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On the Production
by 井口健二
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■あなたそこにいてくれますか、アウトレイジ最終章、3ねんDぐみガラスの仮面 とびだせ私たちのVR
一時はヴァイオレンス卒業を宣言していた北野監督が原点?
に立ち返った作品だった。その経緯には多少自分なりの思い
入れもあったもので、そのシリーズが完結したことにはそれ
なりの感慨も湧いてくる。
ただし、上ではそれなりな人間模様と書いたが、映画の中で
のそれぞれは比較的あっさりと描かれていて、前作からの流
れも判り易い。これは前作からの間隔が5年も空いてしまっ
たこともあるのだろうが、判り易さは優先されているように
も感じられた。
しかも説明過多にせずドラマを作るのは、いろいろ難しさも
あったのだろう。そのためか本作は、ある意味内容が淡泊で
もあって、いろいろの部分をもう少し描き込んで欲しかった
ところもある。でもその辺は最近の日本映画の状況には合わ
ないのかもしれない。
いずれにしても、本作で北野監督は再びある意味での卒業を
宣言している訳で、これで次の作品への期待が増してくる。
正直には、本作では決着を急ぎ過ぎているかな?という思い
もあり、それだけ次の作品への想いが高まっているようにも
感じる。
それが新たなヴァイオレンスの表現か? はたまたアートへ
の再挑戦か? その進化形を早く知りたいという思いも募る
作品だ。
公開は10月7日より、全国ロードショウとなる。

『3ねんDぐみガラスの仮面 とびだせ私たちのVR』
前回の『東京タワーお化け屋敷』に続いて、今回は横浜駅西
口に常設されている「DMM・VRシアター」において7月
22日から9月3日まで行われる美内すすえ原作に基づく公演
を一般公開の前日に鑑賞させて貰った。
作品は原作の連載開始40周年を記念して2016年10月から12月
まで放送された短編テレビアニメを拡大したもので、3頭身
にデフォルメされたキャラクターによる原作のパロディが、
30分の物語で展開される。
その物語は、主人公たちの「VRシアター」出演が決定し、
その開演が3日後に迫っているのにまだ演目も決まっていな
いという状況で始まり、月影千草の無茶苦茶な指導の許、演
目は「桃太郎」となるのだが…。
北島マヤが持つ天性の閃きと、姫川亜弓の対抗心、さらには
桜小路優のキャラクターが昔話を新たな次元へと引き上げて
行く。その一方で速水真澄とその影武者の聖唐人はとんでも
ない冒険に巻き込まれていた。
声優は、月影役の田中敦子以下、阿澄佳奈、大久保瑠美、梶
裕貴、小野大輔、それに本作から新登場の聖役に緑川光。
脚本はテレビシリーズの構成も務めた赤尾でこ、監督は『秘
密結社鷹の爪』のスピンオフ作品などを手掛けるべんぴねこ
が担当した。
物語は典型的なパロディという感じだが、日本のパロディと
称するものによくある下品さや悪意のようなものは無くて、
見ていて気分は良いものだった。それにギャグのセンスも大
人の鑑賞に堪えるものになっていた。
そしてこの鑑賞会には原作者も来場していて、上演後には囲
み取材も行われたのだが、元々関西出身で「お笑いは好き」
という原作者は本作にも満足のようで、それも立ち会って良
かったと思えたところだ。
そして実は個人的にはこの劇場のシステムにも興味があった
のだが、使われているのはPepper's ghostと呼ばれる150年
ほど前に発明された舞台の演出技術を応用したもので、シス
テム自体はディズニーランドのホーンテッド・マンションな
どでも見ることができるものだ。
しかしこの劇場ではそれに最新の映像技術を組み合わせてお
り、これによってアニメーションのキャラクターが舞台上を
立体映像のように動き回れる仕組みになっている。実際には
これらのキャラクターは2Dなのだが、それが3Dのように
錯覚されるのもその効果と言えそうなものだ。
ただし現状では、スクリーンは天井まで最大限に設置されて
いるのだが、写される映像には限界があって、上下の動きに
制約のあるのが残念なところ。それにキャラクターの前後の
動きなどにも、もう少し工夫ができそうな気もした。
上記の囲み取材では、原作者にもっと直接的に関る気持ちは

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07月23日(日)
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