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On the Production
by 井口健二
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■シンドバッド、ウフィツィ美術館3D・4K、ホーンテッド・キャンパス、雨女4DX
ときと同じく3D化された絵画の数々だ。
そこではボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」「春(プリ
マヴェーラ)」やミケランジェロの「聖家族」、ラファエロ
の「ひわの聖母」、ダ・ヴィンチの「受胎告知」などの名画
が3D化されて紹介される。
また、煤に埋もれて発見され、2011年から修復が進められて
いるダ・ヴィンチの未完の作「東方三博士の礼拝」の全貌は
スクリーンを通じて初の公開となるものだそうだ。それらの
映像が4Kの画面で鮮明に写し出される。
さらにフィレンツェの象徴とも言えるサンタ・マリア・デル
・フィオーレ大聖堂の姿は実写の3D映像だけでなく、その
構造なども建設当時の図面を立体化して紹介しており、それ
も興味深いものになっていた。
そしてその中でも僕が気に入ったのは、カラヴァッジョ作の
「メデューサ」。円形の盾の前面に描かれたその頭部は、勇
者ペルセウスが切り落とした直後を描いており、頭髪の蛇や
滴る血などが見事な3D映像で再現されていた。
以前の『ヴァチカン』では3D化されたシスティーナ礼拝堂
の天井画に驚嘆したが、今回の「メデューサ」はそれを超え
るリアルさで、1981年レイ・ハリーハウゼンの『タイタンの
闘い』を思い出させてくれた。
フィレンツェのルネサンスとメディチ家の関係では、2013年
12月紹介『ダ・ヴィンチ・デーモン』なども思い出したが、
本作ではそれに勝る3Dアドヴェンチャーを体験した感じも
したものだ。
このシリーズでは『ヴァチカン美術館』が先鞭を付けたこと
から他の美術館も追随はし易くなっているものと思えるが、
さらに世界各地の美術館でも同様の作品が制作されることも
期待したいものだ。
公開は7月上旬より、東京はシネスイッチ銀座ほかで、全国
ロードショウとなる。

『ホーンテッド・キャンパス』
累計発行部数70万部、第19回日本ホラー小説大賞で読者賞を
受賞したという櫛木理宇原作の映画化。
主人公は幽霊が見える能力を持つ若者。本人的にはそれが負
担で、出そうなところには近づかないことを心掛けている。
ところが一浪して入った大学で、再会した1年後輩の女性が
あろうことかオカルト研究会に入部してしまう。そのため彼
女に思いを寄せる主人公も入部を決意。
ところがそこは怪異現象の相談所で、早速壁に女性の顔の染
みが浮き出るという相談を受けた研究会は、主人公の能力も
あって謎を解決してしまう。そして次の謎は、大学側がひた
隠しにする自殺者の幽霊と、それに関って閉じ籠りになった
大学教授の娘を助けることになるが…。
そんな物語が、ウィジャボードなどの小道具や薀蓄を鏤めて
語られて行く。因に原作はすでに9巻が発表されているもの
だが、本作の前半はその第1巻に沿ったもののようだ。
主演は、2008年NHKドラマ『バッテリー』で主演デビュー
した中山優馬。テレビでは主演作が列挙される中山だが、映
画は初出演だそうだ。また歌手でもある中山は本作の主題歌
も歌っている。
共演は、AKB48の一員で2015年『劇場霊』などの島崎遥
香、2013年12月紹介『黒執事』などの大野拓朗、2014年5月
紹介『キカイダーREBOOT』などの高橋メアリージュン、それ
にジャニーズJr.の安井謙太郎。
他に大和田伸也らが脇を固めている。
脚本は、2015年『探検隊の栄光』などの徳尾浩司。藤原竜也
主演の前作はここでの紹介はしなかったが、試写は観てそれ
なりに納得できる作品だった。
監督は、関西でテレビドラマやCMなどを数多く手掛け、関
西ATP賞なども受賞している竹本聡志が担当。本作で映画
デビューを飾っている。
本作をSFの範疇に入れるかどうかには抵抗もあるが、物語
はそれなりに理詰めに作られていて納得できる作品だった。
『探検隊の栄光』もドタバタの割には展開には納得できたも
ので、この脚本家には注目しておきたい。
しかも青春映画としても機能しているし、その一方でホラー
シーンもしっかりと演出されており、その辺のバランス感覚

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05月01日(日)
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