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On the Production
by 井口健二
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■仮面ライダー/スーパー戦隊、DARK STAR H.R.ギーガーの世界(仮)
言や、企画展を開いた美術館の学芸員による解説なども織り
込まれて、ギーガー自身を網羅的に知ることができるように
もなっている。
そして本作は、2014年5月12日に亡くなった画家の死の直前
まで取材されていたとされ、ウィキペディアに書かれた死因
と映画の最後のシーンの描写が衝撃的だった。
因にギーガーは『エイリアン』でオスカーも受賞したが、そ
の前に映画との関わりがあったことは2014年3月紹介『ホド
ロフスキーのDUNE』に描かれたもの。本作ではその点には触
れられていないが、『エイリアン』に関わるインタヴューの
中にダン・オバノンの名前が出てきたことは、その示唆には
なっていたものだ。
その『エイリアン』に関しては、当時の妻が撮影したメイキ
ングの映像などもあって、それは映画ファンとして興味深い
ものだった。
ウィキペディアによると彼の死は事故によるもののようで、
従って本人にその意図があったかどうかは判らないが、本作
は画家の遺言のようでもあって、生と死とそれらを繫ぐ生殖
が作品のテーマだった画家のドキュメンタリーは、見事にそ
の姿を描いたと言えそうだ。
公開は9月2日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他で、全国順次ロードショウとなる。

この週は他に
『オン・ザ・ミルキー・ロード』“On the Milky Road”
(1995年『アンダーグラウンド』などのエミール・クストリ
ッツァ監督による2009年『マラドーナ』『ウェディング・ベ
ルを鳴らせ!』以来の新作。戦場で最前線の兵士に牛乳を配
達する男=監督主演が、ふと出会ったイタリア女=モニカ・
ベルッチによって人生を狂わせる。女のためだけの理由で村
が総攻撃されるなど、かなり戯画化された戦争喜劇。公開は
9月15日より、東京はTOHOシネマズシャンテ他で、全国順次
ロードショウ。)
『おクジラさま ふたつの正義の物語』
(2013年2月紹介『ハーブ&ドロシー』などの佐々木芽生監
督が、2009年10月20日付「東京国際映画祭」で紹介『ザ・コ
ーヴ』で題材にされた和歌山県太地町を取材した作品。その
後に現地に来て反対運動を続けるGreenpeaceの親子や、現地
に入り込んで取材を続けたアメリカ人記者などが中心に紹介
される。ただ具体的な内容は上記の作品ですでに描かれたも
のと然程変わらず、一方、Greenpeace親子や記者のその後が
曖昧など、新たものはあまりなかった。問題を蒸し返すには
これが適当なのかも知れないが。公開は9月9日より、東京
は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)
『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』
(2005年〜06年に放送されたテレビシリーズからの劇場版。
異星生物によって地表が覆われ、宇宙への移住を余儀なくさ
れた人類が帰還し、異星生物の殲滅を図るが…。という設定
で始まるバトルアニメーション。現時点が何時かも判らない
ままフラッシュバックが目まぐるしく展開され、オリジナル
を知らないと物語を把握するだけで精一杯だった。でもまあ
戦闘シーンは迫力があるし、オリジナルのファンも多い作品
だし、最近の観客はこれでも満足だろう。公開は9月16日よ
り、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)
『NELLY ネリー・アルカン愛と孤独の淵で』“Nelly”
(2009年に36歳で自死したカナダ人作家の生涯を本人の著作
などに基づいてドラマ化した作品。主人公は元娼婦であり、
その素性を隠していた訳ではないが、周囲の目や軋轢などで
死の道を選んでしまう。若い女性には有り勝ちの物語のよう
にも見えるが、自作の映画化でスターとしてデビューするな
どの華やかさが、本作を支えているとも言える。因に同じ題
材の舞台劇もあり、そちらはかなり複雑な構成のようだが、
本作は判り易いストレートな作品になっている。監督は本作
が第3作のアンヌ・エモン。出演は2015年“Endorphine”と
いう作品でカナダスクリーンアワードの助演賞候補になった
マイリーン・マッケイ。公開は10月に東京はYEBISU GARDEN
CINEMA他で全国順次ロードショウ。)

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07月30日(日)
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