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On the Production
by 井口健二
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■エレファントカシマシ/REBECCA 渋谷公会堂、スターシップ9、ウインター・ドリーム 氷の黙示録
のクララ・ラゴと、2011年『X-MEN:ファースト・ジェネレ
ーション』でハリウッド進出を果たしたアレックス・ゴンザ
レス。
他に、2008年9月紹介『永遠のこどもたち』などのベレン・
ルエダ、同年5月紹介『コレラの時代の愛』などのアンドレ
ス・パラらが脇を固めている。
脚本と監督は、短編作品で多数の受賞に輝いているアテム・
クライチェ。2012年のVariety紙で「注目すべき若手スペイ
ン映画製作者」の1人に選ばれたという俊英の長編デビュー
作だ。
上記以降の物語の展開は、エンジニアの不自然な登場の仕方
などからSF映画を観馴れている人には大方見当がついてし
まうと思うが、本作ではそこから先がちょっとSFの常識を
超えるものになっている。
それはテーマが人道を超えた危険な秘密研究だということを
考慮しても、軍隊がそこまでやれるのかという範疇なのだ。
具体的には無警告での非武装民間人の射殺なのだが、それが
許可される程の秘密なのかという点に疑問が生じる。
一方、実は映画の初めの方でちょっと引っ掛るニュースらし
きものが描かれていて、その点が以後は全く触れられないの
だが、もしかするとここにはもっと巨大な秘密が隠されてい
るのではないかという考えが浮かんできた。
そうなると、後半に登場するペルソナを使った映像システム
がひょっとしてアーサー・C・クラークの『幼年期の終り』
へのオマージュのようにも見えて、これはとんでもない発想
の基に作られた物語のようにも思えてきた。
実は、プレス資料に掲載された監督のインタヴューにはその
ような言及は全くないので、単なるこちらの思い込みかもし
れないが、いろいろ考えるとSF的には面白いものが見つか
るかもしれない。そんなことを感じさせる作品だ。
公開は8月5日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他で、全国順次ロードショウとなる。

『ウインター・ドリーム 氷の黙示録』
               “2307: Winter's Dream”
上記の『スターシップ9』とセットで宣伝されている24世紀
の終末世界を背景にしたSF作品。
それが自然現象か核戦争によるものは良く判らなかったが、
地球が冷え切った未来世界。人類は地中に残った僅かな地熱
を頼りに生き延びているが、あまり危機感もなくドラッグな
どに溺れている。
というのも実際の労役は寒さに順応するように作られた人造
人間に拠っているためで、そのため人類の末裔たちは働くこ
とも必要なくなっているのだ。ところがそこに人造人間たち
の反乱がおきる。
そんな状況で主人公は最初の反乱で妻を殺された警備隊長。
その後はドラッグに溺れていたが、反乱の主謀者の足跡が見
つかりその後を追うべく任務に復帰することになる。そこに
はそれなりにアクティヴな隊員も揃っていたが…。
出演は、本作の原案も提供しているポール・シドゥと、イギ
リス出身のブランデン・コールス、それに2014年の東京国際
映画祭受賞作に主演していたアリエル・ホームズ。
脚本と監督は、2011年1月紹介『ブルー・バレンタイン』の
共同脚本で知られるジョーイ・カーティス。本作はシドゥが
カーティスにアイデアを話して実現したものだそうだ。
宣伝資料には『猿の惑星』や『宇宙戦争』といった題名が並
んでいるが、本作のテーマはどちらかというと今年続編が公
開される『ブレード・ランナー』に近いものだろう。あるい
は2015年12月紹介『オートマタ』も挙げられる。
つまり人類自らが生み出したものが、人類自身の生存競争を
脅かす。その意味では『オートマタ』の時にも書いたように
『2001年宇宙の旅』からの系譜に乗った作品だ。最近この種
の作品が散見されるのは時代の流れなのかな?
なお撮影は極寒のバッファロー平原や、今まで撮影許可が下
りたことのなかったキングス・キャニオン国立公園の洞窟な
どで行われ、VFXなどではない本物の過酷な条件の中での
撮影だったようだ。
そして本作は、プレミア上映されたLAインディー映画祭で

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06月25日(日)
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