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On the Production
by 井口健二
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■母の残像、ナショナル・シアター・ライヴ 2016 「戦火の馬」
その演出はマリエンヌ・エリオットとトム・モリス。そして
パペットのデザイン・制作・演出はヴェイゼル・ジョーンズ
&エイドリアン・コーラー(ハンドスプリング・パペット・
カンパニー)
初演のイギリスでは、2007年イブニング・スタンダード賞、
批評家サークル賞、2008年ローレンス・オリヴィエ賞などに
輝き、さらに2011年のブロードウェイ公演では、トニー賞で
作品賞を含む5部門を制覇した作品だ。
なお映像作品の中間ではインターミッションと解説があり、
そこでは原作者と演出家による製作の経緯などの紹介も行わ
れる。
その中で原作者のマイクル・モーパーゴは、「初版時は全々
売れなかったが、出版社がしつこく再版してくれて徐々に売
れだした。馬の視点で描くのは良いアイデアだと思ったが、
考えてみたら先に『黒馬物語』があった。本作は栗毛だが、
黒毛にしておけばよかった」とエピソードを紹介。
また演出家からは、「ナショナル・シアターのパペットの技
術を使う企画を探していた時にこの原作に巡り会った。最初
はどのような舞台にするかも決めず、まずワークショップで
馬のパペットの検討を始めた。その中で徐々に形が見え始め
た」と語り、そこではワークショップの様子も紹介された。
つまり舞台は、まず馬のパペットありきで始まったもので、
そこに本物の馬を使ったスピルバーグのアプローチが如何に
間の抜けたものであったか、そんなことも理解のできる解説
だった。因に解説の中では『ミスター・エド』の題名も出て
きたが、映画化については一切触れられなかった。
公開は11月11日から16日まで、東京はTOHOシネマズ日本橋他
で、限定ロードショウとなる。

この週は他に
『ガール・オン・ザ・トレイン』
              “The Girl on the Train”
(NYタイムズのベストセラーリストで21週の第1位と77週
に亙るランクインを記録した原作の映画化。2016年1月紹介
『ボーダーライン』などのエミリー・ブラントの主演に、ハ
リウッド期待の新星ヘイリー・ベネットと、2015年8月紹介
『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』など
のレベッカ・ファーガソンが演技を競う。かなりトリッキー
な話だが、岸辺を走る通勤列車などの映像も際立っている。
公開は11月18日より、全国ロードショウ。)
『僕と世界の方程式』“A Brilliant Young Mind”
(1959年から毎年行われている国際数学オリンピックに挑む
高校生の姿を描いたイギリス製の青春映画。特異な題材では
あるが、内容は純粋な青春映画で、この手のイギリス作品は
伝統的に手堅くてうまい。はっきり言って少しオタク気味の
若者が、青春に目覚めて行く姿が見事に描かれている。監督
はドキュメンタリー出身のようで、その目の堅実さが本作に
も活かされているようだ。公開は2017年1月28日より、東京
はYEBISU GARDEN CINEMA他で、全国順次ロードショウ。)
『ホワイト・バレット』“三人行”
(2010年3月紹介『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』などで
香港ノワールの旗手とされるジョニー・トー監督による病院
が舞台のソリッドシチュエーション・アクション。ルイス・
クー、ヴィッキー・チャオ、ウォレス・チョンの共演で、前
半は息詰まる心理戦から後半の強烈なアクションまで、見事
な展開が繰り広げられる。いやはや物凄いとしか言いようの
ないエンターテインメントだ。公開は2017年1月7日より、
東京は新宿武蔵野館にてレイトショウ。)
『魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!』
(今年3月20日に題名だけ紹介した『プリキュア』シリーズ
の秋の新作。お子様向けのアニメーションではあるのだが、
実は今回物語の中心は主人公が抱えるクマのぬいぐるみで、
その敵役があ「くま」というのは有り勝ちかなと思ったが、
さらに登場するのがダー「くま」ター。しかもこの先にもう
1段あって、これは侮れないと思わせる作品だった。公開は
10月29日より、全国ロードショウ。)
を観たが全部は紹介できなかった。申し訳ない。

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10月30日(日)
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