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On the Production
by 井口健二
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■ムーン・ウォーカーズ、さようなら
は介護用のアンドロイドが付き添っていた。しかし脚部が故
障したアンドロイドに修理を呼ぶこともできず、アンドロイ
ドは車椅子で仕事を続けている。
そして終末の時が迫る中、1人の人間と1体のアンドロイド
による生活が静かに描かれて行く。
主演は、深田監督の2010年作『歓待』に出演し、平田オリザ
演出によるオリジナルの舞台でも同じ役を演じていたという
ブライアリー・ロングと、アンドロイドのジェミノイドF。
他に、2012年8月紹介『莫逆家族』などの新井浩文、舞台女
優の村田牧子、2015年3月紹介『忘れないと誓ったぼくがい
た』などの村上虹郎、『東京人間喜劇』にも出演の木引優子
らが脇を固めている。
さらに2006年12月紹介『パリ、ジュテーム』などのジェロー
ム・キルシャーと、2004年12月紹介『エレニの旅』の続編の
『エレニの帰還』などのイレーヌ・ジャコブがゲスト出演。
因に2人は、平田オリザ演出『アンドロイド版変身』に出演
していたそうだ。
登場するアンドロイドは人間が操縦しているのでSFで言う
アンドロイドからは程遠いが、生身の人でないものが演技を
していることは間違いない。そのアンドロイドは大阪大学の
石黒浩教授の制作によるもので、テレビのヴァラエティ番組
に出ているものと同種のようだ。
2012年7月紹介『演劇1』『演劇2』の印象で平田オリザの
演出はアドリブを許さず、演技のタイミングも秒以下の単位
でコントロールしているもののようだが、そんな平田の指向
にアンドロイドは最適なのかもしれない。
しかしテレビのヴァラエティ番組で石黒教授はアンドロイド
の可能性についても幾多の検証を行っており、その2つの方
向の交わる先には、いろいろ面白いものが生み出されそうな
予感もするものだ。
なお本作は、10月22日開催「第28回東京国際映画祭」のコン
ペティションに選出されており、深田監督には『歓待』での
「ある視点部門」作品賞以来の受賞が期待される。
公開は11月21日より、東京は新宿武蔵野館他で、全国ロード
ショウが予定されている。

10月04日(日)
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