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On the Production
by 井口健二
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■トモダチゲーム・劇場版、ライフ、ディストピア パンドラの少女、桃とキジ
エル・エスピノーサ。脚本は『デッド・プール』などのレッ
ト・リース&ポール・ワーニックのコンビが担当した。
『パッセンジャー』は科学考証的には難有りだが、SF映画
的にはファンタスティックで気に入った。『メッセージ』は
SF賞受賞作の原作もので、内容は難解だったがしっかりと
映像化されていた。
それに対して本作は、現実的な物語という点では1番上と言
える。特に2012年1月紹介『はやぶさ 遙かなる帰還』など
を危機感なく観た人には、冷水を浴びせるような作品かな?
そこまでは言わないまでも、宇宙探査の危険性をリアルに描
いた作品だ。
それは最初に高速で飛来する無人探査機をキャッチするとい
う離れ業の描写から始まり、多少有り得ない部分もあるが。
おおよそはこんなものかもしれないという程度の現実味は描
かれていた。
しかも危険性を考慮して宇宙ステーションの隔離された中で
分析を行うというのは正に理に叶ったもので、実際にこの様
なマニュアルがあるかどうかは知らないが、その後の危機管
理に関してもあり得るものだ。
ただここまでやっているのなら、その後に関してももう少し
対策しておくべきで、それが出来ていないというのが本作の
鳴らした警鐘なのかな? そんな捉え方も出来る作品だ。
なお映画の中に“Re-Animator”という台詞があって、ここ
では『死霊のしたたり』という字幕になるのだが、その少し
後で“My Favorite Martian”という台詞には『ブラボー火
星人』として貰えなかった。
1960年代前半のテレビシリーズでは仕方のないところもある
が、映像ではトレードマークの2本の角もちゃんと生えてお
り、明らかに意識されていたもので、この辺は何とか工夫し
て貰いたかったものだ。
公開は7月8日より、東京は丸の内ピカデリー他にて、全国
ロードショウとなる。
『ディストピア パンドラの少女』
“The Girl with All the Gifts”
イギリス出身の元はコミックスの原作ライターだったという
M・R・ケアリーが2014年に発表した終末小説の映画化。
登場するのは幼い少女。彼女は窓のない牢獄のような場所に
暮らしており、時折合図があると車椅子に座って兵士たちが
来るのを待ち受ける。そしてやってきた兵士たちは銃を構え
たまま少女の手足と首を車椅子に固定する。
それが済むと兵士たちは少女を車椅子のまま教室らしき場所
に連れて行き、そこで他の同様の子供たちと共に女性教師に
よる主には記憶力を試すような授業を受ける。その授業を少
女は優秀な成績でクリアしているようだ。
また別の時には、年配の研究者のような女性が少女に話し掛
ける。そして少女が告げた番号の部屋の子供はどこかに連れ
去られる。そんな日々がもう何日も続いていたようだ。しか
し事件が起き、その日々が終りを告げる。
主演は、ワークショップで3年間演技を学び、本作の演技で
シッチェス・カタロニア映画祭の女優賞に輝いた撮影時12歳
のセニア・ナニュア。
その脇を2010年4月紹介『プリンス・オブ・ペルシャ』など
のジェマ・アータートン、2014年2月紹介『ワールズ・エン
ド』などのパディ・コンシダイン、2014年8月紹介『ガーデ
ィアンズ・オブ・ギャラクシー』などのグレン・クローズ。
さらに2009年3月紹介『伯爵夫人』などのアナマリア・マリ
ンカ、舞台男優のフィサヨ・アキナデらが固めている。
脚本は原作者のケアリーが自ら手掛け、監督にはアイルラン
ド出身で、テレビの『シャーロック』や『ドクター・フー』
にも名を連ねるコーム・マッカーシーが起用されている。
設定は感染症ということで、映画の中で単語としては出てこ
なかったと思うが、内容はゾンビものだ。特にその食餌が生
肉のみというのは典型的な特徴だろう。ただし彼らはLiving
Deadではないようだ。
そこで本作ではHungrysという呼び名が使われ、これは原作
の通りなのだろうが、単に飢餓者という意味のこの言葉には
ちょっと違和感があった。彼らが生肉を食べていることは明
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04月30日(日)
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