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On the Production
by 井口健二
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■ゴースト・イン・ザ・シェル、BLAME!
ことが判り、そこに隠れていた太古の科学者を救出すること
に成功するが…。それが新たな災厄を人々にもたらすことに
なる。しかしそれでも人類生き残りのため主人公たちの戦い
は続いて行く。
監督は『シドニアの騎士』も手掛けた瀬下寛之、脚本の村井
さだゆき、キャラクターデザインの森山佑樹も『シドニア』
のスタッフが再結集している。ただし本作では、原作者の弐
瓶勉が総監修としてシナリオからキャラクターデザインまで
全ての中核を担っているものだ。
実は『シドニアの騎士』の試写も観させて貰っていたが、何
となくコンセプトが不明瞭で、元々作品がテレビシリーズの
総集編という位置づけでもあったので、ここでの紹介を割愛
してしまった。
それに対して本作は、それなりの背景の説明もあり、SFを
観馴れている者には理解し易い作品だった。ただし原作では
謎の男の方が主人公のようで、それを少女が主人公のように
書き直しているために、ちょっと男の性格付けなどに物足り
なさを感じた。
ただし元々が謎の男という設定だから、これはこれで良いと
も言えるものだ。この点は科学者の設定に関しても同様で、
これは何とかシリーズ化して、ちゃんとした決着も付けて欲
しくなる。そんな期待も膨らむ作品だった。
公開は5月20日より、2週間限定の全国ロードショウ。なお
音響には日本アニメーションでは初となるドルビーATMOSの
音響設計がされており、試写会場では体験できなかったが、
これは相当の迫力となりそうだ。
この週は他に
『笑う101歳×2』
(1914年=大正3年生まれ日本初の女性報道カメラマン笹本
恒子と、1915年=大正4年生まれ戦時中の朝日新聞記者むの
たけじ。共に年齢100歳を超えた2人のジャーナリストの姿
を追ったドキュメンタリー。作品は2014年4月の2人の初対
面からスタートするが、とにかく2人の元気が良い。むの氏
の容姿はそれなりだが、論が始まるとその舌鋒は止まらず、
特に戦争反対の立場に立つむの氏の発言は明確で気骨溢れた
ものになる。一方の笹本氏は、その容姿からして到底1世紀
を生きた人とは思えない。矍鑠として普通に見ても70代で通
用する雰囲気。「自分もこんな風に老いたい」そんな願望に
も捉われる作品だ。公開は6月3日より、東京はヒューマン
トラストシネマ有楽町他で全国順次ロードショウ。)
『22年目の告白 私が殺人犯です』
(2013年5月紹介の韓国映画『殺人の告白』を日本の現代を
舞台にリメイクした作品。連続殺人犯が公訴時効後に手記を
発表するという設定は同じだが、本作ではそれを見事に日本
の法体系に落とし込み、日本の実情や社会も反映させている
ところは見事だ。特に22年前の再現も的確に思えた。脚本は
アメリカアカデミー賞受賞作『つみきのいえ』の平田研也と
本作の監督も務めた2016年1月紹介『太陽』の入江悠。正に
日本映画の希望の星と言える顔合わせだ。出演は藤原竜也、
伊藤英明、夏帆、野村周平、石橋杏奈。さらに岩松了、岩城
滉一、仲村トオルらが脇を固めている。映画では最初に映る
22年前の自動販売機からその拘りに魅了された。公開は6月
10日より全国ロードショウ。)
『ラスト・プリンセス-大韓帝国最後の皇女-』“덕혜옹주”
(2008年8月紹介『ハピネス』などのホ・ジノ監督が、戦中
戦後の日韓の関係に翻弄された女性の姿を描いた韓国映画。
主人公は朝鮮王朝26代王の娘。彼女は側室の娘だったが王が
60歳の時に生まれ、溺愛されて当時の韓国内では国民的アイ
ドルでもあったようだ。因に彼女の誕生は日韓併合の2年後
だった。ところが併合を潔しとしない王が毒殺され、1925年
彼女は人質として日本に行くことを強制される。これだけで
も充分歴史に翻弄されたと言えるが、さらに日本の敗戦後に
も彼女には悲劇が降り掛り、帰国できたのは1963年だった。
そんな女性の姿がフィクションを絡めて描かれる。主演は、
2013年5月紹介『ザ・タワー』などのソン・イェジン。公開
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04月02日(日)
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