』などのアレッ
クス・ロウ、2008年7月紹介『ハンコック』などのジョニー
・ガレッキ、2015年『ジュラシック・ワールド』などのヴィ
ンセント・ドノフリオらが脇を固めている。
ヴィデオの呪いは、観ると直後に電話が架かってくる。それ
から7日間で死に至る。それまでに誰かに見せれば呪いは移
るが、その人物が死ぬと戻ってくる。これは当初から変って
いないが、本作では研究室でテールと呼ばれる次の被験者を
用意するという展開になっている。
ところが本作で、ヒロインがヴィデオを観たと知った彼女の
婚約者が、直後に架かって来たテールが見つかったとする電
話に対してそれを断るシーンがあり、ここではヒロインなら
まだしも婚約者ではおかしい訳で、これは脚本の勇み足かな
と思ってしまった。
些細なことだがそんなことも気になる作品だ。
公開は2018年1月26日より、東京は渋谷HUMAXシネマ、TOHO
シネマズ新宿他で、全国ロードショウとなる。
この週は他に
『ドリス・ヴァン・ノッテン
ファブリックと花を愛する男』“Dries”
(1980年代末からベルギー・アントワープを本拠にメンズ&
レディースのコレクションを発表し、日本にもブティックを
展開する世界的なファッションデザイナーに密着したドキュ
メンタリー。作中には初期からのファッションショウの記録
映像も登場し、それに本人がコメントする趣向もあり、それ
はファッションに疎い僕でも納得のできる巧みな構成になっ
ていた。その他にも生地に拘るためにインドに織物工場を持
つなど、多角的且つ国際的な視野にも感心させられるところ
があった。最近ではファッションデザイナーのドキュメンタ
リーや伝記ドラマ作品も多いが、その中でも真摯に受け止め
られる作品だ。公開は2018年1月13日より、東京はヒューマ
ントラストシネマ有楽町他で全国順次ロードショウ。)
『北の桜守』
(吉永小百合の出演120作目という作品。戦前の樺太で桜樹
を育てるもソ連軍の侵攻で網走に帰還した女性の姿を描く。
時は1971年、オリンピックを翌年にした札幌では華やかな賑
わいと新たな店舗の進出が相次いでいた。その中にアメリカ
に渡ってコンビニエンスストアを知り、手腕を買われて凱旋
した女性の次男もいたが…。彼を追い立てるように送り出し
た母親との確執や、桜樹を見ると守らずにいられない女性の
物語が綴られる。共演は堺雅人、篠原涼子。他に佐藤浩市、
阿部寛らが脇を固めている。監督は2008年6月紹介『おくり
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12月24日(日)
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